二刀流
「……見えてきたぜ」
悟空はユティの斧を
目で追って行くうちに、
自分がなぜターヒルに手も足も
出ないままに敗れたかを直感する。
一見、石斧をデタラメに
振り回しているように見えるが
悟空はその技を食らい続ける事で、
そうではない事を理解する。
ユティは二つの斧を上下交互に
円を描く様に腕を回していた。
そんな派手な斧刃に惑わされず、
悟空の研ぎ澄まされた動体視力は、
ある一点を目ざとく捉える。
「ここだ!」
ユティのリズムに合わせ
斧刃の間隙を槍で突き、
手元から石斧を弾き飛ばす。
「ありゃ!?
参ったねぇ~」
回転し地面に突き刺さった
二丁の石斧を見て、
ユティは両手を上げて降参する。
「……よし。
ようやくつかんだぞ」
『○月×日雨。
今日の晩飯:ラム肉入りのギョズレメ
(トルコ風クレープ)
ユティの野性が俺様の
野性の力を目覚めさせて
くれたのかもしれない。
おかげで二刀流の攻略が、
ものにできそうだ。
ターヒルも基本はユティと
同じ型をなぞっている気がする。
稽古で磨いた
相手の動きを見破る洞察力、
そして間合いの取り方、
攻撃を仕掛ける時のリズム、
このみなぎる力……
それらを全て、
ぶつける時がきたぜ。
でもその前に、二刀流だの
何だのを抜きにしても、
決着をつけにゃあならない
相手がもう一人いる……
しかも、この世界じゃないと
実現できる機会は多分ねぇ。
俺様がどれだけ強くなったか
見極める意味でも絶好の相手だ。
明日の朝それを確かめてやるぜ』




