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イートニャン  作者: 坂本龍馬♀
―エンデルーン―
220/273

卒業試験 -死合-


一方、別の戦場では

宿敵と呼べる者同士が

邂逅かいこうを果たしていた。


森の中を駆け回っていた悟空は、

ホムンクルスへの陽動を行う最中、

見間違えのないその姿を見て

急遽進路を変える。



「ようやく見つけたぜ」



ついに捕まえたと

立ちはだかる悟空を見ても

ターヒルは眉一つ動かさずにいる。



「こちらこそ、邪魔者を

探す手間が省けたよ」



ターヒルの表情は冷ややかであったが、

その目付きからドス黒い本性を覗かせる。



「わかってんだろ、そろそろ、

みんなをこの世界から解放しろ。

勝手に人の運命をいじりやがって」



「……やれやれ。

あくまでも()()()こだわると言うのか。

このまま社会の歯車となり、

人として安らかに死ねば良いものを」



ターヒルがシャムシールを構える。

対する悟空は槍を構え突き進むのであった。



その頃、ホムンクルスは————



接近戦で一番の脅威となる兄妹を

ロングボウの射撃で巧妙に誘導し、


悟空達にぶつける事で

二人とも潰す事ができたのは

予想以上の戦果であったものの、


森の中で悟空と沙悟浄を

見失ってしまっていた。


とはいえ、一番動きの遅い

猪八戒は逃げ遅れたのか、

息を上げながら必死に

駆け回っている。


先ほどの戦いで莫邪のレガースを

首に直撃したにもかかわらず、

まだ動けているのはかなり

頑丈にみえる。



「悪く思わないで下さいね豚足。

いくらタフな貴方でも、頭を

射抜かれては、お終いです」



河のほとりの大木まで移動した

ホムンクルスが、猪八戒の頭部を睨み

弓を構える。



「今だっ!」



矢を放とうとした瞬間————

水面から樹上に向けて

ジャベリンが放たれる。


水の音に反応し、

とっさに弓で受けきるも、


その衝撃で木から墜落ついらく

ホムンクルスは受け身を取れず

突然の奇襲によって地面に倒れ伏す。



「うっ、まさか、こんな所に……」



「お前の眼でも

水中までは見通せなかったな。

これこそが、あっしの()()()よ」



「……たしかに水練すいれんで貴方に

敵う者は居ませんでしたねぇ。

手負いの獣を追っていたつもりが、

僕の方が罠にハメられるとは……」



ジャベリンでホムンクルスに

止めを刺そうとする沙悟浄。



「やめるんだ!」



いきなり猪八戒に突き飛ばされた

沙悟浄が頭を擦りながら抗議する。



「イテぇ!

何をするかーーーーっ!?」



猪八戒はそのまま

ポールアックスの刃を

草むらに向け睨みを利かせると、


そこに潜んでいた八百が、

降参をするように両手を上げ、

姿をあらわす。



「へぇ、よくわかったわね。

せっかく狙ってたのに

失敗しちゃったじゃんか」



ホムンクルスを倒した後の沙悟浄を、

背後からナイフを投げて討ち取る

算段だったらしい。


猪八戒は攻撃の意志など、

ないかのように武器を

地面に置いてみせる。



「……何をしているのです。

この状況では接近戦で分がある貴方が

僕と八百さん、そして沙悟浄を倒せば、

いっきに優位に立てるはず」



もはや万策尽きたホムンクルスが

猪八戒の行動に困惑してみせる。



「おかしいと思った。

たった一人だけ卒業できるなんて。

オイラは正直、みんなと卒業したいよ……」



「ば、馬鹿な!?

今期はたった一人しか

卒業できないんだぞ!」



「だから、それをくつがえすために

みんなで教官を倒すんだな。

そんで、それぞれの道を

歩めるよう要求を呑ませる」



「……ふぅん、あの厳格な人が

持論を曲げると思いますか?」



「でもさ、現実的に考えたら、

そうでもしない限り、私たちに

教官を倒すなんて無理よね」



珍しく饒舌じょうぜつに卒業試験そのものに

疑問を呈する猪八戒の意見に、

ホムンクルスと八百も同調し始める。



「……ユティが危ないですよ。

彼女は今、教官と1対1で戦っている。

計画では二人の体力が消耗したところを

僕が最後に狙うつもりだったのですがねぇ」



「ユティが?!

ホム君が猪八戒の策に乗るなら、

私も一枚嚙ませてもらうわよ」



「ちょっと待てや、おどれらぁ!

戦士候補生ともあろうモンが、

教官殿に逆らうつもりか!」



わずかながらも勝算が

整いつつある一同の前に、

敗れた干将が現れる。



「……まだ、やるつもりっすか旦那?

おとなしく気絶してればいいものをw」



「当り前じゃ沙悟浄!

ワイを殺さなかったのが、

おどれの命取りじゃい!」



不屈の精神で立ち上がった干将が

構えを取って戦うつもりでいる。



「あんたねぇ、全員負けるよりは、

まだ光があると思わないの?」



八百が脱力気味に、しかし

真剣な目で説得を試みると、

干将の後ろから莫邪が

ゆっくりと歩いてくる。



「……兄者ッ!

猪八戒たちと協力するんだよ!

こいつらに負けたアタイらが

わめいたって説得力がない」



「そ、それを言うたらお終いやん!

まぁ、可愛い妹がそう言うなら……」



唯一の味方であった莫邪に一喝され、

干将は拳をゆっくりと降ろす。



「よし、ユティを助けに

みんなで急ぐんだ!」




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