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プロローグ:忘却の闇と散乱する記憶
かつて、世界は「記憶の守護者」と呼ばれる一族の指導のもと、人々の大切な記憶を星に変え、夜空に輝かせていた。
神聖な儀式により、記憶エネルギーは「記憶の水晶」に結晶化され、古代の装置によって夜空へと昇っていく。そこには、喜び、悲しみ、希望といった感情が宿り、星座となって永遠に輝き続けるはずだった。
しかし、ある日──封じ込められていた否定的な感情が暴走し、恐怖や絶望、後悔が形を持った。「忘却の闇」の誕生だった。
それは世界の調和を乱し、記憶の星々を飲み込み、砕き、散らしていった。そして、水晶に刻まれていた「記憶の断片」は無秩序に飛び散り、迷宮の奥深くに閉ざされた。
断片はただの破片ではない。それは、かつて誰かが確かに抱いた想いの欠片。輝きとともに、痛みも秘められた、大切な記憶の証。
そして今、その失われた記憶を取り戻す旅が始まる──。