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02-3.歪んだ時間:イレイside


「・・・そろそろ、時間かな?」

 光球の光がだんだんと弱まってきていた。

 昨日も光がだんだん弱まっていき、ぱっと消えて少女の声が聞こえなくなったのだ。


『ええ・・・もうそんな時間ですのね。やっと半年振りにおじ様のお声を耳にできましたのに・・・。寂しゅうございます。』

「いいんだ。次は半年後だろうか?」

『なんとかもっと早くにお会いできればと思っておりますが、わたくしの力ではそのスパンが限界のようですの。』

「・・・忘れても、恨まないから。お前は、自分が幸せになることだけを考えればいいのだよ。」

『忘れなんてしません・・・!』


 今はまだ半年だから。だからそう思えるのだろう。

 それが何年も続いたら、イレイのいない現実に慣れるだろう。

 そうしたら、きっと忘れるだろう。あるいは夢だったかもしれないと思うのではないだろうか?

 けれども、優しい娘にはそういう思いは告げずに。


「そうか、ありがとう。・・・では、半年後を楽しみにしているよ」

とだけ告げた。


『ええ、必ず!・・・もしかすると、夢の中ではなく、それより前に現実の世界でおじ様と再会できているかもしれませんしね。』

「そうだね。」


 ――そんな日は来ない気がしてならないけれど。


『では、また。・・・本当に本当におじ様が戻っていらっしゃるのをお待ちしています。いつまでも。』

「ありがとう。そして、御誕生日おめでとう。直接祝えないのが残念だね。不甲斐ない【おじ様】ですまないね。」

『いいえ、いいえ。では』


『・・・・・・・・・。』


 少女の声がフェードアウトし、光は唐突にぱっと姿を消した。

 後には昨日と同じ、静寂とどことも知れぬ光景がイレイを取り囲んでいた。



 消える直前、少女が


『私があんなことを願ったから・・・』という言葉が聞こえたことが気になったが、恐らく自分が遮った言葉の続きだろう。

 本当に気にする必要などないのに。






 こちらの世界の一日が半年、という事実をしった時、あの少女との年の差が縮まるかもしれないと、わずかにでも喜びを覚えてしまった男のことなど。


 忘れてしまえばいいのだ・・・。


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