防衛戦 -序-
「各々持ち場を離れず
敵を迎撃するのだ。
これより、ファルザード
防衛戦を開始する!」
アルブス、ニゲルの出撃を
敬礼で見送ったメビウスが、
メフィスト一派、
イートニャンの仲間達に
最後の決戦の火ぶたが切って
落とされた事を告げる。
そんなイートニャンと
ハレルヤが出撃して数時間後————
すでに偵察機器を使わずとも
飛龍の大軍が肉眼でも確認
できる距離に迫って来た。
メフィストやドラクル、
アルゲントゥムを駆るメサイアは、
それぞれの防衛ポイントで
飛龍の襲撃に備え待機している。
ファルザードの内部では、
天人のクルーが迎撃システムの
起動調整のため、モニターを
確認しての作業に追われていた。
「主砲、発射準備整いました」
「レーザー砲、出力最大」
「発射角度修正完了!」
普段は停止している戦闘機能を
開放し、ファルザードの甲板に
大小の機銃が内部から姿を現す。
臨戦態勢に入った空中都市の
その威容は、かつて宇宙空間を
彷徨っていた戦艦としての
雄姿が蘇っていた。
「飛龍、有効射程範囲に突入!」
「撃て!」
視界を焼き尽くす極彩色の
レーザーが空を覆い尽くす。
何体かの飛龍の眷属は
その火力の前に体を
高熱で焼き裂かれ、
炭化しながら、
墜落していく。
無論、何体かは生き残り
咆哮を上げながら、
そのまま都市へと突撃し、
続いて更に第二陣、第三陣と
龍の大軍が続いていく。
「エネルギー弾の装填を急げ!
それまでは副砲で何とか
時間を稼ぐんだ!」
砲撃班が慌ただしく戦況と
状況把握に躍起になる。
多くの飛龍が撃墜されても、
その激しい火線を潜り抜けた
数体の飛龍はそのまま、
機銃の死角へと突撃して
甲板へと着陸しようとする。
「右に3、左に4、上から2————」
無論、簡単に侵入させる真似は
機神に搭乗したメサイアが
許しはしない。
「ロックオン、発射!」
重武装のアルゲントゥムの
レーザーが火を噴く。
より多くの敵を狙えるよう
見晴らしのいい中央広場で
複数の飛龍から味方の盾と
なって引き付け、
なおかつ、機神の中でも火力に
特化したスペックを活かし、
多くの飛龍を葬っていた————
「さっそく脳筋が来たよ。
武器の準備をしたほうが
いいんじゃない?」
一方、エンジン動力部へと続く
後方通路に待ち伏せていた
悟空とメフィストは、
早くも奇襲してきた
敵の別動隊を目で捉える。
「準備といいつつ背後から
俺様を襲ったりするんじゃねぇぞ!
戦いに集中できねぇからな」
「……大丈夫ですよ悟空。
こいつの監視は僕に任せてください」
悟空とホムンクルスがいつ
裏切るか分からないメフィストへ、
じろりと目線を移す。
「馬鹿だなぁ、今はそんな事、
する訳ないじゃないか……」
途中まで言いかけると
メフィストは鞘に手をあて、
襲い掛かってきた
飛龍の牙を居合で防ぐ。
「ちっ、どうやらオメェと
口喧嘩してる暇もねぇようだ」
腐れ縁の二人が互いに背を預け、
取り囲む敵に武器を
構えるのであった。




