大将討伐 -結-
「ちょっとあんた。
ここにきて人質は
卑怯なんじゃない?」
千年の恋も冷めたように、
アスモデウスのとった行動に
イートニャンが肩をすくめる。
しかし別の時代、世界線だとしても、
ハレルヤもヴァカも、同一人物であり、
ハレルヤの心は微動だにしなかった。
「イートニャン。
あたしならこんな時、
どうするか分かるよね」
「き、貴様!
死がこわくないのか!?」
アスモデウスが狼狽えた一瞬、
そのスキを黒き獣は見過ごさなかった。
食器を上段に構え、瞬時にパワーを溜める。
「殺魔血減龍……」
「何それ!?」
「チェストォ!」
そのまま勢いよくナイフを振りかざし
空気との摩擦で炎を帯びた衝撃波が
アスモデウスを一閃。
戦士の誇りを投げ捨てた大将を、
こんがりと燃やし尽くすのであった。
「さすがは、もう一人のあたし。
なら次のあたしの行動もわかるー?」
「ん!?」
ハレルヤが素早く
アルブスの操縦席に戻り、
レーザーガンの照準が
イートニャンに当てられる。
「さて、ここからが
本当の闘いのはじまり」
決意のこもった声が、
スピーカー越しに響く。
「何を言っちゃってるのこいつ……
まるで二回戦でもある口ぶりじゃん」
「ハレルヤ博士!
武器を収めて下さい!」
「昨日も言ったけど、
あんたがシードを造ったように
あたしが造った魔人も可愛い子供。
ゴエティアだの、デモンイーターだの、
そんな暗殺兵器におびえる子供を
見捨てるわけがないでしょ」
「じゃあ元の姿に
戻るなっていうのw」
「もちろんですとも!」
ハレルヤがレーザーガンを発射すると、
イートニャンも素早くニゲルの
コックピットに舞い戻る。
「あんたが共に旅を
した仲間がいるように、
こっちも守るべき仲間がいる。
あたしが、あんたの仲間を機神で倒すと
言ったら同じ行動に出るでしょどうせ」
「そうですとも!」
レーザーガンの連射が、
ニゲルを徐々に追い詰める。
「二人とも、もうやめて!」
「あたしじゃなく、あっちに言って」
「同じよ、どっちもあたしなんだから」
「あんもぉ☆」
アリスの説得にも
ハレルヤは耳を傾ける気配はない。
魔人として天人以上に
機神のパフォーマンスを
発揮したイートニャンであったが、
この時代の技術に精通した
ハレルヤに、機神の操縦に
おいては、やや分がある。
加えてアスモデウスたちとの連戦で、
イートニャンは力を消耗していた事も、
ここにきて機体の性能とリンクし
足を引っ張っていた。
そしてついにアルブスの
レーザーがニゲルに直撃する。
「ちょっと、メサイア博士!
モニター見てるの?
この反逆者のロボを即、
停止してちょうだい!」
なぜかメサイアの応答はなく、
ハレルヤのアルブスが止めを刺そうと、
レーザーガンの照準をニゲルの
コックピットに定める。
直後、空に向かって
極大の光の柱が二つ。
天をも両断していた。
「あれは!?」
「ファルザードの方角ですよ、一体何が……」
光は、空中都市を全て
飲み込むほどに巨大で神々しく、
同時に禍々しいものであった。




