表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イートニャン  作者: 坂本龍馬♀
―ファルザード―
231/273

機神


6600万年前の時代に

タイムスリップした一行は

マシンを手ごろな洞窟に隠し、

歩き出してすぐに岩陰から姿を現した

ティラノサウルスらしき生物と出くわす。



「ムンッ!」



もっとも、ドラクルが

即ブラッディソードの峰打ちで

気絶させ、事なきを得るが————



「過酷な闘いとか言うから、

どんな敵が待ってるかと思いきや

図体がでけぇだけじゃねーか」



「馬鹿者、こ奴らなど

雑魚の内にさえ入らん」



歯牙しがにもかけぬ物言いに反して、

ドラクルにはいつもの余裕は無かった。



「僕たちは、まず空中都市を

目指さなければなりませんよ。

そこに悪魔シードの情報があるはずです」



「……そうね。

ただ都市の座標は、ここで合ってるわ。

博士、ちゃちゃっと行ける技とかない!?」



「あるっちゃ、ある。

ふくらめ、バルーン☆」



エンデルーンの跡地で

習得した技を初披露すると、

ガムで出来た超巨大フーセンを

せっせと複数作り出す。



「……さ、みんな。

これに触れてみなさい」



イートニャンがタッチで

自らフーセンの中に入ってみせると、

恐る恐るメンバーも柔らかいまく

タッチし、中へと瞬時に転移する。



「んじゃ、よいフライトを♪」



イートニャンが全員フーセンの中に

入った事を確認すると、魔力で

一斉にフワフワと離陸し始める。



「こりゃいいや、後は勝手に

雲の上まで連れてくれるってか。

俺様のきん斗雲じゃ、みんなをのせて、

そこまで飛べねーからな」



「何で他にもたくさん、

からのフーセンを飛ばしたの博士?」



「あれはデコイってやつよ。

何が起こるか、わからないからね」



「……みなさん見て下さい。

雲の切れ目から銀色に光る構造物が……」



フーセンで浮上する事数分間、

八百の肩に座るホムンクルスが、

その優れた視力で雲の切れ目から

更に上空の一点を指し示す。



「フッ、変わらぬな。

あれがファルザードだ」



ドラクルとしては、どこか

苦い思い出を吐き出すように呟く。



「ん!?

複数の飛行物体が、

こっちに向かってきますよ!」



「……おいおい、

例の飛龍って奴らか?」



高度が増すごとに空中都市も、

その周辺に群がる飛龍の姿も一段と、

ハッキリとした姿で目に映る。


それはプテラノドンといった生物を

更に凶悪進化させたような巨獣が

耳をつんざくような奇声を上げ、

囮で飛ばした複数のフーセンを

次々に突き破る。



「まずいぞ!

私の笛では、このゴム内の

魔力の効果で敵にまで響かん」



「あんもぉ☆

珍しくフェノやん、使えんやん!」



デコイによって、わずかに

戦闘準備への覚悟と時間を

稼げたイートニャンが、


仲間を守るために

自身のフーセンを破り、

飛龍の群れに飛行技フラッペで突っ込む。



「いやー1分以内に、

こいつら倒さないと、

あたしが落ちる(>_<)」



あせるイートニャンの言葉に

八百がゴエティアをかかげる。



「博士!

あの群れに悪魔の1体、

シュトリが紛れ込んでますよ!」



これまでも、一行は

人間や他の動物を宿主にして

進化した悪魔シードを倒してきた。


しかし、恐竜の肉体を

宿主として進化した分、


寄生元の肉体的な

ポテンシャルの高さから、

悪魔の能力もケタ外れに

強化されたらしい。


当然、その強化された力で

生み出された眷属も、


恐るべきパワーとスピードを

もっているのであった。


イートニャンが

ナイフとフォークを召喚し、

飛龍の鱗に突き立てるも、

その鱗の固さに阻まれる。



「くぅ、刺さらないっ!」



「貴様の攻撃は72柱の悪魔のみに

効果を発揮するという事を忘れたか!

その他の眷属は余が相手をする!」



イートニャンに続いてフーセンを破り、

飛行形態になったドラクルが参戦する。


前にも戦った事のある相手という

飛龍たちの攻撃をかわしながら、


雷撃や業火で相手をけん制しつつ

わずかに生まれた隙を突いて

何体かの眷属を沈めていく。


しかし、多勢に無勢な事、

人間形態よりも戦闘力が大幅に劣る

コウモリ形態のドラクルの動きでは

余裕もなくギリギリの戦いを強いられる。



「あーダメ☆

追いつけない(>_<)」



飛龍との闘い自体が

初めてのイートニャンは、


空中戦こそ本領である

龍たちとの闘いで、


そのけた外れの巨体から

繰り出される素早い攻撃を

避けるので精いっぱいであった。


さらにフラッペの翼の色が

黄色から赤に変わり、


飛翔できる制限時間の1分が

過ぎた所で地上に墜落してしまう。



「おい、しっかりしろ!」



すかさず悟空もフーセンを破り、

きん斗雲でイートニャンを拾いに行くと、


飛龍の軍勢は飛行形態のドラクルと、

フーセンで無防備に浮かんでいる八百、

ホムンクルス、フェノメノンに突撃していく。



「ぐっ……

流石に余だけでは守りきれぬ!」



その時、力を消耗したドラクルを尻目に、

ホムンクルスが新たな物体を確認する。



「飛行機!?

いや、あれは————」



銀色に輝く物体がドラクルに

まといつく飛龍の一体を

体当たりで弾き飛ばす。


ホムンクルスが目を凝らしてみると、

それは飛龍より一回り小さいものの、

人型をしたロボットが


レーザーガンで一瞬にして

複数の飛龍の眷属を

分子レベルで蒸発させる。



「何よアレ……

大魔王様の魔法でも、

ここまでの威力は……」



「八百さん、あのロボ、

随分前に見たやつですよ!」



ホムンクルスの脳裏に

15世紀のフィレンツェで見た

巨大ロボの姿が鮮明に蘇る。


一方、飛龍を蹴散らした機械が

残りの敵を遥か彼方へと

鉄拳で吹き飛ばす。



「死海文書にもあったやつ?

味方をしてくれているの!?」



八百が突然乱入した

巨大ロボへの期待を寄せる。

ロボはイートニャンたちに

襲い掛かるでもなく、


飛龍を敵と認識し、

腕に仕込んだレーザーダガー

鱗を切り裂いていく。



「何かわかんねぇが、あいつが

暴れてる今がチャンスだぜ!?」



悟空の背中にしがみつきながら、

きん斗雲に乗っているイートニャンが

再び戦闘準備にうつる。



「よーし、ここでおろして!」



ロボの存在に気を取られていた

眷属の龍の一体の背に飛び乗り、

イートニャンブッシュで、

その生気を吸い取る。


そしてもう一度フラッペを

発動するに足る魔力も取り戻すと、


巨大ロボに成す術もなく

リーダーのシュトリが背を向け

逃げる瞬間を目視する。



「舞え、蝶のように!

そして蜂のように刺す★」



再度フラッペを発動し

翼を召喚したイートニャンが

逃げるシュトリの背後からナイフで刺し、

あっと言う間に胃袋の中に収める。


群れのリーダーを失った

飛龍の眷属たちは次々と敗走し、

銀色の巨大ロボは容赦なく大口径の

火力で残党を殲滅するのであった。



「なるほど……

理解できましたよ、ドラクル公が

ダヴィンチ博士に破壊を頼んだのが」



「そうだ。

あの恐ろしい威力を

見れば嫌でもわかる」



フィレンツェの時に遭遇した

ロボは起動せず、事なきを得たが、

もしアレが動いていたら全滅していたと

ドラクルはその時に漏らしていた。


その意味を今になって、皆が噛みしめる。

これが後の人類の歴史で悪用されれば、

いつの時代であれ文明を滅ぼしかねない

災厄をもたらすであろうと。



「「そこのお前たち、聞こえるか?」」



ロボに内蔵されたスピーカーから

何やら聞きなれない声が響くと、

その言語に詳しいドラクルが反応する。



「うむ、十分聞こえておるわ」


「「協力に感謝する、ついてきてくれ」」



機神に搭乗とうじょうしているのは、

知性を持った相手であり、

()()()イートニャンたちに

敵意は無いらしい。


そんな一行は期待と

不安をにじませながら、


向かうべき天へと

浮かんでいくのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ