隣村の侵攻決着
グランが玄関ホールに入って来た。
迎え撃つは村長である親父だ。
グランが親父に話かけて来た。
「マクスウェルてめえ、随分と村人に慕われてる
みてぇじゃねぇか。」
親父はグランを真っ直ぐ見返して
「私は上に立つものとして責務を全うしているに
過ぎない。」
グランは悪態をつき
「けっ、どいつもこいつも、俺たちのような
平民なんて虐げて生きていくのが貴族様よ
お前もその内そうなってくぜ。」
親父は目を瞑り
「確かに貴族階級と平民の間には確執がある
しかし、それを武力でどうにかしようなど
皆を不幸にするだけだ!」
グランは首をふり
「てめえとは、話が合わないな。
この村は拠点としても最適、武力の質も
高い!俺がもらうぜ!」
グランが言い終わるかどうかのタイミングで
お互いが撃ち合い、互角。
「てめえ、文官の癖にやるじゃねえか」
グランは少し驚いている
親父は必死に抵抗して
「何、お前のような侵略者を想定して
日々訓練しているだけさ」
互いに撃ち合い数合ほど、親父が押されてきた
「少しはやるみてぇだが、現役の軍人相手にゃ
きつかったようだな?」
グランは笑いながら言う
「くっ!ここまでか!」
親父が姿勢を崩して片膝をついた
「終わりだ!!」
縦の大振りが親父を襲う
ガキィン!!
「なんだぁ!?てめえは!」
俺はその大振りと親父の間に割って入った。
『この間は世話になったな』
グランは俺の正体に気がついて
「はは!この間俺にやられたガキか!」
『父上、立てますか?』
「ああ、助かった。」
親父を立ち上がらせて、二人は剣を構える
「はっ!二人がかりで再戦か!いいねぇ!」
グランが切り掛かってくる
やはり動きは常人のそれを大きく凌駕する
速くてついていくのがやっとだ
なんとか喰らい付くが、ついていくのがやっと
防戦一方だ、親父も消耗しているため
二人がかりでも攻勢に出られない。
「そらそらぁ!どうした!」
『くそ!やはり強い!』
そこにトム団長が入って来た!
「無事ですか!」
「トム!よく来てくれた!」
グランが嬉しそうに
「あいつらやられやがったか、3人がかりでも
いいぜえ!俺は負けねぇ!」
そこからはお互い死力を尽くして戦った。
親父と俺が受けて、トムが攻撃をヒットさせる
そんな戦いは遂に終わりを迎えた。
「くっ、や、やるじゃねぇか。てめぇら」
グランが遂に床に突っ伏した。
「殺せ」
そんなグランに親父が語りかけた。
「グランよ、お前に中央で何があったのかは
知らんが、先にも述べたように
貴族と平民には隔たりがあるのは事実だ
力ではなく、我々と共に政治的に
解決に導いてはどうだ?」
グランは何か考えているようだ
「このまま、革命の道を歩んでも
大きな力に潰されて終わるだけだ
まずはこの辺境の村で力をつけて
中央へ声を届かせる。そうして政を
良い方向へ変えていかねば」
グランはよろよろと立ち上がった。
「へっ、確かにこんな辺境の村で
負けてるようじゃ、革命なんか無理そうだ
マクスウェル、あんたの言葉に乗っかるぜ」
そうして戦闘は終了。
村の広場に両村の戦士を集め
グランは詫びを入れた、そしてマクスウェル家に
政治的に力を借りて村の繁栄を約束した。
一方で村人は前の村長のやり方に不満を
持っていたようで、実はグランがそんなに
嫌われてはいなかった事がわかり
なんだかんだで丸く収まった。
その後グランは村長として親父に力を借りながら
善政を敷く村長として名を馳せた。
一方でトムさんや俺、自警団の訓練を行って
武力の底上げも実施した。
こうして村同士の戦いは終結したのだった。