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3.外出

 


 今日は初めての外出だ。

 とはいっても施設内の交流場に行くだけなんだけど、初めて博士以外の人やほかのアンドロイドと会うのだ。博士の手前「楽しみだ」と言ったが、正直あの白い部屋で博士とふたりで過ごす時間の方が楽しいと思う。


 博士に連れられて部屋から出ると、道中も何体かのアンドロイドとすれ違ったが、そのどれもが博士に連れられずひとりで行動しているようだった。



「博士、今のアンドロイド達は博士に連れられていないみたいだけど、私もいつかひとりで出歩くようになるの?」


「そうだよ。いつかはひとりで歩くことになる。今私が案内できるうちに部屋から交流場までの道順を覚えておくようにね。」


「はい!」


「じゃあ**、みんなと喧嘩しないように、仲良くね。」



 私が交流場に入ると博士は繋いでいた手を離してひらひらと手を振りながら来た道を戻っていく。

 交流場には「この研究所にはこんなにアンドロイドがいたのか」と驚くくらいたくさんのアンドロイドが自由に過ごしていた。


 本を読んだり、絵を描いたり、走り回ったり、話をしていたり、勉強していたり……私は本を読もうかな。


 本棚から本を取ると辺りを見回して、一番空いてる隅に座って本を読むことにする。

 目覚めてから初めて博士以外の人と話して社交性を身に着けるように、と言われてここに来たけれど知らない人に話しかけたり、知らない人の隣に座ったり…そういうことは私には出来ないかもしれないと思いながら本を開いた。



「ねぇ、その本面白い?」


「…えっ? あ、うん。面白い、です。」


 暫く夢中になって読書をしていると突然本の向こうから声をかけられた。

 少女型アンドロイドが机の向こうに一人で立っている。


「初めまして、私の名前は秋。今日ここに初めて来たの。あなたの名前は?」


「…あ、初めまして、私は**。私も今日初めて来ました。」


「そうなの? なら私たちはこの交流場について知らないことだらけね! ねぇ、一緒に先輩たちに話を聞きにいかない?」


 秋は瞳を輝かせて私の隣まで駆け寄り、私の左手を両手で包んだ。

 私は別に交流場について知りたいとも思わないが、手を掴まれた瞬間、捕まった、逃げ場を失った。そんな気がした。


(後から思えば、運命の女神さまが私を彼女に引き合わせてくれたのだと思う。)



「あ、いいですよ。…その前にこの本を返してきてもいいですか?」


「もちろんよ! 一緒に行きましょう。ねぇ、手を握ったまま歩いてもいい?」



 秋は私の手を「離さない」とでも言うようにキュッと握って私を見つめている。

 んんー…なるようになるか。


「いいですよ。」


「えへへ ありがとう。」


 あ…この子可愛い。


 照れたように頬を染めて笑う秋はとても可愛くて思わず秋の頭を撫でると「ふへへ」と笑いだす。

この子、写真集で見た犬によく似てる。



耳と尻尾が見えた気がした。


初めてのことって緊張しますよね。


博士…いきなり知らない人ばかりの場所に置いていくなんて鬼畜すぎますね。

初日くらい一緒にいてあげてよ! と書いてて思いました。

博士も「**の相手をする」以外の仕事が溜まってるので出来ないですけどね。

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