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Be My Self  作者:
21/48

昔に戻ったみたいな

7月末、綾音はついに生理になった。

少しだけ胸も大きくなったので、それに合わせ、ブラもスポーツブラから

ノンワイヤーのブラにステップアップした。

ちょっとだけ大人になった気分だ。

そんなとき、ケータイにラインがきたので見てみると梨華からだった。

(明日暇?沙季子と遊ぶから一緒に遊ぼうよ)

遊ぶと即答したい。

でもどこで遊ぶ?地元の駅だと同級生に出くわす可能性もある。

綾音が一人で歩いている分にはそんな目立たないが、梨華と沙季子と3人だと

同級生が見れば少なくとも梨華と沙季子はわかる。

そうなるとあと一人は?あれ?岡崎に似てない?ってなるのではないか。

(遊びたいけど…)

これだけ送ると、綾音が言いたいことを察したのか、こう返してきた。

(だったら綾音ちゃんちで遊ぼうよ!)

これなら問題ない、理想的だ!

綾音はすぐに返信した。

(うん、待ってるよ!)

明日が待ち遠しいな♪


翌日の午後、着いたよと連絡がきたので綾音は玄関のドアを開けた。

そこには梨華と沙季子が立っている。

「綾音ちゃん、久しぶり」

久々に見た沙季子の顔に綾音は嬉しくなる。

しかもちゃんと綾音と呼んでくれた。

「久しぶりだね…沙季子ちゃん。どうぞ、上がって」

2人を部屋に上げると、掛けてある制服に目がいった。

「こんなかわいい制服なの??」

「うん、すごく気に入ってるんだ」

そんな話をしながら3人で座っている。

懐かしいような気持ちもするが、それが自分の部屋というので新鮮な気持ちもある。

たどたどしくなるのかも…綾音は少しそんな予感もしていたが、

梨華はもちろん、沙季子も昔と変わらず話してくる。

すぐにあの頃に戻ったような感じになって盛り上がった。

「そういえば知ってる?素敵なパラダイス、実写で映画化するんだって」

「ホントに?いつやるの??」

「今度の冬っていってたかな。観たいよね」

「見たいみたい、3人で行こうよ!」

梨華や沙季子と映画に行くなんて想像もできなかった。

でも今はそれができる。

それを喜んでいたらドアが開く音がした。

「先輩!」

そこに現れたのは愛梨だった。

「愛梨どうしたの?」

「先輩たち来てるっていうから、わたしも一緒に遊ぼうと思って」

「ちょっと、今は3人で遊んでるんだから邪魔しないでよ」

「いいじゃん!わたしだって先輩たちと仲がいいんだから」

「愛梨は部活行けば会えるでしょ!わたしはなかなか会えないんだから」

2人の言い合いが始まってしまい、梨華が慌てて止めに入る。

「ちょ、ちょっと…落ち着いてよ」

「だってお姉ちゃんが」

「だって愛梨が」

この様子を見て今度は沙季子が笑いだした。

その笑い声を聞いて2人とも止まる。

「あはははは、仲いいんだね2人とも。それにしても一緒にいるとホントそっくり!」

さりげなく沙季子が話題をすり替えたので、言い合いはここで終わった。

「ね、一瞬見間違えたのわかるでしょ!」

そこで沙季子が提案。

「綾音ちゃん髪切れば愛梨ちゃんと同じになるから、そしたら愛梨ちゃんのふりして普通に遊びに行けるんじゃない?」

それは綾音も考えた。

でも無理だった。

「髪伸ばしたいんだもん」

綾音は今、髪を伸ばしている。

そのほうがいろんなアレンジができるからだ。

とりあえず今の目標はくるりんぱをすることだ。

「じゃあ愛梨ちゃんが伸ばせば?」

「わたしもショート気に入ってるから無理です!」

顔はそっくりでも中身は意外と正反対な2人だった。

もうこの話はおしまい。

綾音は転校してしまったので、前の学校のことが知りたかった。

「ところで学校どう?」

「特に変わってないよ。あ、でもね、山根と金沢さんが先月から付き合ってる!」

「えー、ホントに?」

山根も金沢も仲はよくない。

それでも知っている人間が付き合いだしたというのは盛り上がる。

特にこのメンバーは恋愛ドラマや恋愛漫画が好きなので、この手の話は大好きだ。

ただ、こういう話で盛り上がると必ず出てくる質問がある。

「綾音ちゃんは好きな人いないの?」

沙季子が聞くので素直に答える。

「いないよ、ホントに」

そう答えると愛梨が言う。

「そうなんですよ、お姉ちゃん昔からいつもいないって言うんです」

「いないものはいないんだから仕方ないでしょ」

この話を聞いて、梨華は一口ジュースを飲んだ。

本当にいないんだろうなと思った。

なぜかというと、それは綾音の恋愛対象だ。

元から気持ちが女の子だったんだから、男子が好きなのが普通だ。

おそらく沙季子はそう思って聞いたんだと思う。

その考えは間違っていないだろう。

でもそのことを自覚しているかどうかは別だ。

ここからは予想でしかないが、心が女の子でも、男として生きてきた。

しかも心が女の子だったとわかったのも最近だ。

綾音は笑顔で沙季子たちと話している。

前まで男だったのが信じられないくらい女の子だ。

男子が好きな気持ちと自分が男という現実で、無意識に誰にも恋をしなかった。

これが梨華の考えだった。

「梨華ちゃん?」

いつの間にか名前を呼ばれていて慌てて返事をする。

「え、なに??」

「だから、梨華ちゃんは誰が好きかって話」

そういう話になっていたので驚いた。

いなくはない、気になる男子はいる。

でも沙季子もいないと言ったので、梨華もいないと言っておくことにした。

「わたしもいないよ」

「じゃあいるのは愛梨だけだね」

綾音がいうと愛梨が慌てだす。

「ちょっと、なんで言うの!」

「え、愛梨ちゃん誰が好きなの??」

興味は一気に愛梨になる。

結局はみんな恋愛話が大好きなのだ。

4人はこんな感じでずっとはしゃいでいた。


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