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異世界転生×ユニークスキル 武器使い ありとあらゆる武器を使いこなして無双する!?  作者: 月神世一
武器使いの勇者

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ep 38

終焉の魔族、アルクスの絆、そして最後の聖戦へ

リュウは、もはや憎悪という感情すら超越した、ただ純粋な破壊の意思の塊と化したかのような魔族に向かって、最後の力を振り絞り突進した。その手には、血と泥に汚れた漆黒の両手剣が、まるで彼の怒りと絶望を代弁するかのように、重々しく握り締められている。

両手剣を頭上高く振りかぶり、魔族のそのあまりにも巨大な巨体に向かって、渾身の力を込めて斬りかかる。しかし、その決死の一撃は、あまりにも巨大すぎる魔族にとって、まるで子供の戯れに過ぎなかった。魔族は、その巨体に似合わぬ嘲笑を浮かべるかのように、軽く身をひねると、その山のような巨腕の一振りで、リュウの体を、まるで虫けらでも薙ぎ払うかのように、いとも容易く打ち据えた。

「グハッ……! カハッ……!」

リュウは、短い悲鳴と共に、まるで木の葉のように軽々と吹き飛ばされ、アルクスの石畳の道に激しく叩きつけられた。全身の骨がきしむような強烈な衝撃と、内臓が破裂したかのような激痛。もはや、立ち上がる力すら残っていない。

「リュウ様っ!」

セーラは、血の気の引いた顔で、その悲痛な叫び声を上げ、リュウの元へと駆け寄ろうとするが、魔族はそんな彼女の行動を許さなかった。再び、その巨大な顎が開き、先ほどよりもさらに凝縮された、全てを焼き尽くさんばかりの強力な灼熱の火炎を、セーラめがけて正確に放射してきた。

「セーラ! 危ない! 来るなァァァッ!」

リュウは、朦朧とする意識の中、地面に転がったまま、必死に、そして絶叫に近い声で叫んだ。

セーラは、リュウのその声に、そして眼前に迫り来る灼熱の炎の壁に、咄嗟に身を翻し、後方に大きく飛び退いた。彼女がいた場所は、一瞬にして焦土と化し、焼け焦げた石畳からは黒い煙が立ち昇り、強烈な熱風が周囲に吹き荒れる。

「クッ……! 体が……動かない……!」

リュウは、必死に立ち上がろうとするが、先ほどの魔族の一撃で、全身が鉛のように重く痺れ、全く思うように動かない。そして、その痺れと共に、体内に言い知れぬ不快な感覚が広がっていくのを感じた。魔族の攻撃には、強力な麻痺性の毒が含まれていたのだ。

「グオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

魔族は、もはや抵抗する力も残されていないリュウの姿を見て、勝ち誇ったかのように、天を衝くようなおぞましい咆哮を上げた。そして、ゆっくりと、しかし確実に、その巨大な足で大地を踏みしめながら、リュウに近づいてくる。その一歩一歩が、まるで死へのカウントダウンのように、リュウの心に重く響いた。

「リュウ様……! リュウ様……!」

セーラは、もはや涙でその美しい顔をぐしゃぐしゃにしながら、それでもなお、震える手で聖杖を握りしめ、必死に魔法を唱えようとする。しかし、目の前のあまりにも巨大で、そして絶望的なまでの魔族の威圧感に、彼女の心は完全に呑まれ、体は恐怖で氷のように硬直し、魔法を発動することができない。

「もう……! もう、だめですわ……!」

セーラは、その場にへたり込み、絶望に打ちひしがれた。

その、まさにアルクスの街が、そして世界の全てが、絶望の闇に完全に包まれようとしていた、その時だった。一人の、ボロボロになった革鎧を身にまとった、名もなき若い冒険者の男が、瓦礫の中から、震える足で、しかし決して諦めないという強い意志を目に宿して、ゆっくりと立ち上がった。それは、先ほどまでリュウたちと共に、この街を守るために必死に戦ってきた、多くの冒険者たちの一人だった。

男は、震える手で、折れかかった錆びついた剣を強く握りしめ、その全ての恐怖を振り払うかのように、魔族に向かって、魂の底からの叫びを上げた。

「俺だって……! 俺だって、このアルクスの街の冒険者だ! この街は……俺が、俺たちが、絶対に守ってみせるんだァァァァッ!」

その、たった一人の、しかし決して屈することのない勇気ある声に、まるで魔法が解けたかのように、絶望の淵にいた他の冒険者たちも、一人、また一人と、瓦礫の中から、あるいは倒れた仲間の傍らから、次々と奮い立った。

「そうだ! 俺たちも、まだ戦えるぞ!」

「リュウさんたちだけに、全部背負わせるわけにはいかねえ!」

「このアルクスの街を、そして俺たちの未来を、こんな化け物に好き勝手させてたまるか!」

傷つき、疲れ果て、あるいは仲間を失いながらも、それでもなお、彼らは再び武器を手に取り、立ち上がる。その姿に、セーラは、まるで暗闇の中に差し込む一筋の光のような、確かな希望を見出した。

「皆……! 皆さん……! ありがとうございます……!」

セーラは、溢れ出る涙を手の甲で乱暴に拭い、ゆっくりと、しかし力強く立ち上がった。そして、まだ地面に横たわるリュウに近づき、その冷たくなりかけた手に、自らの温かい手をそっと重ねた。

「リュウ様……! 聞こえますか、リュウ様……! 皆の力が、あなたに集まろうとしています……! あなたの力と、皆の力を……! 今こそ、一つにするのです……!」

セーラのその魂からの言葉に、リュウは薄っすらと目を開け、力なく、しかし確かに頷いた。

次の瞬間、二人の体が、まばゆいばかりの、そしてどこまでも温かい黄金色の光に包まれる。セーラのその身に宿る全ての聖なる魔力が、まるで清らかな奔流のように、リュウの傷つき、毒に侵された体へと流れ込んでいく。

同時に、セーラは、集まったアルクスの冒険者たち、そしてこの街を愛する全ての人々に向かって、その澄んだ声を張り上げた。

「アルクスの皆さん! どうか、わたくしたちに、リュウ様に、ほんの少しで良いのです、皆さんの力を貸してください! この街を、そして私たちの未来を、この手で掴み取るために!」

冒険者たちは、そして生き残った市民たちは、セーラのその魂の叫びに、誰一人として躊躇うことなく応えた。それぞれの胸に手を当て、自らの内に秘めた生命力、希望、そして何よりもこの街を守りたいという強い想いを、祈りと共にセーラへと送り始めた。

セーラは、集められたその無数の温かい光と力を、全てリュウの体へと、まるで命の奔流を注ぎ込むかのように流し込んだ。リュウの体は、その計り知れないほどのエネルギーを受けて、急速に、そして奇跡的に回復していく。麻痺していた手足に再び力が戻り、傷口は塞がり、そして何よりも、彼の魂の奥底で眠っていた、ウェポンズマスターとしての真の力が、完全に覚醒しようとしていた。

そして、リュウがその手に握る、血と泥に汚れた漆黒の両手剣が、まるで内側から溢れ出すかのように、まばゆいばかりの、そして神々しいまでの黄金色の光を放ち始めた。

その時、リュウの頭上に、空間そのものが裂けたかのような、亜空間への巨大な裂け目が現れた。そして、その裂け目の中から、まるで星々が降り注ぐかのように、アルクスの冒険者たちがこれまで愛用し、共に戦ってきた、剣、槍、斧、槌、弓、杖……ありとあらゆる種類の武器たちが、それぞれが淡い光を放ちながら、次々と、そして無数に現れ出る。それらは、まるでリュウの覚醒を祝福し、そして彼に力を与えようとするかのように、一つ、また一つと、リュウのその黄金色に輝く両手剣へと、まるで磁石に吸い寄せられる鉄のように、次々と吸い込まれ、融合していく。

リュウの両手剣は、その無数の仲間たちの武器と魂を取り込み、さらに、さらにその輝きを増し、もはや元の形状を留めないほどに、あまりにも巨大な、そして神々しいまでの光輝く大剣へと、その姿を変貌させた。

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

リュウの、もはや人間のものではない、ウェポンズマスターとして完全に覚醒した魂の雄叫びと共に、その光り輝く巨大な大剣を天高く掲げ、リュウは最後の敵、魔族に向かって、大地を割り砕くかのような勢いで突進した。

「これが、俺たちの、アルクスの街の、全ての想いだァァァァッ! 大・光・斬!!」

リュウのその渾身の一撃が、仲間たちの全ての想いと力を乗せた光の大剣が、魔族のそのあまりにも巨大で、そして邪悪な巨体を、まるで光そのものが闇を切り裂くかのように、真っ二つに両断した。

魔族は、断末魔の悲鳴を上げる間もなく、その存在そのものが、光の中に掻き消えるように、完全に消滅した。

アルクスの街には、再び、しかし今度こそ本当の平和が訪れた。市民たちは、歓喜の声を上げ、涙を流し、抱き合い、そして何よりも、この奇跡的な勝利をもたらした英雄、リュウとセーラの名を、天高く叫び続けた。

リュウとセーラは、アルクスの街の勇者として、いや、もはやこの世界の救世主として、市民たちに温かく、そして熱狂的に迎えられた。

しかし、二人の戦いは、まだ本当に終わってはいなかった。邪悪な魔族は、確かに倒された。だが、その背後にいた、全ての元凶である魔王は、まだこの世界のどこかで生きている。

リュウとセーラは、アルクスの街の人々の祝福と感謝の言葉を胸に、互いに視線を交わし、そして強く頷き合うと、再び立ち上がり、最後の、そして最大の敵である魔王討伐の、長く険しい旅に出ることを、アルクスの青空の下で、固く、そして熱く決意したのだった。

果たして、ウェポンズマスター・リュウと聖女セーラ、そして彼らを信じ、支える仲間たちは、この世界に真の平和を取り戻すため、魔王を討伐し、世界を救うことができるのか?

再び、そしておそらくは最後の、二人の壮大なる冒険の物語が、今、まさに始まろうとしていた。

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