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ダンジョン突入


校庭へと集まるとそれぞれのグループ毎に分かれて集まっていた。峯岸と一緒にいる木下さんと火元と轟が目に止まる


「他所見してないで、しっかり守ってよね」


志保からのチョップで、気がつくと俺のもとに志保、カノ、シバサクが集まってきていた。


「まあ鈴さんとの約束だからな」


「お姉ちゃん?」


「ダンジョンのグループ作る時、頼まれたんだよ。」


「ああ、あれ、私がお姉ちゃんのスマホ使って勝手に送っただけだよ。」


「嘘だろ?」


まさか、朝からあんな優しいメッセージをもらえて超喜んだのに。あれが嘘だったのか。いや俺は信じないぞ。あれは絶対鈴さんだ。嘘だと言ってくれ。


「ホント。もう履歴消しといたからお姉ちゃん気付いてないと思うよ。」


ハメられた。コイツマジで悪魔だ。

今言うことかよ。

志保を見ると俺がショックを受けてるのを満足そうに見ている。コイツ絶対このタイミング狙ってたな。とんで悪魔を入れちまったもんだ

はぁ〜火元と組めば良かったかな

まあなんにしても、このメンバーで行くしかねぇか。



先生たちから軽く話しがあった後、帰還の羽が配られそれぞれが身につける。それから、それぞれのグループ毎に転移水晶の前へと順番に呼ばれて行く。転移先はランダムとなり、それぞれの場所から目的地を目指すのだ。今回の目的地はダンジョンの最深部にあるダンジョンコア。ダンジョンコアに触ることで、こっちに転移が出来るようにあらかじめ設定されているみたい。さて、少しばかり火元たちが心配ではあるが、いよいよ翔吾との勝負の始まりだな。ワクワクしてきたぞ。


「風間楓斗、芝優作、宮代志保、西宮珈音。こっちへ」


先生たちに呼ばれて俺ら4人はボーリングの玉ほど水晶に手を当てる。


「くれぐれも死なないようにね。」


「先生、縁起でもないこと言わないで、励まして下さい。そんなんだから男にモテないんですよ。」


「ああん?」


先生目が怖いですって。水晶破壊しそうだよ。短気が最大の短所なんだよな、この先生。確か元彼との話ししてる時、毎回キレてるもんな。


「大人の余裕ってやつが不足してるってシバサクが言ってましたよ。」


「楓斗、お前巻き込むな。先生、僕は何も・・」


「さっさと行け。そして死ね。」


怒りが込められた水晶は光輝き、眩しい光に目が眩むと次に目を開けたさきは見慣れた校庭ではなく、見慣れぬ木々に囲まれた森の中だった。


「いよいよ来たな。」


薄暗い空に、木々たちは絶えず揺れ動き、その葉がこすれる音が恐怖を増し、心臓を鷲掴みにされてるような重い空気が漂う。長居すれば気がおかしくなるのもわからなくもないかもな。


「ここが迷わずの森?」


「そうみたいだな。ってかここどんな森なんだ?予備知識は先生から聞いたことぐらいしかないんだよな。」


「アーシ調査によれば、この森の魔物の強さはランダムなの。強いやつも居れば弱いやつもいる。森がダンジョンコアを守るのにどんな強さの魔物を使役すればいいか迷わずにはいられない森なんだって。」


そんな理由があったのね。俺らじゃなくてダンジョンも迷ってるとかどんだけ。


「カノ、すげぇじゃん。俺も知らなかったわ」


「イェイ。アーシとやりたくなった?」


「それはシバサクに任せるわ」


「全く、照れちゃって。風間、可愛い」


抱きついてくるな、カノ。見てみろシバサクの冷たい目。ライダースまで来てきたシバサクの勇気を評して、抱きついてやれよ。


「これからどうする?」


「とりあえず右も左もわからねぇんだ。作戦通りに行こう。」


あらかじめグループで作戦を立てていた。

作戦名は、お前ら3人に任せる。

志保の広範囲索敵魔法を頼りに進み、カノの索敵魔法で更に近くの精度をあげる。そしてシバサクの解析魔法で周りの状況を解析しながら進むというものだ。なんの役もない俺は3人について行って、出てきた全ての魔獣をぶっ倒す。戦闘出来るのが俺しかいないから、最初にグループを組んだ時から想定していた作戦だ。


「【索敵魔法】広範囲検知ワイドサーチ。周辺にかなりの数の魔獣がいるわ」


「【索敵魔法】検知サーチ近くに3体?いやもっといる。囲まれちゃってる」


焦る2人からして状況はかなりヤバいのだろう。全く、先生たちもこんな早々に危険な所に転移させなくてもいいのに。


「「「キングベアーだ!」」」


俺等の前に2メートル超えの茶色い毛皮を身に纏う熊のような魔獣が3体現れた。文字通りキングというだけあって、一回り小さいベアーたちを合計で30体ほど従え、俺らのを囲んでいる。

3人は状況に発狂している。まあこんなベアーたちに囲まれた状況で冷静になれって方が無理な話だ。もっと早くに索敵魔法を使わせるべきだったな。


「シバサク、解析してくれ」


「【解析魔法】解析アナライズ。3体とも危険ランクえぇぇぇぇ」


「「「ぎゃーーー」」」


ホント見てて面白い程のシンクロ率だな。この3人。さっきまでの和やかなムードと違って発狂モードだ。うんうん。ダンジョンで命をかけてるって感じで切羽詰まって、絶体絶命感あるね。志保とカノは抱きあって、シバサクは横で膝をガクガクさせている。倒してもいいんだけど、もう少し様子を見てみようかな。


「「「楓斗なんとかして」」」


「ごめん、パニクって詠唱に少し時間かかる。ダメかも」


「「「ギャーー」」」


なんていいリアクションなんだ。3人のリアクションが面白すぎる。一応緊迫した表情を維持するが内心笑いたくて仕方ない。表情を維持するのが辛い。


「珈音さんは僕が守る」


そんな中足が震えながらも覚悟を決めた表情で、シバサクはカノと志保の前に立ってキングベアーと向かい合う。キングベアーの咆哮に怯みながらも、後ろには引かず、耐える。

シバサクカッコいいな。カノを見ると祈るようにシバサク見ている。これはもしかしたら吊り橋効果ってやつなのか。


「芝ちゃん、ダメだよ。いくら帰還の羽があるって言っても、戦闘能力の低いアーシたちじゃキングベアーの攻撃で即死もありえる」


「でも誰かが攻撃を受けて帰還の羽を発動させないと。珈音さんが傷つくのは嫌なんだ。だから僕がその攻撃を受けるよ」


シバサク、お前カッコいいな。どう考えても攻撃受ける役目は普通俺なんだけどな。この中で一番戦闘能力高いし、ノーガードでキングベアーの一撃くらっても死なないし。なんか2人の世界って感じだ。まだダンジョン入って10分も経ってないのに、2時間映画の終盤って感じのこのシチュエーション。


「芝ちゃん、ダメだよ。」


「珈音さん、大丈夫です。帰ったら伝えたいこともあるので、僕の話聞いてくれますか?」


「き、聞く。聞くから下がって。」


シバサク、映画だとこの流れ、絶対死なないやつだよな。お前もそうで良かったな。キングベアーが咆哮と共にシバサクに向かっていく。そして驚いたことにシバサクもキングベアーに雄叫びを上げながら特攻していく。覚悟決めたアイツは凄いな。関心しちゃう。周りのキングベアーとベアーたちも咆哮と共にこちらに向かってくる。

さてと、そろそろかな。

【魔力感知】キングベアーたちを照準ロック


「【風魔法】風刃ふうじん


キングベアーの攻撃があたる刹那、風の刃が一瞬にして的確にキングベアーの腕と首を切り落とすことに成功。周りのベアーたちも全員首が切り落とされて絶命している。ちゃんと全員あたってるな。


「いや〜ナイスなリアクションだったよ、3人とも。いいもん見させてもらいました。」


拍手しながら頭下げてお礼を言うも、状況がいまいち飲み込めていない3人。放心状態で絶命したキングベアーたちを目をパチクリしながらみている。


「おーい、大丈夫か3人とも?」


「楓斗、ありがとう。ホント危機一髪だったよ。絶対死んだと思った」


「だろ。絶対あのタイミングがベストだと思ったんだよ。」


気が抜けたように尻もちをついたシバサクは息を大きく吐いた。さっきの戦いの勇者は間違いなくシバサクだろう。


「ねぇ楓斗、いつから?」


「いつからって何が?」


俯く志保が俺に問いかけてくる。なんかいつもよりも心なしか声が震えてる気がする。まだビビってるのか?


「いつからキングベアーたち倒せたの?」


「最初から」


「詠唱はどうなったの?」


「あんな雑魚に詠唱なんていらないよ。秒殺しても良かったんだけど、なんか3人が盛り上がってるから。俺もついつい演出入れちゃった。テヘペロ」


ホント過去に例がないぐらいの大作の山場を見してもらった感じだよね。うん、納得です。カメラ回しとけば良かったな。


「あれ?3人ともどうした?落ち着けって。仲間じゃないか。」


ゆらりと立ち上がる志保に続くようにゆらりとカノも立ち上がった。シバサクもゆっくりと立ち上がっている。それからゆっくりと一歩、また一歩と確かな殺気と共に俺に近づいてくる。


「「「死ね」」」


「あーーーー」


暴力反対。

俺は数分間3人からボコボコにされた。


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