大将討伐 -転-
先手必勝、無拍子の攻撃を、
イートニャンが発動させる。
しかし、アスモデウスは
驚異的な反射神経でそれを
見切り、斧で弾いてみせる。
「や、やるじゃないのっ!」
「他の雑魚と一緒に
されては困るな」
そのままアスモデウスが
全体の体重を込めて
重い一撃を放つ。
イートニャンがナイフと
フォークをクロスさせ
受け止めるものの、
得物越しにも重い衝撃が
体の芯まで痺れさせる。
まともに食らえば、
デモンイーターといえ
即死の威力。
接近戦のパワーでいえば、
大魔王ドラクルをも
凌駕するであろう。
純粋な力の勝負では
明らかに分が悪いとみた
イートニャンが一旦後方へと退く。
「ドラゴンってのは目がいいね。
ならばイートニャンシチュー発射ッ!」
黒い獣の全身から
クリーム色の霧が放出される。
霧はアスモデウスの視界を遮り、
死角から攻める戦法に切り替える。
「フゥオオオオオオオオ!」
しかし、シチューの霧を
アスモデウスは一息で、
わけもなく吹き飛ばすと、
獰猛な炎で霧に隠れていた
イートニャンを炙り出す。
「忍法イートニャンスシ!
ニンニン!」
すかさずアスモデウスの
炎のブレスを、イートニャンは
印を結び流水の魔力で消し止める。
「……動きが速い。
機神を降りて正解ね」
「どういう事です、
ハレルヤ博士?」
「大きな機神の攻撃じゃ、
かえって当たらないのよ」
離れた場所から激闘を
見守るアリスとハレルヤ。
機神を使わない理由は
矜持の側面もあるが、
戦術的な面も兼ね備えていた事に
ハレルヤは気づかされる。
「こうなったら、
最後の勝負に出るか☆」
イートニャンは
真正面からナイフと
フォークを交互に連打し、
アスモデウスの鉄壁の構えを
接近戦で強引に突き崩していく。
そのままイートニャンが
究極奥義に持っていこうと
金色の輝きを出したその時、
ドラゴンの体が
銀色に輝きはじめる。
「えっ!?」
防御に特化した鱗の装甲で
フルコースの初撃を真正面から
受けきると同時に、
二撃目を脚の跳躍力で
後方に大きく回避する。
「フハハハ!
勝負に出たのは俺のほうだ!
武器を捨てろぉ!」
ハレルヤを捕まえた
アスモデウスが、戦斧の刃を
その首筋へ当てるのであった。




