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非凡な二人組  作者: 柳仁楓音


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1.五月上旬

 

 「高橋勇気(たかはしゆうき)、俺と科学作品展へ出展する作品を作ってほしい」


「だれだ、お前?まあ、よくわかんねぇけど、いいぜ!暇だし」



この適当に見える会話が、かれらの運命を変えることになるとは、誰も思わなかった__。



 日がよく当たる部屋に、男子生徒2人と教師が1人。部屋の片隅には、『科学部』と書かれたプレートがつるされている。


「なぁ、お前の名前聞いてないぞ、俺。あ、俺の名前は…」


「高橋勇気だ。知っている。俺の名前は亀井義之(かめいよしゆき)だ。」


「へぇ~、亀井って亀って字だろ?お前、亀なのか?」


「?俺は亀ではないぞ。」


彼らの会話はすこしずれているような気がする。

はぁ。科学部顧問として、こいつらの面倒をみなきゃいけない俺はまだ新任の田中亮祐(たなかあきひろ)、26歳だ。

俺は科学者を目指してたってのもあって、ほかの教師たちから半強制的に顧問に立候補させられた。

教師たちが頑なに科学部の顧問をやりたがないのは、科学部の部員は癖が強いからだろう。


けれど、この科学部ももうじき終わる。部員が亀井以外いなくなってしまったからだ。


亀井は小さなころから神童と呼ばれているような天才だ。彼の作品は大人の科学者を唸らせるようなものばかりで、彼が科学部に入部したときは、部のみなが期待して、手厚い歓迎を受けたそうだ。


だがしかし、天才というのは、常識を知らないたちらしい。

亀井は授業中まで機械いじりをしていたり、空き教室に許可なく道具を置いたりと、様々な問題行動を重ねたらしく、その評価は、すべて科学部に向かったそうだ。


 科学部は県や市でやっている科学作品展での出展を禁止され、3年生はもちろん、状況に不安を感じた2年生、1年生たちも次々に退部していってしまった。それが亀井が2年生の時の話。


それから3年に上がるまでは、亀井は必死に勧誘をしたらしいが、科学部の悪評は学校全体にまんべんなく広がっていて、誰も相手にしていなかったらしい。


  亀井は3年になり、最後の部員だからという情けからか、学校から科学作品展への出店が許可された。


俺は正直、もう科学をやりたくなかったので渋々亀井の相手をしていたわけだが、最後の科学作品展だし、手を入れたいから助っ人がほしいと、亀井が言い出した。


そして助っ人として亀井が呼び出したのは…、


学校一のバカと名の知れた、高橋勇気という男だった。

こいつは足し算も引き算もままならないし、まぁ、とにかく一般的に出来ることが出来ないバカだ。

高校に入れたのは奇跡としか言いようがない。



…そんなやつを助っ人にして、本当に大丈夫なのだろうか。



「で、俺は何すればいいんだ?」


「俺と一緒に科学作品を作ってほしい。」


「作品、ってことは絵とかってことか?俺、絵とかそういうのすげぇヘタクソだけど。」


「絵ではないから大丈夫だぞ。」


「なら、大丈夫か。」




いやいや、だいじょばねぇわ。こいつは科学のかの字も理解しきってないぞ。




「亀井さん、本当に高橋さんが助っ人でいいのかい?助っ人ならば、元科学部の子とかも協力してくれると思うけど。」


俺は心配から、最終確認をとる。


___今までの会話でわかっただろう。こいつはやめておけ。




「いや、俺は高橋がいいと思うんだ。助っ人は、高橋にしか頼めない。」


「?よくわかんねーけど、どーんと任せてくれよ!!」




・・・・これはうまくいかないな。


俺は内心諦めて、「よろしくね。高橋さん」となるべく柔らかい口調で話した。

こちらは短編で出そうとしていたものです。短編にしては、けっこう長くなってしまったので連載にしてみました。楽しんでいただけたら嬉しいです。

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