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Be My Self  作者:
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綾斗の日常

放課後、綾斗は梨華と一緒に美術室へ行った。

美術部は圧倒的に女子が多い。

全部で20人いるが、男子は綾斗を含めて4人しかいない。

やはり中学生の男子は運動部へ行くのがほとんどだが、

運動が苦手な綾斗は真っ先に文化部を選んだ。

特別絵をかくのが好きなわけではないが、なんとなく入ったら

とても居心地がいいので綾斗はこの美術部が好きだった。

絵を描いてはいるが、ほとんどは話をしているだけだ。

今は隣にいる香川沙季子と会話をしている。

クラスは違うが結構仲がいい。

その沙季子を見てあれ?と思ったので聞いてみた。

「あれ、香川さん前髪切った?」

「うん、ちょっとだけね。男子で気づいてくれたの綾斗くんだけだよ」

「えー、見ればすぐわかるのにね」

そこに梨華も加わってくる。

「確かにわかるよね。少し短くなってるもん。男子ってこういうの全然気づかないよね」

「ちょっと、僕男子なんだけど」

「綾斗くんは別なの。あんま男子っぽくないし」

「それ褒めてないよ」

少し頬を膨らまして拗ねると、梨華も沙季子も笑っていた。

男子っぽくない、これはよく言われる言葉だから綾斗は慣れている。

だから拗ねたのも本気ではないからすぐに笑顔になっていた。

「わたしも髪切ろうかな。私の場合バッサリ」

そういいながら梨華は自慢のロングヘアーを触っていた。

「えー、せっかくそこまで伸ばしたのにもったいないよ」

「だって長いと洗うのとか乾かすの大変なんだもん」

「そうそう、特に冬はなかなか乾かないもんね」

梨華の言い分に沙季子も賛同している。

綾斗はそこまで短い髪ではないが、女子ほどは長くない。

なので2人の気持ちは理解できなかったが、単純にバッサリ切っちゃったら

もったいないなと思いながら会話を聞いていた。

絵など描かず、ほとんど話しているだけで部活は終了した。

これが綾斗にとって当たり前の日常だった。


家に着くと、母親の和子が夕飯の支度をしていた。

台所からはカレーの匂いがするので、今日はカレーというのがすぐにわかった。

「お母さん、ただいま」

「あら、おかえり」

それだけいって綾斗は自分の部屋に行き、制服からジャージに着替え、

リビングに移動した。

妹の愛梨がソファーに座ってタブレットで動画を見ている。

「愛梨、なに見てるの?」

「んー、特に。なんか面白いのないかなって探してる」

「ふーん」

綾斗はテレビを付け、何となくニュース番組を見始めた。

今はちょうどおいしいお店を紹介するコーナーだ。

レポーターがおいしそうに寒ブリの寿司を食べている。

まわっている100円の寿司しか食べたことがない綾斗には味の想像がつかない。

おいしそうだなと思いながら見ていると愛梨が反応した。

「寒ブリってブリと違うのかな?」

「そんなの知らないよ、食べたことないもん」

「だよね、こんなお寿司食べてみたいね」

料理をしている和子に向って愛梨が叫んだ。

「おかーさん、寒ブリっておいしいの?」

「お母さんもそういうのよくわからないよ」

「なんだ、お母さんも食べたことないんだ」

愛梨はタブレットを置いてそのままテレビを見ていた。

なんとなく愛梨を眺めていたら、最近少し大人っぽくなったなと感じた。

愛梨は年子の妹なので今は小学6年生だ。

身長は綾斗とほとんど同じくらいだが、体つきが少し女性っぽくなってきている。

こうやって人はどんどん成長していくのだろう。

だが、綾斗は全然男らしい体系にはならない。

極端な話をすれば下の毛もまだ生えていないくらいだ。

それでもあまり気にしない、綾斗はそういう性格だった。

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