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イートニャン  作者: 坂本龍馬♀
―エンデルーン―
213/273

模擬戦



ドラクルとの手合わせから数日後————



「今回はそれぞれ得意な武器を

用いての一対一の演習を行ってもらう」



みな、更に腕に磨きをかけ、

それぞれ得物の鋼を響かせ合う。


そんな中、悟空は

ターヒルのみを見ていた。


今日は、これまでの武術の

成果を問う模擬戦が行われる。



「ツラ、貸してくれるよな?」


「稽古なら付き合うよ」



悟空にとってリベンジを行う日が

ついにやってきたのであった。

ドラクル立ち合いの元、

因縁の相手に一歩踏み出す。



「……いくぜ」


「どこからでもどうぞ」



ターヒルは以前と同様の

シャムシールの二刀流で、

悟空を迎え討たんとする。


ユティの時と同じく

上段と下段で構えてみせるのは、

二刀流において交互に攻撃を

行うためと見てとれた。


悟空は両手を交差させ

槍を突きに特化した水平に構える。


ドラクルの時と同様、

先手必勝とばかりに悟空が突きを放つと、

美しく反った二振りのシャムシールが

緩やかな弧を描き、槍を弾きながら反撃に出る。


しかし、初めてターヒルと戦った時、

一瞬見えた白蛇のような太刀筋を

今の悟空は正確に捉えてみせた。



「ほう————」



突きをはねのけられた触感から、

ターヒルの太刀さばきには

ユティほどの力強さや

ドラクルほどの威圧感を

感じられなかった。


しかし、攻防一体となった

ターヒルの型を崩す隙は見当たらない。



「……野郎、さすがにやるぜ」



今度は、ターヒルが流れるように

守りから攻めに転じ、悟空の

顔の面すれすれを刃が舞う。



「ちぃっ!」



ユティの斧を何度も観察し

動体視力を更に養った結果、

今の悟空にはその太刀筋を

槍で防ぐ事が出来ている。


ところが、ターヒルの動作がより細かく

目で捉えられるようになった事で、

その隙のなさに悟空は内心では

肝を冷やしていた。


シャムシールが刀としての

役割のみならず、同時に

盾としての役割をも果たしている。


悟空の槍の一撃は

一刀のもとに弾かれ、

もう一刀を伸ばして

攻撃する事ができる。


ユティが防御を捨て去った

攻撃重視の二刀流とすれば、


ターヒルは攻防同時にこなす

バランス重視の二刀流であった。


今更ながらに高度な剣術を柔軟に

使いこなす敵の技量に悟空は舌を巻く。


翻って、自身の得物が槍である事から

両手が塞がり、攻撃と防御の

切り替えの俊敏性で大きく

劣っている事を苦々しく認める。



「ヤレヤレ。

守るだけでは僕に勝てないッ」



相手のテンポを乱し、

時折フェイクを織り交ぜながら

知らず知らずのうちに、呼吸さえも

ターヒルのペースに合わせられ

翻弄されてしまっている。


一刀に目が囚われれば、もう一刀が

変幻自在に悟空の視線を潜って来る。

しかし、片手での攻撃ゆえ剣の圧は少ない。



「そろそろか……」



悟空はターヒルの剣さばきに劣勢を装い、

巧妙にターヒルを後ろへ回避できない

壁際に追い込み、誘導していた。


そして意表を突くため悟空は

一瞬構えを解き声を張り上げる。



「どりゃあああああああああああッ!」


「何、うるさっ!?」



考えなしの上から

振りあげた強い一撃。


大声で一瞬、虚をつかれたターヒルは

反射的に両方のシャムシールを使い、

悟空の気合いの一撃を防ぐ。


自慢の二匹の蛇は悟空の

馬鹿力を防ぐため、二振りとも

今は盾となっている。


予想外の重い一撃を食らったターヒルは、

二刀を盾としながらも、その衝撃で

バランス崩し片膝を付く。



「この自作自演野郎が、くたばれ!」



素早く槍を引き、

ターヒルの胸元に怪しく光る

赤いペンダントを砕かんと、

二撃目の突きを走らせようとした直後————

悟空の横腹を何者かが強く押しのけた。



「うおっ!?」



一瞬何が起こったのか分からず、

体のバランスを崩したまま天を仰ぐ。



「馬鹿者め!

模擬戦と言っておろうが、殺すつもりか!」



ドラクルが失望と怒りを滲ませ

仁王立ちで、悟空を見下ろしている。



「漢の戦いを邪魔

すんじゃねぇオッサンよッ!」



「……語るに落ちたな。

余は貴様を過大評価していたようだ。

このエンデルーンで武を学ぶは、

私刑のためではない!」



ドラクルの怒号が無情にも

悟空の脳裏に響く。





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