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異世界転生×ユニークスキル 武器使い ありとあらゆる武器を使いこなして無双する!?  作者: 月神世一
武器使いの勇者

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ep 28

紅蓮の覚醒、ウェポンズマスターの咆哮

リュウの全身は、まるで内側から燃え上がるかのような、凄まじい怒りの炎に包まれていた。腕の中でぐったりとし、か細い息しかしていないセーラの姿。そのあまりにも痛々しく、そして儚い光景が、彼の心の奥底に眠っていた、これまで感じたことのないほど激しく、そして純粋な感情を呼び覚ましたのだ。

「許さない……! 貴様だけは……絶対に、許さないぞォォォォッ!」

もはや人間のものとは思えぬ、獣のような咆哮と共に、リュウは血の涙を流さんばかりの形相で両手剣を握り締め、大地を強く蹴り砕かんばかりの勢いで、ゴブリンエンペラーの巨体へと再び突進した。その黒曜石のような瞳は、憎悪と悲しみ、そしてセーラを傷つけられたことへの底知れぬ怒りの色に深く染まり、ウェポンズマスターとしての、いや、一人の男としての闘志が、彼の魂ごと燃え盛っていた。

「グオオオオオオオッ!」

ゴブリンエンペラーは、その巨体に似合わぬ驚くべき俊敏さで、手にしていた巨大な黒鉄の棍棒を、まるで嵐のように凄まじい勢いで振り回した。ゴウンッ!ゴウンッ!と、空気を切り裂く音が洞窟内に轟き渡り、その一撃一撃は、まさに山をも砕く破壊の権化そのものだった。

リュウは、もはや防御を考える余裕もなく、ただセーラをこれ以上傷つけさせないという一心で、研ぎ澄まされた両手剣を盾のように構え、エンペラーのその暴虐なまでの衝撃を正面から受け止めた。ガギィィィン!という、金属同士が激しくぶつかり合い、火花を散らす耳をつんざくような音が、洞窟全体に響き渡る。「クッ……! グゥ……!」両腕には、骨が砕けるかのような強烈な痺れが走り、ゴブリンエンペラーのその圧倒的なまでのパワーを、嫌というほど肌で感じさせられた。

しかし、リュウのその怒りに燃える瞳は、決して揺るがなかった。セーラのためにも、そして彼女が信じてくれた自分の力のためにも、ここで立ち止まるわけにはいかない。必ず、この強大で邪悪な敵を、この手で討ち滅ぼさなければならないのだ。

リュウは、ウェポンズマスターとしてのこれまでの全ての経験と、身体に染みついた鍛え抜かれた技を総動員し、重い両手剣を、まるで自分の意思を持った生き物のように巧みに操り始めた。ゴブリンエンペラーの繰り出す、ただ力任せで粗暴な攻撃の数々を、極限まで研ぎ澄まされた感覚で、紙一重で見切り、かわしていく。巨大な棍棒が地面を叩きつけ、岩盤が砕け散り、轟音と共に土煙が舞い上がる。その度に、リュウはまるで獣のように低い姿勢から、研ぎ澄まされた漆黒の刃を、ゴブリンエンペラーの分厚い鎧の僅かな隙間、関節部分などの弱点へと、執拗に、そして正確に突き刺そうと試みた。

そして、エンペラーが大振りの攻撃を放ち、ほんの一瞬だけ、その巨体に致命的な隙が生じた瞬間を、リュウは見逃さなかった。渾身の力を込めて踏み込み、両手剣を、まるで雷光のようにゴブリンエンペラーの守りの薄い脇腹へと、深く、そして容赦なく突き刺した。「グルギャアアアアアアアアアアアアアッ!」これまで聞いたどのゴブリンの、いや、どの魔物の悲鳴よりも大きく、そして苦悶に満ちた絶叫が洞窟内に響き渡り、ゴブリンエンペラーはその巨体を大きくよろめかせ、膝をつきそうになる。

だが、その規格外の巨体と生命力は、容易には倒れない。致命傷に近い深手を負いながらも、怒りに燃えるゴブリンエンペラーは、血走った目で再び咆哮を上げ、残された力を振り絞るかのように、その巨大な棍棒を、もはや防御も回避も不可能なほどの速度と密度で、雨のようにリュウめがけて振り回し始めた。リュウは、両手剣で辛うじてその嵐のような攻撃を受け止めていたが、あまりにも執拗な猛攻に耐えきれず、ついに渾身の一撃を込めた棍棒が、彼の体を真正面から捉えた。「クッ……! ガハァッ……!」凄まじい衝撃で、リュウの体は木の葉のように大きく宙へと跳ね上がり、そして洞窟の岩壁に激しく叩きつけられ、地面に崩れ落ちた。

激しい、全身の骨がきしむような痛みが脳天を貫き、リュウは立ち上がろうとしたが、体は鉛のように重く、言うことを聞かない。朦朧とする意識の中、血の味が口の中に広がり、視界が霞んでいく。そんな中、か細く、しかし凛とした、愛しい声が彼の耳にかすかに聞こえた。

「リュウ様……!」

セーラは、蒼白な顔で、自身の見るも無残な体を確認していた。全身にはおびただしい数の深い傷を負い、白い僧衣は鮮血で赤黒く染まり、出血も常軌を逸するほどひどい。それでも彼女は、リュウを助けたい、彼を死なせたくないという、ただその一心だけで、震える手で自身の傷口に、そしてリュウの傷に、最後の力を振り絞るように回復魔法をかけ始めた。微かな、本当に微かな淡い緑色の光が彼女の体を包み込むが、その効果は、彼女自身の消耗しきった魔力では、もはや焼け石に水、微々たるものだった。

「リュウ様……! わたくしが……わたくしが、戦います!」

セーラは、よろめき、ふらつきながらも、奇跡的に、そして執念で立ち上がろうとした。しかし、その体はもはや限界を超えており、まだ痺れが残っていて思うように動かない。膝が砕けそうになり、視界が何度も暗転しかけながらも、彼女は必死に、ただ必死に立ち上がろうとした。

「セーラ……! もういい、無理をするな! 逃げろ!」

リュウは、朦朧とする意識の中で、這うようにしてセーラに近づき、彼女を制止しようとした。今の彼女に、この絶望的な状況を打開する力など、もはや残されていないことは明白だった。

しかし、セーラのそのアクアマリンの瞳には、もはや恐怖の色はなく、ただリュウへの深い愛情と、そして決して諦めないという、揺るぎない決意の光だけが宿っていた。「いいえ! リュウ様……! わたくしも、戦います! わたくしは、もう、ただ守られるだけの、リュウ様の足手まといではございません! わたくしも、リュウ様のお力になりたいのです! あなたと、最後まで共に!」

セーラは、その小さな体に宿る、最後の、そして全ての生命力を振り絞って、天にその純白の聖杖を高く掲げ、まるで自らの魂を捧げるかのように、荘厳な祈りの言葉と共に、禁断の蘇生魔法を唱え始めた。「おお、光の女神よ、我が卑小なる身を触媒とし、この者に新たなる生命の息吹を! 全快復活リザレクション!」

彼女の小さな体から放たれた光は、先ほどまでの淡い回復魔法の光とは全く異質のものだった。まるで太陽そのものが地上に降臨したかのような、眩いばかりの、そしてどこまでも純粋な黄金色の光の奔流が、倒れたリュウの体を、まるで慈母が我が子を抱擁するかのように優しく包み込んだ。温かく、そして力強い光が、彼の傷ついた全身の隅々まで染み渡り、リュウは信じられないほどの、まさに奇跡としか言いようのない生命力が、その体の奥底から力強く湧き上がってくるのを感じた。

「リュウ様……! あなたは、もっと、もっと強くおなりになれるはずです! あなたは、ウェポンズマスター……! この世の全ての武器を意のままに操り、あらゆる敵を打ち破る、最強の戦士なのですから……!」

セーラのその魂からの言葉が、リュウの意識の最も深い場所に、まるで雷鳴のように、そして女神の啓示のように強く、そして深く響いた。彼女のその揺るぎない信頼と、自己犠牲をも厭わない強い想いが、彼の奥底に眠っていた、ウェポンズマスターとしての真の力を、完全に呼び覚ましたのだ。体中の細胞が歓喜の声を上げて活性化し、失われたはずの体力と気力が、まるで怒涛のように、彼の体へと流れ込んでくる。

「グオオオオオオオオオオオッ!」

ゴブリンエンペラーが、リュウのその尋常ではない変化に気づいたのか、あるいは瀕死の獲物にとどめを刺そうとしたのか、再び大地を揺るがすような凄まじい咆哮を上げ、その巨大な黒鉄の棍棒を振りかぶって、猛然と襲いかかってきた。

しかし、その瞬間、リュウの動きは、もはや人間のものとは思えぬ、まるで神速の如く変化した。亜空間に意識を瞬時に集中させると、彼の周囲の空間が再び歪み、まるで彼に仕える忠実な僕のように、おびただしい数の、そしてそれぞれが異なる殺気を放つ無数の武器が、一瞬にして出現した。鋭く尖った穂先を持つ鎖鎌が唸りを上げ、敵の骨をも砕く重厚なメイスが鈍い光を放ち、漆黒の長弓にはすでに必殺の矢が番えられ、そして彼の手に馴染んだ二本の短剣が、復讐の炎を宿して妖しく煌めく。

リュウは、まず最初に、まるで生きている蛇のようにしなる鎖鎌を手に取り、目にも留まらぬ速さで、迫り来るゴブリンエンペラーの太い足に正確に絡め取った。巨体がバランスを崩し、大きく体勢を崩したその瞬間、彼は間髪入れずに巨大なメイスを亜空間から召喚し、渾身の力でエンペラーの分厚い鎧の、僅かな継ぎ目を正確に叩き割った。ゴッ!という鈍い衝撃音と共に、硬い鉄鎧が哀れな悲鳴を上げる。

さらに、苦痛に顔を歪め、体勢を立て直そうとするゴブリンエンペラーの、憎悪に燃える赤い目を狙い、長弓から放たれた必中の矢が、寸分の狂いもなく正確にその眼球を射抜いた。続けざまに、両手に二本の短剣を抜き放ち、視力を奪われ、目くらましになった敵の首筋の、鎧で覆われていない部分を、深く、そして容赦なく切り裂く。

そして、最後は、亜空間から取り出した、刀身に龍の紋様が刻まれた、あの漆黒の巨大な両手斧。セーラへの感謝、そしてこの邪悪なゴブリンエンペラーへの底知れぬ怒りを込めて、渾身の力を込めて、その両手斧を、天高くから振り下ろした。

その全ての攻撃は、あまりにも速く、あまりにも正確で、そしてあまりにも美しく、まるで一瞬の夢幻の出来事のようだった。ゴブリンエンペラーは、そのあまりの速さと変幻自在の攻撃に、もはや反応することすらできず、為す術もなかった。リュウの動きは、まるで復讐の舞を踊る死神そのものであり、その流麗な美しさの裏には、敵を確実に、そして容赦なく仕留めるための、氷のような冷酷さが宿っていた。

「グオオオオオオオオオオオオオオッ!」

最後の力を振り絞り、ゴブリンエンペラーがその巨大な黒鉄の棍棒を、虚空に向かって力なく振り上げた。

しかし、リュウは、もはやウェポンズマスターとして、その全ての武器を自由自在に操り、その潜在能力を完全に引き出していた。そして、

「これで……終わりだァァァァァァッ!」

再び亜空間から、先ほどよりもさらに大きく、そして禍々しいオーラを放つ巨大な両手斧を取り出すと、全身の筋肉を極限まで隆起させ、全ての力をその一点に集中させ、渾身の一撃を、ゴブリンエンペラーの頭上めがけて、力任せに、そして正確に振り下ろした。

ズシャァァァッ!という、肉と骨が断ち切られる鈍い音と共に、その両手斧は、ゴブリンエンペラーの巨大な頭を、まるで熟れた果実でも叩き割るかのように、兜ごと真っ二つに叩き割った。

これまで聞いたどの魔物の悲鳴よりも大きく、そして絶望に満ちた、断末魔の叫び声を最後に、ゴブリンエンペラーは、その巨体をゆっくりと、しかし確実に地面に激しく叩きつけ、完全に絶命した。

リュウは、ぜえぜえと荒い息をつきながら、手にした両手斧を地面に深々と突き刺し、その場に膝をつきそうになるのを堪えながら、もはやピクリとも動かなくなったゴブリンエンペラーの骸を見下ろした。「やった……本当に……勝ったんだ……」

その瞬間、セーラが、まだふらつく足取りながらも、リュウの元へと駆け寄り、その疲弊しきった体に、力強く、そして温かく抱きついた。「リュウ様……! リュウ様……! おめでとうございます! あなたは……あなたは本当に、お強くなりました……!」

「ああ……セーラ……ありがとう……。本当に、お前のおかげだ……お前がいなければ、俺は……」リュウは、セーラのその温かさと、彼女の無事を確信した安堵感に、張り詰めていた緊張の糸が切れ、心からの感謝の言葉を、途切れ途切れに述べた。

二人は、どちらからともなく互いに強く抱き合い、この絶望的な死闘からの生還の喜びを、そして互いの無事を、言葉なく分かち合った。広大な洞窟内には、ようやく本当の静寂が戻り、激しく、そしてあまりにも長かった戦いの終わりを、静かに告げていた。

こうして、リュウとセーラの、あまりにも強大で邪悪なゴブリンエンペラーとの想像を絶する死闘は、セーラの最後の勇気と自己犠牲にも等しい献身、そしてそれに応えたリュウのウェポンズマスターとしての新たなる力の覚醒によって、ついに、無事に幕を閉じたのだった。

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