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異世界転生×ユニークスキル 武器使い ありとあらゆる武器を使いこなして無双する!?  作者: 月神世一
第二章 新たな若鷲

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ep 7

ラッキー・ストライカーズ、初陣は爆炎と…くしゃみと共に

アルクスの街の西門をくぐり、鬱蒼とした森へと足を踏み入れたアレンたち「ラッキー・ストライカー」の面々。彼らの記念すべき最初の依頼は、「アルクス近郊の森に出現した凶暴なワイルドボアの群れの討伐、及び可能な限りの素材確保」。

森の中は、昼間だというのに木々が陽光を遮り、薄暗く湿った空気が漂っていた。先頭を行くのは、虎耳族の優れた五感を頼りに、コハク。彼女は時折ピンと虎耳を立て、鼻をひくつかせながら、慎重に、しかしどこか楽しそうに獣道を進んでいく。その後ろを、アレンが片手剣に手をかけ、周囲を警戒しながら続く。レミーラは、そんな二人の少し後ろを、大切な杖を胸に抱きしめ、小さな鳥のさえずりや、風にそよぐ木の葉の音にもビクッと肩を震わせながら、おっかなびっくりついて来ていた。そして最後尾は、巨大な魔砲「轟鉄 Mk-II」をその小さな体に不釣り合いなほど軽々と背負ったボルガン。彼は「フン、この程度の森、オイラの『轟鉄』の敵ではないわい」と強がりを言いつつも、時折ゴーグルを上げては、額の汗を拭っていた。

「コハク、ワイルドボアの気配はまだか? あまり奥地に入りすぎるのも危険だぞ」アレンが小声で尋ねる。

「ん~? もうちょっと先っぽいかなー。なんか、獣臭い匂いが濃くなってきた気がするぜ! よーし、アタイが一番乗りでぶっ倒してやる!」コハクは、腰の両手剣「虎王」の柄を握りしめ、やる気満々だ。

「待てコハク! 今回の依頼は、素材も重要なんだ。お前が力任せに暴れたら、ボルガンと同じで素材がダメになるかもしれないだろ?」アレンが慌てて制止する。

「えー、つまんないのー。じゃあ、アレンが最初に一体仕留めて、アタイが次、その次はボルガンで、最後はレミーラもなんか魔法でドカンと……」

「レ、レミーラは、その、回復と補助で頑張りますですの……!」

そんなやり取りをしていると、不意にコハクが立ち止まり、低い姿勢で前方を鋭く見据えた。「…いたぜ。あれだ」

コハクの視線の先、少し開けた茂みの奥に、数頭の巨大なワイルドボアが、土を掘り返したり、木に牙を擦り付けたりしている姿が見えた。その体躯は小型の牛ほどもあり、赤茶色の硬そうな剛毛に覆われ、何よりもその口元から鋭く湾曲して伸びる牙は、まともに食らえば致命傷になりかねないほどの威圧感を放っている。その数、ざっと五、六頭。

「よし、作戦通り、まずはボルガンの魔砲で先制する。ボルガン、頼む! なるべく素材を傷つけないように、群れを混乱させる感じで一発……」アレンが指示を出し始めた、まさにその時だった。

「待ってましただぜ、アレン!」ボルガンは、アレンの言葉を最後まで聞く前に、目をキラキラと輝かせ、背負っていた「轟鉄 Mk-II」を勇ましく地面に設置し、その巨大な砲口をワイルドボアの群れへと向けた。「これぞ、オイラの鍛冶魂の結晶! フルバースト・ロマンキャノン、チャージ開始じゃあ!」

ボルガンは、魔砲の側面に付いた複雑な歯車やレバーを慣れた手つきで操作し始めると、砲身の奥からギュイイイインという甲高い機械音と共に、眩い魔力の光が集束し始めた。彼の小さな体に不釣り合いなほどの魔力が、轟鉄へと注ぎ込まれていくのが分かる。

「おぉー! すっげー! あれがボルガンの必殺技か!」コハクは、目を輝かせてその様子を見守る。

「だ、大丈夫でしょうか……。なんだか、すごい音が……」レミーラは、そのあまりのエネルギーの充填音に、少し顔を引きつらせて後ずさった。

「(まずい、あいつ、完全に『木っ端微塵』にする気だ……! しかも、チャージが思ったより長いぞ……!)」アレンは内心冷や汗をかきながらも、今さら止めることもできず、固唾を飲んでボルガンの魔砲が火を噴く瞬間を待った。

「チャージ、90パーセント……95……99……今だァァァ! 喰らえ、ワイルドボアども! オイラの一撃必殺、フルバースト・ロマンキャノォォォン! 発射ァァァァ……」

ボルガンが、渾身の力を込めて魔砲の引き金を引こうとした、まさにその刹那だった。

「へ……へっ……ハッークション!!!」

それまで静かに息を潜めていたレミーラが、突然、森の植物の花粉か、あるいは近くを飛んでいた小さな虫のせいか、盛大なくしゃみを、それも特大のくしゃみをしてしまったのだ。その衝撃で、彼女の体が大きく揺れ、運悪く、チャージを終えてまさに発射寸前だったボルガンの「轟鉄 Mk-II」の砲身に、彼女の細い腕がドンとぶつかってしまった。

「なっ!? おい、何をするんじゃ、エルフの小娘め!」ボルガンが叫ぶと同時に、魔砲の引き金は引かれてしまった。

ゴオオオオオオオオオオオオオッ!!!

凄まじい轟音と衝撃波と共に、「轟鉄 Mk-II」から放たれた極太の魔力光線は、しかし、レミーラのくしゃみによる衝突でわずかに軌道がずれ、本来狙っていたワイルドボアの群れから大きく逸れ、彼らの背後にあった、ひときわ大きな岩と鬱蒼とした茂みへと、一直線に突き進んでいった。

ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!

天変地異かと思うほどの、耳をつんざく大爆発。衝撃で大地が揺れ、周囲の木々がなぎ倒され、土煙がもうもうと立ち込める。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーっ! オイラの、オイラの『フルバースト・ロマンキャノン』がぁーーーーっ! 狙いが、狙いが明後日の方向にぃぃぃーっ!」ボルガンは、頭を抱えてその場に崩れ落ち、絶叫した。

「ご、ご、ごめんなさいぃぃぃ! わたしの、わたしのくしゃみのせいでぇぇぇ!」レミーラは、顔面蒼白になり、涙目でボルガンに必死に謝っている。

「お、おいおい、なんだ今の爆発は!? すっげー威力だけど、全然当たってねーじゃんか!」コハクは、呆気にとられながらも、その破壊力には感心しているようだ。

アレンは、立ち込める土煙の向こうを凝視しながら、額に冷や汗をかいていた。(とんでもない威力だ……。あれが直撃してたら、ワイルドボアどころか、森の一部が消し飛んでたぞ……。しかし、あの爆発……何か、嫌な予感がする……)

その時だった。爆心地となった岩陰から、先ほどの魔砲の爆発音とは明らかに質の違う、地底から響くような、重く、そして怒りに満ちた咆哮が轟いた。

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

土煙が晴れると、そこには、先ほどのワイルドボアたちとは比較にならないほど巨大な、全身が血のように赤い肌で覆われ、頭には二本のねじくれた角を持つ、棍棒を握りしめた一体の魔物が、片目を押さえ、明らかに苦悶の表情を浮かべながらも、凄まじい怒りのオーラを放って立っていた。

「レ、レッドオーガ……!? なんでこんなところに……しかも、ボルガンの魔砲、あいつに当たったのか!?」アレンは、その凶悪な魔物の姿に息を呑んだ。レッドオーガは、C級以上の冒険者でも苦戦を強いられることがある、非常に凶暴で強力な魔物だ。

瀕死の状態ながらも、レッドオーガは理性を失い、怒り狂っていた。そして、その怒りの矛先は、自分を攻撃したであろうアレンたち……ではなく、たまたま一番近くで、先ほどの爆発音に驚いてウロウロしていた、ワイルドボアの群れへと向けられた!

「グオオオオオッ! ブモオオオオオッ!」

レッドオーガは、手にした巨大な棍棒を振り回し、まるで邪魔な虫でも払うかのように、ワイルドボアの群れに猛然と襲いかかった。ワイルドボアたちも、その鋭い牙で反撃しようとするが、怒り狂った瀕死のレッドオーガの圧倒的なパワーの前にはなすすべもなく、次々と棍棒の一撃で頭蓋を砕かれ、あるいはその巨体で踏み潰されていく。

「お、おいおい、なんだこりゃ……」

「すっげー! レッドオーガ、ちょー強いじゃん!」

「あわわわ……わ、わたしのせいで、レッドオーガさんが怒って……でも、イノシシさんたちが……」

「…………(呆然)」

アレン、コハク、レミーラ、そしてボルガンは、少し離れた茂みの陰から、目の前で繰り広げられる、あまりにも予想外で、そしてシュールな光景を、ただただ呆然と見守るしかなかった。

やがて、レッドオーガの怒りの鉄槌(棍棒だが)によって、ワイルドボアの群れは一匹残らず全滅した。そして、そのレッドオーガ自身も、魔砲による深手と、最後の力を使い果たしたためか、大きな地響きと共にその場にどうと倒れ伏し、動かなくなった。

後に残されたのは、めちゃくちゃに荒らされた森の一部、ワイルドボアの無残な死骸、そして力尽きたレッドオーガの巨体と……言葉を失った「ラッキー・ストライカー」の四人だった。

「……と、とりあえず、依頼は……達成、なのか……な?」アレンが、恐る恐る口を開いた。

「素材は……うん、まあ、レッドオーガさんが綺麗にバラしてくれた、ってことで……」コハクが、苦笑いを浮かべる。

「わ、わたしのくしゃみが、こ、こんな結果になるなんて……ごめんなさい、ごめんなさい……」レミーラは、また泣きそうになっている。

「オイラの……オイラの『フルバースト・ロマンキャノン』は……ワイルドボアを一撃で木っ端微塵にするはずだったのに……。でも、レッドオーガを一撃で瀕死にしたってことは……やっぱり、オイラの『轟鉄 Mk-II』は最強なんだぜ……! ……多分」ボルガンは、複雑な表情で、しかしどこか満足げに自分の魔砲を撫でていた。

こうして、「ラッキー・ストライカー」の記念すべき初陣は、レミーラの「ラッキードジ(?)」と、ボルガンの「狙いが外れた一撃必殺砲」によって、誰も予想しなかった形で幕を閉じたのだった。彼らの冒険は、どうやら最初から波乱万丈の連続になりそうな予感が、アレンの胸を強く打っていた。


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