見守ることにしました2
「がぁぁぁ」
戻ろうとした矢先、上空から強大な魔力を感じる。くそ、観戦モードに入り過ぎてて気づくのが遅くなった。
雲の隙間から古龍がこちらに向かって、全てを消し去りそうな威力のブレスを放とうとしている。
『ヒノエ、結界を張ってみんなを守れ。』
『主、あの威力では火元様以外守るのは不可能です。』
『弱音なんて聞きたくないな。けど仕方ねぇ今回は少し手出すか。』
古龍が相手じゃ流石にこの4人じゃ無理だろ。ってかこのダンジョンマジでどうなってんだよ。強さにムラがありすぎだろ。
「上見て!」
「何かくる」
「古龍?嘘だろ?」
「ウチもう動けないよ。」
木下さん、火元、よく頑張ったから少しだけ手を貸してあげるよ。
「帰還の羽を壊すしかない」
「無理だよ。怖くて体に力が入らない」
「動けない。」
古龍のブレスが放たれる。まるで隕石が落ちてくるような威力がありそう。これ直撃したらダンジョンごと吹っ飛ぶじゃね?。こりゃ本気で守んねぇと他の生徒もあぶねぇな。
舞え剣たち。そして俺を守れ
【十剣の盾】
俺の魔法と古龍のブレスがぶつかった瞬間、ものすごい衝撃で、周りの木々が吹っ飛んで、更地とかす。
10の剣が円となって古龍のブレスを防ぐと、俺は次の魔法の体制に入る。
『ヒョウカ、力を貸してくれるかい?』
『仰せのままに』
『【真氷魔法】永遠氷華』
古龍に向かって撃ち抜いた氷の矢は、古龍を貫き、世にも奇妙な古龍の上に咲く花の氷像出来上がりました。そして凍った古龍は浮力を失い落下していく。かなりの高さがあったせいか、落下の衝撃で古龍の氷像は粉々に砕けてしまった。あーもったいない。火元たちにもこの芸術を見てもらいたかったのに。
「いったい何が起きたの?」
「古龍のブレスを剣が防いで・・」
「そしたら凍った古龍が落下してきた・・」
「そして砕けた?」
何も状況が理解出来ていない4人。まあそうだろうな。けど落ち着いたら、古龍がやられたって事実だけ分かればいいさ。
さて仕上げをしますか。
風地愛聖水 複合魔法【やすらぎの大地】
「今度は突然キレイな芝生が生えてきた」
「この芝生の上、超気持ちいい」
「これも古龍を倒した影響なのか?」
「ゴロゴロしながらご飯たべよ〜」
火元は転んでゴロゴロしている。これで心と体の疲れや傷を全開以上に癒やす。ここから出れば一時的に身体強化状態みたいになれるという優れた特典付きです。
さて、木下さんと火元の元気な姿も見れたし、あとはもう大丈夫そうだな。そろそろ俺も戻るか。
「楓斗、いるの?」
思わず返事をしそうになった。見えてないハズなのに、なにこのタイミング。俺がちょうど木下さんの後ろを通った瞬間に振り返るもんだから超驚いたんですけど。
「っているわけないわよね」
そうですよ、楓斗くんはいませんよ〜
このまま戻るつもりだったけど、さっきの木下さんのまだ不安を拭いきれないような顔が脳裏をよぎる。
全くな。木下さんが傷つかないようにってなんかやり過ぎな気もするけど、やらないとなんか俺の気がすまないんだよな。はぁ〜これが惚れた弱みかな。
火元や志保には安心させる意味も含めてブレスレットにしたけど、今度の加護がバレると俺がいたのが分かっちゃうから、加護の印は現れないような仕様にしてっと、木下さんじゃなくて峯岸でいっかな。
【真叡の加護】
『エイちゃんの判断で支援魔法使って上げて。』
『かしこまりました』
『ヒノエも引き続き頼むね』
『承知しました』
これで大丈夫だろ。火元、木下さん、あとは自分達の力で頑張ってな。
【転移】
「ただいま。」
心地よい風が吹く。そしていい匂いがする。
「おかえり」
「ってなに弁当食ってんの?」
3人は切り株の上にお昼ご飯を出して楽しそうにご飯を食べている。なんか昨日の昼休みのような団らん感。どうやら異常はなかったみたい。そこは安心するんだけど・・
「お腹減っちゃって」
「待っててくれよ」
「だっていつ帰ってくるかわかんないんだもん」
「まぁ確かに。じゃあ俺の分は?」
「「「食べちゃった」」」
俺ホントこのグループで良かったのだろうか。あのまま木下さんのトコ残って昼飯盗んでから帰ってくれば良かったかな。