私の聖夜後サンタさん
おにくと申します(。ᵕᴗᵕ。)
クリスマス!かと思ったらもう終わってました
時の流れは早いですね(´・ω・`)
12月24日、クリスマスイブ。みんなが良い子になる日。
日付が変わる真夜中に良い子の元にサンタがやってくる。そしてサンタは枕元にプレゼントを置き去っていく。夢のような日だ。
ただ私にプレゼントが贈られることはない。なぜなら。
「私がサンタだからなぁ」
そう、サンタは実在する。
サンタは親が子供を寝かしつけるための架空の人物だとか言ってる人は多いが、まぁあながち間違いではない。
あの白ひげを蓄えて、ふぉっふぉっふぉっと笑いそうな、ぽっちゃりした感じのサンタは確かにいない。
サンタはあくまで職業の一つであって、あのサンタのイメージ像はサンタという職業の存在を隠すための嘘だ。
ちなみになぜ存在を隠すのかと言うと、子供にはクリスマスを不思議で楽しい日だと思ってほしいからだと上は言っていた。それには私も同意見だ。
だから私はサンタの職業に就いた。
今年もプレゼントを贈りにいく準備をするため、荷物をまとめていた。
「これがこの子で、これがこの子……よしこれでOKかな」
プレゼントの最終確認も終わり、私は夜を待った。
ピンポーン
休もうと思っていたその時。玄関のチャイムが鳴った。
私は少しだるい身体を動かして玄関に向かった。
「はーい、どちら様……」
「よっ雪。イブだしケーキ食べようぜ」
訪ねてきたのは彼氏の誠也くん。小さめのケーキを買ってきてくれたらしい。
「ありがと。どうぞ上がって」
机を挟み誠也くんと向き合う形で腰を下ろす。
二人でケーキを頬張った。口の中でふわふわのクリームが溶ける。
「雪はサンタになんかお願いした?」
誠也くんはまだ半分あるケーキに視線を落としながら聞いてきた。
「ううん、私のとこはサンタさん来ないから」
「なんだそれ、不平等じゃん」
「私は悪い子だからね〜」
私がサンタであることは誠也くんにも教えていない。あまり知られてはいけないから身内にも明かしてはいけないらしい。
「ふぅん……まぁ確かにそうだけど」
「おい。そこはフォローするとこ!」
誠也くんと話していると、自然と笑顔になる。笑わせてくれる。そんな彼が私は好き……なんだと思う。
正直なところ、中学最後のクリスマスのときに流れで付き合ってしまって約一年。私は彼のことが本当に好きなのか分からなくなっていた。
こんな気持ちで付き合っていては彼にも失礼だしはやく答えを見つけたいが、中々そうもいかない。
恋愛って難しいな。
誠也くんはケーキを食べ終わったら用事があるとか言って帰っていった。
「そろそろ私も行かなきゃ」
私はプレゼントが入った白い袋を持ち、周囲を警戒しながら家を出た。
というか毎年思うが、この袋重すぎる。私が担当している範囲はあまり広くはないがそれでも重い。もっと広い範囲を担当している人はどんな身体をしているんだろうか。会社側も袋の改良を急いでほしいところである。
でも今そんなこと言っても意味はない。
「よし、やりますか」
私は気合いを入れ直し、仕事に取り掛かった。
プレゼントを配り終えた私の身体は疲れ果てていた。
「疲れた……今日はお風呂入る気にもなれない。明日の朝入ろ」
ベッドに向かって倒れると、私の意識は深い深い布団の海へと落ちていった。
夢を見た。あの時の、中学最後のクリスマスのときの夢だ。
誠也くんに連れ出され、近くのイルミネーションを見に行った。受験勉強をやりすぎていた私を誠也くんは心配してくれていた。
たくさん食べ、たくさん歩き、たくさん笑った。今までで一番心に残ったクリスマス。
私は涙を流していた。それを見た誠也くんはハンカチを差し出し―――
目が覚めるとあれは本当に夢だったんだと少しがっかりする。でも一番の思い出をまた体験できたことは素直に嬉しかった。
スマホの時計を見ると11時と書かれている。この日、12月25日はいつも起きるのが遅い。なぜならサンタの仕事が終わるのは早くて4時で、寝るのが遅くなるからだ。しかも疲れ果てた身体は睡眠を欲している。一日中寝ていることなんてよくあることだ。
「え、待って……26日なんだけど!?」
本当に一日中寝ていたらしい。昨日はいつもより疲れていたからだろうか。貴重な一日を潰してしまった。
私は落ち込みつつ身体を起こそうとすると、枕元に綺麗に包装された袋があった。
プレゼントのようだが私の元にサンタが来ることはありえない。
私はそのプレゼントを開けてみた。中には優しい色のハンカチと一枚の紙が入っていた。紙にはこう書いてある。
本当はいい子の雪へ
おつかれさま サンタさんからのプレゼントだぜ
目の奥がじーんとした。文字を見るにこれは誠也くんが書いたものだ。
「また、もらっちゃったなぁ」
一緒に入っていたハンカチを見ると、どこか見覚えのある柄だった。あの日、誠也くんが使っていたものと同じだ。
私はあの日と同じように涙を拭った。
『俺からのクリスマスプレゼント、気に入ってくれた?』
あの日の誠也くんの言葉が頭の中を駆け巡る。私はあの日と同じように呟いた。
ああ、好きだなぁ
いかがでしたか?
クリスマスに散歩をしていたら急に頭に降りてきたから勢いで書いちゃいました
間に合ってないんですけどね…
逆にちょうどいいと言うべきか?
それでは皆さんメリークリスマス!