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ハジマリ

まず最初に言っておきたいことがあります。


 ど う し て こ う な っ た 。

 例えば。


 例えばの話をしよう。


 可愛い男の子がここにいるとしよう。

 その男の子はそこらの女子どころか世間一般において超絶美少女と讃えられる超人気アイドルやモデルを超越するどころか、二次元の世界、つまり画面の中のありとあらゆるオタクどもから崇拝される数多の嫁すらも超越する、完全無敗な男の子。いや、男の娘。


 そんな存在がもし実在したら、女装させない腐女子はいない、いや、居ない筈がない!


 と、いうのが僕の姉である『文原ふみはらカナデ』の証言であり、そして僕こと『文原ふみはらマコト』はその腐った姉の言うことにはさっき言った完全無敗な男の娘らしい。


 確かに僕も鏡を見るたびに自分の容姿で男として絶望したくなるけど、そんな大げさな、と僕は思うのである。


 しかし現実は無情で、この世に生を受けて十八年、一度たりとも初見で男だとばれたことが無い。


「で、今日はメイド服、と……毎度のことだが、校則違反じゃないか?」

「学園長? ああ、あの物陰でカメラ片手にこっちを凝視してるおじいさんのことかい?」


 そう言って僕はこの若草大学名物のミックスジュース改をストローで啜る。

 ちなみにこのミックスジュース、発売当初から『改』の名を有してたらしい。


「……まあいいか、俺もマコトの可愛らしい姿を見ていられて嬉しいし」

「幼馴染として忠告しておくよ、爛、日本じゃ同性同士の結婚は無理だ」

「じゃあ海外行こうぜ」

「まず僕に同性愛の気持ちが無いことが問題だな」


 僕の前の席でマンゴージュースtheセカンドを大変不味そうに飲んでるのは僕の幼馴染、『佐藤爛さとう らん』、

 究極至高の超絶イケメン、眉目秀麗成績優秀を地で行く金髪黒目の超人。

 五歳のころから一緒に居る、所謂腐れ縁ってやつだ。


「ていうかそんなに不味いなら捨てればいいのに」

「いや折角マコトがおごってくれてしかも間接キスだし……全部飲みきってやるぜ」


 いやまあ、確かに僕が買って一口飲んで不味かったから爛にあげたものだけど……。


 まあいいか、捨てるのも忍びないという気持ちはあるし。


「あれ? マコトじゃん、ついでに爛」

「ん? 姉ちゃんだ」


 噂をすればなんとやら、我が姉、文原カナデの登場だ。


 赤茶色の綺麗な髪を肩口で切りそろえた髪型に、これまた美人なお顔、僕の周りの人物は何故こうも美形だらけなのだろうか。

 赤いフレームの眼鏡をクイッと左手で直した我が腐姉――愚姉ではない、ここ重要、テストに出る――はいつものように意地の悪い笑顔を浮かべると、こちらに近づいてきた。


 うん、嫌な予感しかしねえ。


「ああ、爛、別に爛×マコトを育むのは一向に構わないけどそれは物語の話……現実でのマコトは私の嫁だってことを忘れないでよね?」

「カナデさん、それは間違いです。二次元でも三次元でも、マコトは俺の嫁です」

「……まずは僕が男で嫁じゃなくて婿ってとこを修正させてもらおうか」

「え」

「え」

「いやなんで『何それ意外』みたいな表情してんだよ!」


 ていうか、僕は、誰の嫁でも婿でもなぁあああああい!


「で、何の用だよ姉ちゃん」

「お姉さまと呼べ」

「今すぐ帰れ」

「もう、ツンデレなんだからぁ……えっとね、ついにブルマを手に入れたから今日体育の時間着てね☆」

「着ねえよ! て、おい! 爛! 想像して鼻血垂らすな!」

「カナデさん……gj」


 そんなこんなの、平和な日常。


 きっと僕はこうやって波乱万丈に見せかけた極めて平和な日常を送って死ぬんだなと思ってた。



 でもその考えは、突如襲った非日常により終わりを迎えることになった。




作者は変態ではありません、思春期という名の魔の言葉が生み出した作者の意思を無視した作品なのです。だから、作者は変態ではありません、仮に変態だったとしても、変態という名の紳士です。

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