強襲作戦 -中編-
「司令、私はこの機に乗じて
飛龍本拠地を叩くべきかと……」
共闘の件での
気まずい雰囲気の中、
メサイアが自分なりの
献策を述べる。
「ほう?」
なかなか議論が進展しない中で、
メビウスが興味をそそられたように
視線を移す。
「ただでさえ防戦で
手一杯なのに危険すぎますぞ!」
側近らしい高齢の男が
異議の声を上げる。
「危険は承知……
この作戦の発案者である以上、
全面的に責任を取る」
「責任!?」
「私自らイートニャンと共に
機神で出撃するつもりだ。
二機の連携をもってすれば龍の大将
アスモデウスを討ち取れるはず」
「いや、出撃しねーっつの。
まだ取扱説明書を見てないんだから、
さらっとあたしを巻き込むな?」
イートニャンが拳を握りしめ
会議室の机を叩いて反論してみせる。
「……君がロボットの研究で
ハレルヤに対抗する気持ちは分かる。
勝算あっての作戦だとは思うが、ことは
ファルザードの存亡に関わるのだ。
他の者の意見も聞かねばならんな」
あくまでメサイアを信頼した上で
メビウスは、判断を留保する。
「博士がここまで言うんだ。
このまま防戦に徹しても勝てまい」
「馬鹿な!?
賭博に等しい行為だぞ!」
「わしゃ、被害が少なく
済む方を取りたいわい……」
他の指揮官や研究者たちも
意見が割れている様子であった。
「じゃあ、こーいうのはどう?
メサイア博士はここに残り、
あたしとイートニャン、
そんでもってアリスちゃんで
出撃するってのはさぁ」
それまで自身の考えを述べず、
沈黙に徹していたハレルヤが口を開く。
「なんだと!?
貴様、何を考えている」
「いや、出撃しねーっつの。
まだ取扱説明書を見てないんだから、
さらっとあたしを巻き込むな?」
突然助け舟を出された
メサイアは、ハレルヤの
思惑を計りかねて困惑している。
それ以上に困惑しているのは、
何度も名前を出された珍獣
イートニャンであった。
「あたしもね、魔人研究の
生物工学に秀でているとはいえ、
機神を扱うロボット工学においては
メサイア博士の足元にも及ばない。
ならば貴重な機神を
二機も投入する以上は、
ロボの修理ができるメサイア博士は
最も安全な本拠地に居て貰わないと、
万が一という時には
取り返しがつかないじゃん?」
その発言からは、
メサイアを信頼するがゆえとも
警戒するためとも取れた。
「ふむ……」
ハレルヤの提案に一理あると、
メビウスが頭を抱える。
一方で――
「気の合わん二人が協力し合うなど珍しい」
「まぁ、博士がそこまで言うのなら」
「あれこれ議論を重ねても仕方があるまい」
日和見に徹していた者たちも、
ハレルヤの協力的な姿勢を見て
飛龍たちとの決戦に、一筋の
希望を見出し始めていた。
「メビウス総司令。
私めもハレルヤ博士の代案、
快諾いたします」
「いや、快諾しねーっつの。
まだ取扱説明書を見てないんだから、
さらっとあたしを巻き込むな?」
一瞬ためらっていたメサイアが
イートニャンをスルーし決断を下す。
「分かった。
ハレルヤの提案も入れた上で、
その作戦案を承諾しよう」
「話を聞けwww」
こうしてメビウス総司令の許可の下、
飛龍の達の本拠地への奇襲作戦が
急遽立案されるのであった。




