真実の質問1
「ハァハァけっこうかかったな。」
日も落ち、時計を見ると開始から既に12時間が経過している。辺りは暗く、ダンジョンの森がまた一段と不気味に揺れている。
「これを7時間とか、セレナさんたちバケモンだろ。」
俺達はようやくダンジョンの最深部に繋がる入り口へとたどり着いた。この階段の下が最深部。このまま突っ込みたいところだけど、俺は3人のをチラッと見る。志保、カノ、シバサクの3人は魔法の使い過ぎで完全にバテててるな。尻もちを着いて、目を完全に閉じて完全に無警戒で休んでというより倒れてる感じだ。これは少し落ち着くまで待つしかないな。
「ねぇ楓ちゃん、今日はここまでにして最深部は明日にしない?」
珍しく志保が弱気だな。まあ一番先導してもらって魔法使ってるから負担が半端ないから弱気になっても仕方ない。まあセレナさんの記録はもう抜けないし、翔吾との勝負はあるけど試験だし、あんま3人に無理させるのもな。
「俺は別にいいけど・・」
そう言いかけた瞬間に森から魔物の気配を感じると、3つ首のエンペラーケルベロスが飛び出してくる。それぞれの口から獲物を待ち焦がれていたようによだれを垂らしている。
【風魔法】風刃
この3人を食わすわけにはいかんのよ。エンペラーケルベロスは風の刃で3等分に切り刻んで絶命する。
「攻略した方が安全だと思うけどいいのか?」
さっきからこのクラスの魔物によく襲われる。ランキング上位の者ならなんとかなるだろうけど、これは下位クラスには厳しいな。ましてや志保たち非戦闘員がいるグループは苦戦するだろうな。
「楓ちゃんが居れば安全だとは思うけど、休んでてもあんなのがポンポン出てこられたら休んだ気がひないわ」
「同感」
「アーシ的にはもうイッちゃわない」
3人の意見も揃ったことで、俺達は最深部へと歩みを進める。
今回は一本道みたいなので、俺が先頭を歩き後ろに志保、カノ、シバサクと続いている。
薄暗い階段を降り終えると普通の家庭用のドアが設置されていた。これは、ただいま〜てきなノリでドアを開ければいいのか?
「これってドア開けていいやつだよな?」
俺がドアノブに手をかけると心に直接声が聞こえてくる。
『この先、いかなることでも真実を話す覚悟があるものしか進めない。なんじにその覚悟があるか?』
「オッケーオッケー。嘘つかなきゃいいってことだろ。みんないい?」
振り返った3人は不安そうな顔をしながらも頷いてくれた。ここで躓くわけには行かない。ここまできたら勢いだろ。
俺はドアを思いっきり開ける。
光に包まれ、景色が一変し、足元は雲の上に立っているようなふわふわした感じで、空は気持ちよさそうな青空が広がっている。
目の前には何故か、この場所には不釣り合いな考えるポーズをした像が1体置かれている。
「我が名は真実の者。我の問いに1人1答全て真実を答えよ。さもなくば落下する。」
足元の雲から少し隙間があくと遥か下に先程までいたであろうダンジョンの森が見える。
マジで空の上なのね。この高さで落ちたら死んじゃうじゃん。仮に死ななくてもかなりのトラウマ植え付けられない?まあ俺は飛べるからいいけど、この3人は・・飛べないよな。
「顔色わるいけど、お前ら大丈夫か?」
「大丈夫、大丈夫。」
「アーシは正直者、アーシは正直者」
絶対大丈夫な感じじゃないんですけど。シバサクに至っては何言ってか聞こえないし。
よし、ここは俺がリラックスさせてやろう。俺は志保の手を取り、カノとシバサクの4人で抱き合う。
「真実を話せばいいんだ。ここからのことは他言無用にしよ。4人だけの秘密だ。そしたら誰も落ちない。まあ仮に落ちても助けてやるから気楽に行こうや。」
3人の顔が少しだけ明るくなった気がする。なんとかするとは言ったが出来るのかは不明なんだよね。まぁ出たとこ勝負だろ
「用意が出来たようだな。では、第一問。宮代志保の好きな食べ物はなに?回答者は宮代志保」
ん?あれ〜?なんか思ってた質問とちゃうんですけど。なにこの超簡単な質問。合コンとか、初対面の男女が当たり前のように質問にしてくるテンプレート的なものやん。いや、待てここは真実しか口に出来ない。まさか志保のやつ人には言えないとんでもないものが好きなのでは?
「フルーツパフェ」
「真実。宮代志保クリア」
いや、普通に大半の人が好きなやつやないか。こんなのでいいのか?超簡単じゃん。失敗する気がしねぇ。
「続いて第2問。西宮珈音のブラジャーのサイズは何カップ?回答者は西宮珈音。」
おおっと急に当たり障りのない質問から急角度で思春期の男子が好きなネタの質問で来たな。自然とカノの胸に目が行く。大きなお山が2つ。志保は・・カノに比べたら小さなお山だ。
志保に比べて難しくないが、答えにくい質問だな。
「アーシのブラのサイズはGカップだよ。」
「「G!」」
「真実。西宮珈音クリア」
思わず俺とシバサクが反応してしまった。デカイお山だとは思っていたが、まさかとんでもないサイズだ。あとブラのサイズを答えるのは恥ずかしいのではないかと思ったのだが、カノは全然平気そうな顔をしている。
・・カノ、俺に抱きついてこないかな。
「いって〜志保、なにすんだよ。」
「顔がムカつくのよ。まだ終わってないんだからシャンとしなさい」
カノの胸にうずくまりたいという妄想を広げようとした矢先、志保にビンタされて現実世界に戻ってまいりました。恐るべしGの魔力。次からカノのことGー子って呼ぼうかな。そう思ったら少し寒気がした。見ると志保がまだこちらを睨んでいる。
いや、Gー子って言ったら志保にぶっ飛ばされそうだからやめとこ。
さて次は俺かシバサクだよな。好きな食べ物からブラのサイズまでどうやら質問の幅はかなり広いみたいだ。