表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Be My Self  作者:
5/48

倒れる

給食を食べていると、再び目眩がした。

食欲もなく、いつもは残さず食べるのに半分近く残っていた。

梨華がちょっと心配そうに聞いてくる。

「なんか顔色よくないよ。大丈夫?熱あるんじゃない?」

「ううん…大丈夫だから。でも…ちょっとだけ体調悪いかも。風邪かな…」

「無理しないで早退したら?」

「そこまでじゃないよ、大丈夫!」

こういうところは意外としっかりしている綾斗。

小学校の頃から余程のことがなければ休んだり早退したことはない。

「病は気からっていうしね」

綾斗が笑顔で言うと、「でも無理はしないでね」と梨華に言われた。

ところが、体調悪化するばかりだった。

午後の英語の授業中、綾斗は今まで経験したことがないだるさに襲われていた。

身体全身が重く、目まいと頭痛、吐き気までする。

なんだこれ…僕死んじゃうのかな…

最初は気の持ちようと耐えていたが、それも限界だった。

体調が悪化する一方なので、思考は完全に悪いほうへ傾いていた。

まわりは誰も気づかず、授業は淡々と行われている。

そんなのは綾斗の耳には一切入らない。

全身からは汗がびっしょりと出ていて、座っているのもきつい状態になっていた。

「うっ…うう…」

意識が朦朧としてきて、全身の力が抜けていく。

「綾斗くん、大丈夫?」

隣の梨華が気づいたときにはすでに遅かった。

力なく、椅子から落下して床に倒れこむ。

「綾斗くん!」

梨華が叫ぶと同時に、まわりのみんなが綾斗を見ていた。

ざわつき始めるなか、英語教師の時田佐知子が慌てて駆け寄ってきた。

「岡崎君、大丈夫?しっかりして!」

それでも綾斗は動けず、唸るので精一杯だった。

「とりあえず保健室に…」

佐知子はオロオロしながら綾斗を立たせようとするが、綾斗は立つことすらできなかった。

佐知子は今年で50歳の小柄な女性、とても綾斗を抱えて保健室まで連れていく力はない。

そこへ勇がやってくる。

「俺が連れていく」

勇は軽々と綾斗を抱えて、保健室へ走り出した。

「岡崎、しっかりしろよ!」

朦朧が朦朧としていて、もやは勇の声すら耳に届いていなかった。

やっぱり…僕、死ぬのかな…

ここで綾斗の意識は途絶えた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ