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イートニャン  作者: 坂本龍馬♀
―エンデルーン―
217/273

卒業試験 -未完-



「2対3か。

兄者、いけるか!?」



莫邪もまた一戦交える

つもりで勇み出る。


相手側は二人でそれぞれ

拳と脚が武器の格闘家。


リーチの面でも頭数の面でも

悟空達が有利のはず。

しかし————


鉄のナックルをはめ込んだ干将が

問答無用と拳を繰り出す。


悟空は干将を寄せ付けまいと

槍の突きで対応するも、


リーチの長さが

アドバンテージになるどころか、

間合いに気を取られている悟空よりも

動きが軽くインファイトで

防戦一方になってしまう。


前の体ではむしろ接近戦に向いた

体質であったが、人間に転生した

悟空の肉体では干将のほうが

はるかに上であった。



「頭数ならこっちが

一人多いですぜーっ!」



悟空に加勢するため、

沙悟浄は莫邪の相手を猪八戒に任せ、

背後から干将を襲おうと回り込む。

しかし————



「どこ行くテメェw」


「ぐぎゃ!」



俊敏性では兄よりも上回る莫邪が

素早く回り込み、逆に沙悟浄の

背後にレガースの蹴りを派手に見舞う。


続いて加勢に来た猪八戒にも

ポールアックスの一撃をかわし、

その太い首に蹴りをめり込ませる。



「馬鹿二人は、妹一人で十分やな」


「油断すんなよ、兄者!」



干将と莫邪はお互いに背を向け、

ちょうど陰と陽の太極図のような、

ある種の美しさを持った、数での劣勢を

補う攻防一体の陣形をとる。


この喧嘩殺法の異名こそが

学園で番長まで昇りつめた

『雌雄の拳』である。



「……流石だ、全く隙がねぇ」



「おんどれは、こんのかいな。

ならこっちからいくでぇ!」



二人の連携に攻めあぐねていると、

気の短い干将が先に拳を悟空に突き出す。


反射的に悟空は槍で防ごうとするも、

見えない何かに体を弾き飛ばされ

地面に尻餅をつく。



「馬鹿な……

今のは一体なんすか!?」



「な、何も見えなかったんだな……」



沙悟浄と猪八戒が混乱している様子を見て、

干将は自慢げに笑って見せる。



「フン、これぞワイの切り札!

触れずして敵を撃つ奥義『百歩神拳』じゃ」



「————痛っ、まさか直に、

それをまた見れるとはな」



尻餅を付いていた悟空が槍を置いたまま

立ち上がり、反射的に干将と同じ

構えを真似て見せる。


とっさに槍で防いだせいか、

ダメージは浅い。



「この世界で、

お前に再び会えて良かったよ。

おかげで、ようやく、未完の技が

完成できそうだ……」



「なんや、その構え、猿真似か?

アホンダラめ、いてまうどコラぁ!」



干将が再び拳を突き出す。

瞬間、その干将の正しい所作の流れを

先ほど見た悟空が同じ動作で干渉に拳を放つと、

互いの気弾が宙で重なり合う。



「何っ!?」



干渉の百歩神拳を

悟空が完全にマスターし

打ち消した瞬間であった。



「なぜ兄者の奥義を……」



驚きのあまり兄妹二人の陣形は崩れ、

沙悟浄、猪八戒と戦っていた莫邪が

非難がましい悲鳴を上げる。



「隙ありっ!」



抜け目ない沙悟浄が、動揺して

動きが一瞬かたまった干将の後頭部に

ジャベリンを直撃させ、更に、猪八戒が

莫邪を峰打ちで気絶させる。



そんな倒れた二人を見て、ふと

悟空は上海での死闘を思い出す。


飛龍ふぇいろんを使った状態の干将であれば、

この10倍は強い百歩神拳を繰り出し

防いだ槍ごと破壊したであろう。


それが飛龍なしでも

百歩神拳を出せたのは、

元々の干将の素養による

ところが大きい。


では、いくら正しいフォームを

会得したとはいえ、妖気が使えない、

とうの自分が百歩神拳を

使えたのは何故かと自問すれば、


この世界に来てから何かに

開眼しつつある不思議な感覚が、

自らの封じられた転生前の力を

引きだしていると直感するのであった————



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