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01-1:夢に落ちた日:イレイside


 光が瞬いた。


『…様!……じ様!気づいたら返事をなさって!』


 闇の中。

 ちらちらと光球が点滅している。


 鈴の降るような可憐な声がイレイの耳に届いた。

「・・・。」

 いつの間にか寝ていたらしい。

 声に刺激されたイレイは、ゆっくりと目を開いた。

 どこか珍しい紫の色をしたイレイの瞳に、光が点滅しながらぐるぐると自分の周りを旋回しながら距離を詰めてくる様子がうつる。

『おじ様・・・このあたりにいるのでしょう?気づいたら返事をなさって・・・!』

 不安を抱えたような少女の声。

 聞き覚えるのある声に、彼は確認した。

「ヨゥラ、お前か?」

『ええ、わたくしです。やはりそこにいらしたのね。』

 近づいてくる光に、イレイはそっと指先を伸ばした。


 まるで蝶が花に止まるように、そっとイレイが伸ばした指先へ光が留まる。


『ああ、よかった。漸く見つけましたわ。』

 可憐な声が、イレイの鼓膜を振るわせた。

 声は光から発されているようだった。薄青から桃色、桃色から薄緑と光は刻々と色を変えていく。

 幻想的な光景だった。


 まるで、夢の中のような。


「漸く?私がどうしたというのだね?・・・いや、寧ろお前は今どこにいるのだ?確か先程まで私の傍にいたはずだね。」

 そう、先程まで自分はこの声の持ち主と、共にいたはずだ。

 年よりも大人びた少女に、いつものように女癖の悪さを叱られた後、ご機嫌取りのために彼は一緒に買い物にでかけた所までは覚えている。

 その後、山のように少女のために服や小物を買い込んでやろうとするのを止められた後、アイスを二人仲良くわけあって仲直りしたはずだ。

 その後・・・屋敷に戻って・・・・。それで――?


『嫌ですわ、気づいていらっしゃいませんの?――おじ様は今、夢の中に取込まれておいでですのに。』

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