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イートニャン  作者: 坂本龍馬♀
―パリ―
226/273

フルコース



そして、翌日————


一行はカリオストロに屋敷内の

とある一角へと案内される。



「総帥、ここで修行するのですか?」


「そういう事になる」



八百が見上げると、それはまるで

ビルのように巨大な金庫であり、

カリオストロが鍵を開け一行を中に入れる。


そこには、固い謎の鉱物で

四方の壁と床と天井を厳重に囲われた、

テニスコートよりもやや広い

空間が二つ並んでいた。



「……本来は危険な実験用に使う大部屋だ」



悟空の肩に座っていたホムンクルスが、

ゆらゆらと部屋の壁に近寄り

コンコンと拳で触れて興味を示す。



「なるほど、かなり分厚い壁ですねぇ。

これなら派手に暴れても、部屋が

壊れる事はなさそうです……

材質は一体なんですか?」



「それは機密で答えられないが、

ここならば思う存分力を

発揮できるはずだ」



「力を発揮?

具体的に何すりゃいいの」



物々しい雰囲気にイートニャンが

困ったように肩をすくめる。



「サンジェルマンが、

かつて実験に難儀していた時、

こう漏らしていたよ。


デモンイーターの技の

個々の火力は申し分ない。


しかしエネルギー消費の問題で、

技と技の発動の合間に大きく

隙が生じてしまう。


多くの技を一挙に繰り出す

スペックを持ちえた時、その力は

完成されたものになると」



「ふーん……

色々覚えてきたつもりだけど、

まだ伸びしろがあるのね☆」



カリオストロの説明に、

イートニャンが自らの無限の

可能性について思いを巡らせる。



「きみの言葉通り様々な時代で、

様々な悪魔と戦い、様々な技を

習得してきたのならば……

その経験によって得た力、技、

精神力を同時にフル活用すれば良い。

さしずめ技のフルコースといったところか」



カリオストロがこれまでの

長きに渡る戦歴を推察し、

デモンイーターにとって

最後に付け加えられるであろう

パズルのピースを提示してみせる。



「強靭な体とデモンイーターの動きを知る

アモンを倒すには、連続して技を繰り出し、

その硬い守りを崩すしかないと申すのだな?」



「……流石は、百戦錬磨のドラクルきょう

私の言いたい事をよくぞみ取ってくれた。

そのためにはどうしても、実際に悪魔との

戦闘経験を何度も積んだ『素体』が必要だったが、

貴殿のような強者が現れ助かったというわけだ」



修行の趣旨を理解している

ドラクルにカリオストロが感心する。



「技と力の全解放か、面白い。

ならば余が修行相手として相応しいな。

ここでなら手加減なく力を

放出してもよかろう?」



「ああ、私が保証しよう」



戦士としての本能を

震わせるドラクルに

カリオストロが応える。


昨日の言葉通り、イートニャンに

とって覚悟がなければ務まらない

苛烈かれつな修行になる。



「だ、そうだ。

余の本気とあれば

貴様は()()かもしれん」



「ふーーん?

あたしも、ずいぶんと

まぁ舐められたもんね」



まさかの展開に強気なイートニャン。

対するドラクルは紅蓮の瞳を見開き、

闘気を解放しはじめる。



「……カリオストロ総帥。

一つ部屋が空いているが、

私と悟空が使っても良いだろうか?」



一方、普段は無口なフェノメノンが、

向かい側のもう一室を指さしてみせる。



「弐の間だな。

構わんよ、限られた時間と

場所を有効に使ってくれたまえ」



「待てやフェノ。

どういうつもりだ」



カリオストロが提案を快諾かいだくすると、

悟空が指の骨を鳴らしつつ、

フェノメノンをにらむ。



「お前にも()をかけてもらう」


「……おもしれぇ」



こうして、

イートニャンとドラクル。

フェノメノンと悟空。


それぞれの死力を尽くした

修行が始まるのであった。



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