第二十二話 整備室で見つけたもの
朝食に呼ばれたルカがエリナと共に戻り、軽く食事をとった後、二人は今後の行動について話し合っていた。
「今日で森に入って三日目だし、いつ帰るかとか、ここから出る時にあの熊どうするかとか考えなきゃね……」
「諸々の事情を無視していいなら、このままサテライトの調査と対応をすべて終わらせてから帰るのがシンプルでいいんだけどな。」
『その選択はできない事情があるのですね?』
エリナが手元のマグカップの水を少し口に含んで飲むと、マグカップの縁をその細い指でなぞりながら、小さくため息をついた。
「元々は森に入って土地神様の巨岩まで行ったら軽く周囲を調べて帰るだけ、くらいの予定でしかなかったから、持ってきてる食料は三日分くらいなの。切り詰めても四日が限界かな。この施設内で水と食料も作れるって聞いたけど、それに頼って長期間ここにいると村にいる兄さんやお義姉ちゃんに心配かけちゃうし……」
「まぁそれは期限的な話だな。それとは別に周辺に生息してる熊も問題だよ。本来の森大熊に比べて脅威度も行動パターンも違う。森狼とも共生してる節があるし、ここを出る時にはまた遭遇することになるだろうから、何の対策もなしに外には出られない。」
『なるほど。では一度村へ戻ることと、周辺の脅威への対策が必要なのですね……ルカ、電源の状況は朝のうちにいくらか改善していますね?』
二人の話を聞いたアリスが、今朝の作業状況について問いかけてきた。ルカは顎先に手を添えながら、作業状況を反芻する。
「まぁね。ラボの時と同じようなケーブルの断線や破断は、交換済みだよ。発電モジュールは問題なさそうだから、電源周りだとあとはラボへの送電モジュールを見るくらいかな。」
『わかりました。ではこちらでサテライトのセンサーデータから周辺状況について少し解析してみます。照明・空調システムは有効化しておきますので、二人で整備室に行ってください。』
「整備室って何があるの?」
手に持っていたマグカップをダイニングテーブルに置き、エリナが問いかける。一応むやみに歩き回らないようにはしているので、エリナ自身、中央制御区画と生活支援区画、そしてルカを呼びに入った電源区画以外は、まだ足を踏み入れていない。
『サテライトの巡回整備を行っていた作業担当者用の装備品がいくらかあるでしょう。昔は各サテライトを巡回するのにも、相応の危険がありましたから……いくらか使えるものもあるでしょうし、その辺りの野生動物程度であれば簡単に駆除できるレベルのものがあるかもしれませんよ。』
ラボやサテライトは元々父母の私的な施設なので、中心となって作業を行ったのは二人なのだが、世界中に作った設備をすべて回るのは難しかったらしく、地上に残った者の中から人を雇い、サテライトの巡回整備を依頼していたらしい。
確かに、そういう巡回していた担当者の所持していた装備品があるのであれば、そもそもの技術水準が桁違いなのだから、今の世界でも十分通用するものが残されている可能性は高い。
「昔の武器かぁ~……めちゃくちゃ凄いか、まったく使い物にならないか、どっちだろうね~」
エリナがにこにこと微笑みながら言った。後者だと何の解決にもならないのだが、当の本人はおそらくそのように考えていない。どんな凄い武器が見つかるのだろうかと期待に胸を膨らませている。
「あとでガッカリすることになるかもしれないんだ。期待しすぎないように。」
「はーい!」
元気よく返事をして立ち上がるエリナをよそに、ルカは苦笑いを浮かべて席を立ち、廊下に向かって歩き出した。
エリナもルカの背中を軽い足取りで追っていく。
廊下に出て整備室前まではすぐである。廊下の突き当たりにある扉から二人は整備室に入り、入口のすぐ横にある照明のスイッチを操作すると、整備室内が明るく照らされた。
正面奥に整備用の作業台があり、その周囲には壁に沿って複数の棚が並んでいる。棚には様々な物が置かれているのが見て取れるが、それが何なのかは近付いて手に取ってみなければわかりそうにない。
明るくなった室内をよく見てみると、ところどころ壁にひび割れた跡のような亀裂が見えるが、その隙間はすでに埋め直されたようになっていた。
知識としては知っていたが、おそらくこの修復跡はサテライトの構造体に仕込まれたナノマシンによる修復跡なのだろう。
「さてと、なにか使えそうなものは――」
「あるかなぁ~っと♪」
旧文明当時の技術水準の高さの痕跡を横目に再度室内を見回そうとしているルカの後ろから、身体の横をすり抜けるようにエリナが室内に割って入っていった。
「あ、おい! むやみに触るなよ! そもそも使い方もわからないだろ? 爆発物とかがあったら怪我じゃ済まないぞ!」
「あっ……」
そもそも自分の知識に無いものばかりなのだということをうっかり失念していたらしく、嬉々として手当たり次第に触ろうとしていたエリナは、数歩進んだところでルカに指摘されてピタリと動きを止めた。
その瞬間、少し足をもつれさせるようにしてエリナが転ぶ。転んだと言っても少し膝をついたくらいではあったが、気恥ずかしかったようでこちらを振り向きながら「えへへ」と笑ってみせる。こころなしか頬が赤く、少し暑いのか額に汗が滲んでみえた。
「せ、セーフだよね?」
確かに刃物のような"触って振り回したりしなければ大丈夫"なものだけではなく、"触ったら何かが飛び出る"、"爆発する"といったものが転がっている可能性もなくはない。
「ギリギリな。とりあえず俺の方で一つずつ見ていくよ。エリナに使えそうなものがあればちゃんと言うから、ちょっとおとなしくしていてくれ。」
「はぁい……」
ルカに諭されて面白くないのか、唇を少し尖らせて頬を膨らませる。可愛らしいが、事が事だけに好き放題にさせるわけにはいかないので、ルカはそれ以上何も言わずに整備室内の棚を端から順に見て回ることにした。
背中にエリナの視線が刺さるのを感じながら、棚に置かれたものを一つずつ確認していく。
作業台の左手に並んでいた棚には、工具の類やサテライトの修理用の部材、また様々なものを作るための材料となる資材がほとんどのようで、今求めているようなものは特になさそうだ。
続けて今度は作業台を挟んだ反対側の棚に置かれているものを確認する。
ちなみにエリナはというと、眺めていてもルカが手に取るものが何なのか、皆目見当がつかないせいか早々に飽きてしまったようで、作業台に腰掛けて足をブラブラと投げ出して暇を持て余していた。
「そういえばちゃんと聞いてなかったんだけど、ここって何年くらい前の施設なの?」
昨夜のうちにルカやアリスから旧文明の知識を幾らか教えてもらってはいたものの、情報は膨大で内容によっては二人が回答すること自体を避けたものもあり、エリナが知らない事は多岐にわたる。施設や旧文明がどれくらい昔だったのか、と言ったある意味当然の話題にもまだ触れられぬままだった。
「ざっくり二億八千万年前くらいかな。当時は西暦三八〇〇代だったはずだよ。」
「はぁ!? 二億? せいれき? 大昔だし暦が違うのはわかるけど……王都にある古い建物でも二百年とかくらいだよ? そんなに長い間耐えられる建物とか信じられない……しかも西暦三八〇〇年とかってことは、その時の文明自体が三八〇〇年は続いてたってことよね……」
今は真暦三七三年だし、本当に桁違いだよ――などと流石に想像していたよりもかなり長い期間だったようで、開いた口が塞がらないといった様子でぼやいている。
今の世界は、ヴェールスフィア王国を始め、いくつかの勢力や組織が国家としての体裁を持つようになり、互いが国家同士の外交関係を結び始めた時期に"真暦"という暦を作っていた。文明としての形を成してからでもまだ千年は経っていない。
そんな時代を生きるエリナには、考えが及ばない過去の話なのだ。
「施設を作ってる物質は一億年レベルで安定した状態を保てる素材なんだ。そこに破損箇所を自動的に修復してくれる小さな仕組みを組み合わせてあるんだよ。そこの壁を見てみろ。」
ルカが先程見つけた壁の亀裂を指し示す。エリナは小首をかしげながらその亀裂を見つめた。
「本当はただの老朽化か地震なんかの影響でヒビが入ったんだろうけど、それが"小さな仕組み"ってやつで修復された跡だよ。」
「そうなんだ……てっきりただの変な模様だと思ってた。勝手に傷や破損を修復する仕組みとか、ほんとすごいとしか言葉が出ないよ……」
作業台から下りて壁際まで行き、修復跡をそっと撫でる。多少膨らんだり凹んだりはしているものの、隙間はしっかりと埋められていた。
改めて壁の修復跡を眺めていると、背後から唐突にルカの声がする。
「これは……」
「何か良いものあった?」
エリナが振り返ると、ルカが黒っぽい何かを手に取っていた。
途中で"く"の字に折れ曲がった棒状の何かに見える。"く"の字の内側には輪のようになった部分があり、その両端は美しい直線で構成された方と曲線や窪みがついた方とに分かれていた。
後者はどうやら持ち手になっているようで、ルカがその持ち手部分を軽く握るように持っている。ただ、人差し指だけは軽く伸ばし、輪の部分に引っかけていた。
ルカはその"何か"をいろいろと角度を変えながら観察している。
「ん~……見た限り使えそうだけど……アリス、これについて教えてくれるか?」
一通り観察を終えたルカがアリスに問いかけた。
『あぁ、やはりありましたか。』
アリスはすぐに反応してくれた。
『ネメックス・インダストリー社製ハンドガン、NI-HG3400Sシリーズの後期モデルです。ネメックス・インダストリー社の販売したハンドガンの中では、一般向けのベストセラーモデルですね。スプリットレールバレルという特殊なバレルを使用していて、通常状態で一般的な弾丸を使えるのに加え、簡単な操作でバレルが変形してレールガンとしても運用できるモデルです。確か《スプリット・セラフ》やシンプルに《セラフ》などと呼ばれていましたね。』
「そんな使い分けなんてできるのか?」
『ええ。バレルのモードと装填中の弾丸をちゃんと意識しておく必要はありますが、中々好評だったようですよ。』
「それは凄いな……」
目の前でどんどんと進んでいく会話。
もちろんエリナには何のことだかわからない言葉だらけだ。
「ちょ、ちょっと待って! ネメなんとか、とか、はんどがん? とか私わかんないよ。ちゃんと教えてくれない? あ、聞いてちゃマズいなら部屋から出るけど……」
思わず二人の会話に割って入る。内容がわからないのもそうだが、聞いてもいい話なのかどうかもエリナには判断ができない。
『まぁサテライトに入ってしまい、旧文明についても知ってしまっているのですから、外で他言しないようにしてもらえれば構いませんよ。それに知ったところで今の技術では再現できませんしね。』
確かに言われてみればその通りである。エリナにしてみれば、ルカが手に持っているものは何か金属製のものということはわかるが、構造も用途もまったくわからないし、独り立ち前とはいえ、これまでの人生でも見聞きした記憶はない。
二億八千万年前というのも昔過ぎて記録もなければ、どういう時代だったのかもわからないし、そういう時代に存在したものなのだから、エリナには理解のできない話なのだろうということは容易に想像がついた。
「そ、そう? じゃあちゃんと教えてもらっていい?」
ルカは手に持ったそれを慎重に作業台の上へ置き、話し始めた。
「これは"銃"という種類の武器の一種だ。その"銃"の中でも大きさが小さい種類の呼び名をハンドガンって言うんだ。種類にもよるけど、武器としては中長距離用の遠隔武器になる。」
「遠隔武器? 投げて使うとか?」
『いいえ、よく見るときれいな直線になっている方はその先に穴があり、筒状になっているのがわかりますか? そこから鉄の礫を勢いよく飛ばして相手にぶつけるのです。』
「あー、弓矢みたいなものかー……」
『ええ、それをより高威力に、より簡単に扱えるようにしたもの、と考えると良いでしょう。』
なるほど――と呟きながら、エリナが作業台に置かれた銃を見つめる。
「通常の弾丸とれーるがん? の機能がどうこうっていうのは?」
「そこは少し難しいんだが……エリナは火薬を知ってるか?」
この世界にも火薬はある。といってもごく原始的な黒色火薬だが、土木工事で岩盤を砕く時や戦場で城壁を破壊する時などに使われており、エリナも旅人から少し聞いたことはあった。
「うん。火を付けると爆発するやつでしょ。」
「そうだ。通常は鉄の礫の後ろにその火薬を詰め込んだものを使うんだ。弾とか弾丸とかって呼び方なんだが、この筒の中で火薬を爆発させることで鉄の礫を弾き出すようになってる。」
「爆発って……その銃ってのの中で爆発したら、そのまま吹っ飛ぶんじゃないの?」
爆発と聞き、エリナはあからさまに引きつった表情で言葉を続ける。
『大丈夫ですよ。あらゆることがちゃんと計算されているのです。爆発する火薬の量も、筒の強度も、その火薬の威力が向く方向も。ですので、このモデルの場合ちゃんと手入れさえしてあげれば、十万発以上を撃っても耐えられるんですよ。当時の巡回整備担当がこれを使わないといけないシーンはほとんど無かったでしょうから新品みたいなものですが、経年劣化は無視できませんので、一万発くらいが限界でしょう。』
「一万! ……普通の弓だと千回も射てばガタがきはじめるのに……」
「それに加えてこの銃――セラフはレールガンとしても使える。レールガンは……説明が難しいな。」
電気や磁力の概念が無いこの世界だと、レールガンの仕組みの説明は難しい。
『ふふ……そうですね。細かい原理の話は難しいので、火薬の爆発ではなく、昨日の話にあった雷の力を使って弾丸を飛ばすもの、とだけ理解しておけば良いでしょう。』
「あ、うん。わかった。雷も落ちる時にドーン! って爆発みたいな音するもんね!」
「いや、そういうことじゃないんだけど……まぁいいか。」
エリナはいろいろと勘違いしてそうだが、理解できそうにない説明をするのも、今の勘違いを正すのも難しそうである。
ルカは瞑目して少しばかり逡巡したが、すぐに説明を諦めた。
それよりも気にしなければならないことがある。
「問題は弾丸の調達と、レールガンのための電源か……」
そう。この世界には銃が存在しない以上、弾丸を作る人間もいない。また電気の利活用もされていない以上、レールガン用の電源の準備もできない。
弾丸はサテライト内にいくらかありそうだが、補給ができないとなると銃の使い所は難しくなる。
『それについては材料の調達と設備が必要ですね。どこかの機会製造設備があるサテライトに行ければ硝石と硫黄、あとは必要な金属の組み合わせで生産できる可能性はあります。』
「電源の方は?」
『それこそお二人が得意な感応術で対応すれば良いかと。感応術では空気中を数メートル、場合によっては数十メートル離れた位置から電撃で攻撃することが可能なのです。十分な電気エネルギーが得られますよ。弾丸は用途や威力に合わせて材質を考える必要がありますが、とりあえず鉄や鋼で良ければどうとでもなるでしょう。』
どうやら一通り運用するための問題は解決の目処が立ちそうである。
それならとルカはセラフの置かれていた棚とその周辺から、保管されていた銃弾を探し、一通り作業台の上に移した。
銃弾は青い箱が一つ。いくらか持ち出されているようで、少し減っているのがわかる。
レールガン用の弾丸である発射体の方は、まとまった数が無く、形状や素材が異なるものが二種類、どちらも数発ずつだ。
「どんな威力かはわからないけど、森大熊とは戦えそう?」
エリナが不安気に聞いてくるが、ルカの見立てでは問題にはならないだろう。いきなり目の前に立たれるようなことが無ければ、余裕を持って対処できるはずだ。
「試し打ちは必要だろうけど、多分問題無いよ。あんなギリギリの戦いにはならないさ。」
ルカの言葉を聞いて、エリナは少し安堵したのか、こころなしか表情を緩めたように見えた。
村への帰還のためには、期間的な問題よりも、まずは外にいるであろう獣を倒すことが必須条件だからだ。
「とりあえずこれで何とかなると思うけど、一応他にも使えるものがないかは確認しておこうか。」
ルカはまだ未確認だった残りの棚についても順番に確認していく。
最終的にルカの目に止まったのは、一振りのダガーと、内側に何かチップが埋め込まれているバングルの二つだった。
「ダガーと腕輪? ダガーはわかるけど、腕輪はいるの?」
「チップの部分が人によっては綺麗に見えるんじゃないかなと思って。そう思ってくれるようなら高値で売れるかもってとこかな。」
金になりそうなものは手元にあって困ることは無いしな、とルカは一言付け加えた。
と、その時アリスの声が聞こえてくる。
『ルカ、そのバングルはあなたが使ってください。とても役に立ちますよ。』
「うん? 何かチップの機能が役に立つのか?」
『ええ。そのバングルはアイオン・バングルと言います。ルカはマルチバース理論は知っていますね? 西暦二千年頃には量子力学の世界などで仮説として存在していましたが、西暦三千年頃には異なる複数の宇宙を観測できていました。その後さらに研究は進み、西暦三千五百年頃に異なる宇宙との人の往来までは実現できませんでしたが、異次元空間を作り、物を収納することは実現できたのです。その収納機能を小型化し実用可能にしたのがそのアイオン・バングルです。装着者の生体固有周波数をベースに装着者用の異空間を作成してくれますし、便利ですよ。』
「マジか……それは確かに売るべきじゃないな。これだけで今後の旅がだいぶ楽になる。」
今回森へ入る時もそうだったが、人が一人で運べる荷物はそれほど多くない。武器や防具の他に野営準備や食料、水など、必要なものは多岐にわたるものの、物が多くなれば移動に支障が出てしまう。
その点荷物を異空間に収納できるとなると、大量の荷物を好きに運べることになり、長旅での食糧問題などを気にする必要がなくなるなど、メリットは大きい。
ルカは早速アイオン・バングルを右手につけ、作業台の上に並べられた物を異空間に放り込んだ。扱い方自体は簡単で、声か簡単な手の動きのいずれかで操作でき、声の場合、格納する時は"ストア"、取り出す時は"リリース"と言えば良いらしい。
ちょうど手元に黒い光ですら吸い込んでしまいそうな、小さな楕円形の穴が開き、その穴から出し入れできるようになっている。
『ちなみにダガーの方もかなりの逸品なんですが……あまり興味無さそうですね……』
アリスは説明したそうにしていたが、エリナもルカもただの刃物にしか見えていないのか、それほど興味がないようで、アイオン・バングルにその辺りにある適当なものを出し入れしてその扱い方を試しているようだ。
「整備室の探索はここまででよさそうだな。アリス、周辺状況の解析は進んでる?」
ルカはアリスが進めてくれているサテライト周辺状況の解析について、その進捗を聞いた。
そういえば、とエリナも耳を傾けている。
『いくつか問題はありましたが、おおむね終わっています。いくつかお見せしたい情報もありますので、一度中央制御区画までお越しください。そこで説明しましょう。』
「わかった。エリナ、行こうか」
「……うん。」
解析はほぼ終わってると聞き、ルカがエリナに声をかけ、整備室の外に出ていった。
一体中央制御区画でどんな話を聞かされることになるのか。
サテライトからの脱出は問題なくできるのか、森の異変に関連する情報が得られるのか、はたまた何もわからないのか。
エリナは先を歩くルカを少し重い足取りで追いかけていく。
解析結果を聞きたい気持ちとそうでない気持ちがないまぜになったその表情に、なぜだか少し朱が差していることに、誰も気付いていなかった。




