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1.何もない私が目覚めた

 

 ガッガガッ

 ピーピーッ

 フォーン



 電子音が鳴り響く白い部屋で私は目覚めた。



 身体は酷く重たい。頭も上がらないし腕もピクリとも動かない。唯一動かせた眼球使ってゆっくりと辺りを見渡す。なんだかよくわからない機械が壁面を覆い隠して、そのから伸びたコードが私の身体に繋げられているのがわかった。


 …ここはどこで、私は一体? なにもわからない。身体に繋げられたこのコードはなんだろう? 


 腕を動かそうと力を入れても相変わらず動かないので諦めて力を抜くと、頭上の見えなかった方向からウィーンと何かが動くような音が聞こえてきた。



「あ、あぁー! 目が覚めたんだね【識別番号Y1314】、調子はどう? 身体に不備はない?」



 間抜けなような、全てを理解して道化を演じているのか分からない能天気な声の白い人は私の視界に入る位置で立ち止まりニコニコしている。


 …そんなことよりも、眼球しか動かせないのだからどうやって答えたらいいのだろう? 身体が動かせないのは不備に入るだろうか?


 どうしようかと考えていたら白い人は「あ、そうだった」と声を出して壁面の機械に近付いてカタカタと音を出す。白い人の背中で隠れて何をしているか分からないけど、タンッ! という音がすると身体にチクリと刺激が走って吃驚して思わず「いたい」と声が出た。



「おや、痛かったかい? いやぁ~ごめんね。出力の回路を繋いでなかったよ。どうだい? これで動けるようになったかな?」



 刺激のおかげで声が出せるようになってることに気付いた。身体は…いつの間にか身体に繋げられたコードが外れて床に落ちている。先ほど刺激があったときに外れたのだろうか?


 腕に力を入れると思ったとおりに動く。首も動くようになったので頭を動かして辺りを見ると、頭側の壁面に機械は無く、壁と同色の白い扉があるだけだった。



「身体起こせるかい?」



 まじまじと辺りを見ていたら白い人がくすくすと笑いながら手を差し出した。その手を取って上体を起こす。ついさっきまでは動かなかった身体が動くようになっているし、声も出せて意思の疎通もできる。



「ありがとう ふび ない なった」


「そうかい、ならよかったよ。」



 身体の状態を検査された後は、状況説明をしてもらった。どうやらここは研究所で、博士は研究所のたくさんいる従業員の1人らしい。(白い人と呼んだら博士と呼ぶよう言われた。)そして私は博士に生み出されたアンドロイドなのだそうだ。



「とりあえず【識別番号Y1314(きみ)】のすべきことは読み書き計算の取得かな? まだ平仮名カタカナも読めないだろう? イントネーションも覚えないと、今のままだと少し会話がやりづらいからね。やれるね?」


「やる」


「よし、大変だろうが頑張れ。」



 博士は私の頭をぐりぐりと左右に揺さぶり、「では早速」と、どこからか本を取り出して私のそばに座った。何をするのかと思ったら絵本の読み聞かせを始めた。読み書きを覚えると言った手前、必死になって目で文字を追いながら耳で音を拾う。これでこの絵本に書かれた文字は覚えれた。

 覚えた証拠に適当な1行を指して読み上げる。


「おぼえた ”れをひみつきちとする”」


「おっ早いね。流石**だ!」


「……?」


 突然"アンドロイド"とも、"【識別番号Y1314(きみ)】"とも違う言葉を言われたので少し混乱する。そんな私を見て博士はにこりと笑ってこう言った。



「**は君の名前だよ。誰が見ても君の性格が分かりやすい名前をつけた。今日から君は【識別番号Y1314】じゃなくて**だ。」




【識別番号Y001】~【識別番号Y1313】は存在していましたが、全て壊れたので廃棄してます。


適当な1行抜き出したらそりゃ文章の途中からになりますよね。

適当に考えた元の文章は「今日から押入れを秘密基地とする!」でした。

おそらく家の押し入れを秘密基地に改造する話です。


名前を付けてもらった**は【識別番号Y1314】よりも短くて良いねと思いました。

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