部活も決まった
「渡辺さんって何部だっけ?」
「文芸部だよ。岡崎さんまだ部活決めてないんだっけ?」
「そうなの…文芸部ってどんなことするの?」
「んー、小説書いたり、詩を書いたりかな。ずっと書いているわけじゃないけどね」
「そっかぁ」と返事をしてから考え込んでいた。
そろそろ決めないといけない時期に差し掛かっていたのだ。
ところがピンとくるものもなく困っていた状態だった。
美術部も考えたが、別に絵が好きで入ったわけではない。
雰囲気に惹かれて入っただけだ。
「よかったら文芸部見に来る?」
自分から行くと言い出せない内気な綾音は誘われるのを内心待っていたので
「うん」と返事をして七海と一緒に文芸部へ行った。
部員は全部で10人だった。
3年生が3人、2年生が5人、そして新入生の1年生が2人。
みんな仲が良く、和気あいあいとしているのが雰囲気で伝わってくる。
こういうのは大好きだ。
それに仲のいい七海もいる。
これだけで綾音が文芸部に入る理由は十分だ。
この日一日、文芸部にいてすぐにみんなと仲良くなれた。
どの部員もタイプは七海に似ている、つまり綾音に似ているのだ。
「あの…わたし文芸部に入ります」
そういうとみんなが喜んで綾音を迎え入れてくれた。
これで部活問題も解決し、どんどん新しい学校に馴染んでいった。
ところが家に帰ると新たな問題が発生した。
「なんで美術部なの!」
「しょうがないじゃん…智美が美術部入ろうってしつこく誘うんだもん」
まさか愛梨が美術部に入るとは思わなかった。
2人は双子のように見た目はそっくりだが、実は愛梨は運動神経がいいほうだから、
絶対に運動部に入ると思っていた。
美術部は綾音の知り合いがたくさんいるので、聞かれることは間違いない。
「山口さんとかわたしのこと言ってなかった?」
「言ってたよ。でも病気で遠くの施設にいるって言っておいた。それ以上のことはお母さんに言わないように言われてるって言ったら、もう聞いてこなかったよ」
それを聞いて少しだけ安心した。
そこへ和子が加わってくる。
「もういいじゃない。愛梨も余計なことは言わないって言っているんだし。それにどの部活に入るのも愛梨の自由でしょ」
それもそうだ。
愛梨を責めるのもかわいそうだと思ったのでこれ以上は言わないことにした。
「もういいけど…余計なことは絶対に言わないでよ!」
「わかってるって」
少し心配だが、愛梨を信用することにして、この話は終わりにした。




