表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/13

02-1.歪んだ時間:イレイside


『おじ様・・・もう朝のようですわ。起きてくださいな。』

「ヨゥラ?ああ、すまない、仕事の準備をしなくてはならないな。」

 のそり、と気だるげにイレイは身を起こした。


『・・・夢の中でも、寝ぼけるということがあるんですのね。』


 言われて、【昨日】の出来事が蘇る。

 よくよく見れば、周りは寝台などではなく、草むらだった。相変わらず枯れた色。

 心まで枯れそうなその色から、イレイはすぐに目を離した。見ているだけで、気が滅入る。

 枯れた草から目を話した後、彼は正面を向いた。

 目の前には光の球がちらちらと瞬いている。昨日と同じだ。ヨゥラの声はそこから聞こえてきていた。


『おじ様、お目覚めになられまして?』

「・・・ああ、今、目が覚めた。夢の中なのに目が覚めるとは妙な気分だが。やれやれ、昨日は草むらなどで寝たせいか、体が痛む気がするよ。ヨゥラ、お前は元気かね?」

『わたくしは元気です・・・と申し上げたいのだけれど。』

「・・・ど!?風邪でも引いたのかね?昨日、お前に無理をさせたから。」

 既に、彼女の中に残っているのは【力】の残滓だけだ。

 きっと、搾り出すようにして無理に【力】を使っているに違いない。

 【力】の無理な行使は体力を奪う。

 よもや、そのせいで病を得たのではあるまいか。


『ああ、違うのです。病など得ておりませんわ。そうではなく・・・その前に確かめさせて頂けるかしら?』

「何をだね?」

『おじ様の中で、わたくしにあったのは昨日、それで間違ってございませんわね?』

「ああ、確かだ。だが、お前のその口ぶりからして・・・何かあると思ってよいのかね。私にとっては間違いなく昨日なのだが。

・・・お前には違う。そういうことか?」

『・・・・・・・ええ。あれから、半年がたちました。わたくし、今日が誕生日ですの。』


 半年。


 一年の半分。


 それだけの月日が、この一日の間に流れていたと?


『ごめんなさい、おじ様。半年もこちらではたっておりますのに、そちらからお呼びできなくて。都では漸く病の原因らしいものを特定しつつあるそうですが、治療法のほうとなると未だに手がかりも見つかっておりませんの・・・』


 しゅんと意気消沈したヨゥラの声が響く。

 きっと、もし顔が見えれば、俯いて唇をかみ締めているヨゥラの姿が目に入ったはずだ。


「いや・・・いいのだよ。ヨゥラが気にする必要はない。」


 ヨゥラが気にする必要はないのだ。

 きっと、これは罰だから。

 殆ど自分の子のようなお前に焦れていた、自分への罰。

 夢の中で、十のお前を何度穢したことか。

 

 浅ましい願いを抱いた己へ、とうとう下された罰なのだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ