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別れ

寮の前まで戻ると入口付近でそわそわしてる人影がみえる。

何だ?泥棒か?人さらいか?それとも人待ちか?

けど寮はボロいから取るものないだろうし、攫われるほど弱いやつもいないだろうし、この寮に出待ちするほどの人気者はいないハズだが。

いや、待て俺には分かる。まだ顔は見えないがあのシルエットと魔力

朝姫だ。

俺と目が合うと気まずそうに、こちらへと歩いてくる。


「俺、先寮戻ってるわ。思い立ったが吉日っていうし、明日まで運命は待ってくれないみたいだな。」


翔吾も朝姫の存在に気付いたみたいで俺を追い越して寮へと戻っていった。

運命というものがこの世に存在するのだろうか?

存在するかは誰もわからないと思う。けど、自分の願ったタイミングで願いが叶ったら人は運命を信じることだろう。

逆に自分が望まぬタイミングで、望まぬ結果になった者もまた運命を信じるだろう。

つまりは朝姫が目の前にいるという現実を受け入れて、最後の告白に挑むのは明日の朝ではなく、今しかないということだ。

にしても運命よ、早すぎるだろ。さっき覚悟して寮に帰って気持ち入れ直そうとしたら遭遇ってどんだけ運ないんだよ。

これはあれかな運命がフラレた道へと導くサインかな。フラレるならさっさとフラレろ的な・・ヤバい自分で思ってて辛く、笑えてきた。いや、それ以上に彼氏や好きな人出きたから辞めろよてきなことをガチトーンで言われたらさすがに生きていけないかも・・


「こんな時間にどうした?まさか、俺に会いにきてくれたの?」


辺りは暗く、美少女が一人で歩くには親御さんも心配する時間だろう。

いつもの俺ならこう言うだろうと思うことを言ってみる。違和感なくいつも通りの感じで。内心心臓はバクバクしている。


「そ、そんなわけないでしょ。」


だろうね。朝姫ならきっと俺の言葉を否定すると思った。いつもそうだからな。


「今のって九条くん?」


「そうそう、同じ寮なんだよ。」


翔吾は無口で、自分勝手だから人付き合いが出来ないくせに、イケメンだからモテるんだよな。いつもバレンタインデーに大量のチョコを貰ってウザがるアイツを、チョコを上げた女子の代表としてよく懲らしめたもんだ。

そんなイケメンを朝姫だって女子なのだ。同じ学年のイケメンぐらい把握してるだろう。ちなみに俺は朝姫以外の美少女は知らない。


「その怪我どうしたの?」


「ああ、ごめん汚かったね。今治すよ。」


金髪リーゼント番長にやられてから、俺の服装は所どころ破れて、脇腹の所はガッツリ焦げた痕が残っていた。

まさかこんな汚い姿を朝姫に晒すことになるとは、不覚だ。

だから最後は明日がいいって言ったんだよ。この減点ポイントは運命のせいだよ。

洗浄魔法で汚れを落として、回復魔法で傷を癒やす。服は直せないけど、特別な糸で織られた服は魔力を流せば明日の朝には元通りになっているだろう。


「はい、キレイに治りました。」


「アンタってそんな魔法まで使えたのね。」


「ああ、朝姫が汚れた時や怪我した時に習得しとくと役立つと思ってな。他にもいろいろ習得したよ。」


癒しの魔法は朝姫が傷つかないようにするために。

洗浄魔法は朝姫が汚れたままでいないようにするために

身体強化や身体弱体化といった補助魔法は朝姫を助ける為に

朝姫を守れるようになるために、死ぬ気で、いや何度か死にながら剣技も習得した。けど朝姫が剣を嫌いと言った事をきっかけに朝姫の前では剣技を使用しないと心に誓ったんだよな。

懐かしいな、朝姫の為にと強くなることを惜しまなかった日々は辛かったことよりも圧倒的に朝姫の為に頑張れたことが嬉しかった。強くなる度に朝姫の役に立てる、守れるって思ってたもんな。


「そうだ、見せたい魔法があるんだ。朝姫の為に考案した魔法」


「アタシの為に作った魔法?」


体中に魔力を巡らせて、大気に自分の魔力を流し込む。


火、氷、風 合体魔法


「【銀千華】」


大気の水分を凍らせて、小さな華の氷を作り、その華の中で小さな火が燃える。風の力で小さな華は光を灯して、朝姫の前を舞う。


「キレイ」


千の華を見て嬉しそうに笑う朝姫の顔は俺が今まで見てきた中でも、最高だ。俺が朝姫を笑顔に出来ていることが嬉しい。今までの努力が無駄じゃなかった。けどまだ全部は出し切ってない。銀千華をゆっくりと風で飛ばして消していく

最後はこの魔法だ。


火、水、風、雷、土 光 合体魔法


「【星の祝福】」


朝姫の足元を光が照らして、地面からシャボン玉のように水の玉が下から湧き出す。そしてその水の玉に銀千華同様に小さな灯りを灯して少しずつ上昇させていく。そして弾けると同時にその水滴を雷が伝っていき、花火のような綺麗な光の線が朝姫を包み込む。


「朝姫、好きだ。俺と付き合ってくれませんか?」


「え、えっと・・その・・キレイな魔法見せたからYESって言うわけないでしょ。嫌よ、この馬鹿」


まあそうだろうな。今までの全てをかけてもやっぱり届かない。木下朝姫はそれだけ遠い存在だったんだ。なんかスッキリしたわ。


「名前呼びも止めてよね。勘違いする子いるんだから」


名前で呼びたくて、すげぇ頼み込んでダメだって言われたから、結局勝手に俺が呼び出したんだよな。思うと俺ってすげぇ失礼で迷惑なやつだよな。

不思議と笑えてくる。

「ああ、分かったよ。」


「えっ?」


「木下さんだと・・今更なんかあれだな。木下って呼び捨てはいい?」


「もう勝手に呼びなさいよ、この馬鹿!帰る」


聞いただけなのに勝手に逆ギレされたんだけど。女ってわからんことだらけだな。けど、呼び捨てはまだ馴れ馴れしかったかな。


炎魔法 【導きの火】

炎が鳥の形となり、歩き去ろうとする木下さんの前へと降り立たせる。そして少しは前を飛ぶ。


「この小鳥が帰り道を照らしてくれる。もう遅いから気をつけて帰れよ、また明日木下さん。」



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