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異世界転生×ユニークスキル 武器使い ありとあらゆる武器を使いこなして無双する!?  作者: 月神世一
第二章 新たな若鷲

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ep 3

アルクスの若鷲、運命の出会いと始まりの鐘

アルクスの丘の上、両親であるリュウとセーラに見送られ、アレンは期待と、ほんの少しの不安、そしてそれらを遥かに上回る大きな希望を胸に、冒険者ギルドの重厚な木の扉の前に立っていた。今日こそ、彼が夢にまで見た冒険者としての第一歩を踏み出す日なのだ。新しい装備は体に馴染み、父から教わった剣術と闘気の心得、母から授かった魔法の基礎が、彼の背中を力強く押している。

「よし……!」

アレンは一度大きく深呼吸をすると、意を決してギルドの扉を押し開けた。

ギィィ……という音と共に扉が開くと、そこには彼の想像を遥かに超える喧騒と熱気が渦巻いていた。昼間だというのに薄暗い酒場のようなホールには、屈強な戦士たちがエールを片手に武勇伝を語り合い、フードを目深にかぶった魔法使いらしき者たちが難しい顔で羊皮紙の地図を広げ、そして壁一面に貼り出された依頼書の前では、多くの冒険者たちが真剣な表情で次の仕事を探している。獣の革の匂い、酒の匂い、そして人々の汗と鉄の匂いが混ざり合った独特の空気が、アレンの鼻腔をくすぐった。

(これが……冒険者ギルドか……!)

圧倒されそうになるのをぐっと堪え、アレンは受付カウンターを目指して人混みをかき分けようとした。冒険者登録を済ませ、自分もこの熱気の中に身を投じるのだ。その決意を新たにした、まさにその時だった。

「きゃっ! あわわわわ~っ!」

可愛らしい、しかし明らかにパニックに陥っているような悲鳴と共に、アレンの視界の隅から、小柄な影が猛スピードで、しかもフラフラとバランスを崩しながら突っ込んできた。避けようとする間もなく、ドンッという鈍い衝撃と共に、アレンはその小さな影と派手にぶつかり、二人して床に派手に尻餅をついてしまった。

「い、いったたた……。ご、ごめんなさいっ! 本当にごめんなさい! 全然前を見てなくて……!」

アレンにぶつかってきたのは、彼と同じくらいの歳だろうか、透き通るような白い肌に、陽光を浴びると淡い翠色に輝く長い髪を持つ、エルフの少女だった。大きな碧眼を潤ませ、顔を真っ赤にして何度もぺこぺこと頭を下げている。その頭からは、エルフ特有の長く先尖りの耳が、申し訳なさで完全にしょげてしまっており、背負っていた古びた木の杖やら、腰の小さなポーチから飛び出したらしい羊皮紙の巻物やら、さらには木の実や綺麗な小石といった、彼女にとっては大切なものらしいガラクタ(?)までが、彼女の周囲の床に無残にも散らばっていた。その慌てふためく様子は、誰が見ても「ドジっ子」という言葉がぴったりと当てはまる風情だ。

「だ、大丈夫だよ。僕の方こそ、急に立ち止まっちゃったみたいだから。それより、君こそ怪我はない? どこか打った?」アレンは、お尻の痛みを軽くさすりながらも、慌てて立ち上がり、少女に手を差し伸べた。父リュウと母セーラから常に言われてきた「困っている人には、まず手を差し伸べなさい」という教えが、自然と彼をそうさせた。

「は、はいっ! わ、わたしは大丈夫です! あの、本当に、本当にごめんなさい……!」少女は、アレンの差し出した手を恐縮しながらも、小さな声で礼を言い、おずおずと掴んで立ち上がった。そして、改めてアレンに向き直り、深々と、そして勢いよくお辞儀をする。「わ、わたし、レミーラって言います。レミーラ・シルヴァインです! あの、えっと、あなたは……?」

「僕はアレン。アレン・ウェルナーだよ。今日は、冒険者登録をしようと思って、ギルドに来たんだ」アレンは、にこやかに自己紹介した。目の前のエルフの少女の、あまりの慌てぶりと純粋そうな雰囲気に、少し緊張が解けたような気もする。

すると、レミーラと名乗ったエルフの少女は、その大きな碧眼をさらにキラキラと大きく見開いて、驚きの声を上げた。「えっ!? アレン君も、冒険者登録なんですか? き、奇遇ですねっ! わたしも、今日、賢者見習いとして冒険者登録をしようと思って、ここまで来たんです! でも、なんだかすごく緊張しちゃって、それで、その……あわわ……また転んじゃって……」再び顔を赤らめ、言葉尻がどんどん小さくなっていくレミーラ。

(賢者見習いか……。魔法が得意なのかな。でも、見た感じは……うーん、でも、人は見かけによらないって、父さんもよく言ってたっけ)アレンは、彼女のドジっぷりと「賢者見習い」という肩書きのギャップに内心少し戸惑いつつも、同じ目的を持つ、しかも同年代の仲間に出会えたことに、素直な喜びと親近感を感じていた。

「そうなんだ、一緒だね! それなら、もし良かったらなんだけど……僕と、一緒にパーティーを組んでみないかな? その、レミーラさえ嫌じゃなければだけど……」アレンは、少し照れくさそうに頬を掻きながらも、思い切ってそう提案してみた。一人で未知の世界に飛び込むよりも、誰かと一緒の方がずっと心強い。それに、目の前の彼女は、どこか危なっかしくて放っておけないような、そして守ってあげたくなるような、不思議な魅力を持っているように感じられたのだ。

「え……!? い、いいんですか……!?」レミーラの顔が、ぱあっと、まるで暗闇に朝日が差し込んだかのように明るくなったかと思うと、次の瞬間には不安そうな色を浮かべた。「で、でも、わたし、見ての通りすごくドジですし、きっとアレン君の足手まといになっちゃいます……。実は、ここまで来るのにも、何度も何度も道に迷っちゃって……。一人で冒険者になるなんて、やっぱりわたしには無理なんじゃないかなって、ずっとずっと心細かったんですぅ……」今にも泣き出しそうな大きな瞳で、レミーラはシュンと俯いてしまった。

アレンは、そんな彼女のあまりの素直さと、隠しきれない不安な気持ちに、思わず苦笑した。しかし、その言葉からは、彼女の優しさと、冒険への強い憧れがひしひしと伝わってくる。「大丈夫だよ、レミーラ。誰だって、最初は不安なものさ。僕だって、実はずっと一人じゃ心細いなって思ってたところなんだ。それに、レミーラは賢者見習いなんだろ? きっとすごい魔法が使えるに違いないじゃないか。僕は剣と、あとはほんの少しの回復魔法くらいしか使えないから、レミーラの賢者の魔法は、すごく、すごく頼りになると思う。だからさ、一緒に行こうよ、レミーラ」

「ア、アレン君……!」レミーラは、アレンのその真っ直ぐで、そしてどこまでも優しい言葉と、安心させるような温かい笑顔に、顔を上げ、その潤んだ碧眼を希望の光でキラキラと輝かせた。「は、はいっ! こちらこそ、ぜひよろしくお願いいたします! わ、わたし、アレン君のパーティーの一員として、ドジしないように、一生懸命がんばりますっ!」

こうして、運命の(そして、ちょっぴりドジな?)出会いを果たしたアレンとレミーラは、あっという間に意気投合し、共に冒険者としての第一歩を踏み出すことになった。二人は、床に散らばったレミーラの「大切な研究資料(?)」を一緒に笑いながら拾い集めると、先ほどよりもずっと軽くなった足取りで、今度こそ受付カウンターへと向かい、並んで冒険者登録の書類に、それぞれの震える手で、しかし確かな希望を込めて名前を記入したのだった。

受付嬢は、二人のその初々しくも微笑ましい様子に、くすりと笑みを浮かべながら手続きを進め、やがて真新しい銅製の冒険者カードが、アレンとレミーラそれぞれに手渡された。それを手にした二人は、顔を見合わせ、これから始まるであろう未知なる、そしてきっと素晴らしい冒険への期待に、胸をドキドキと高鳴らせるのだった。

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