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お願いと本音2


数分後

俺はまだ箒をせっせと動かして掃除していた。只今全体の3割ほどが終わったって感じかな。


「こんなの終わるわけねぇだろ。」


絶対俺が掃いてるペースより落ち葉落ちるペースの方が早すぎんだろ。


「ねぇ」


「ん?あれ?どうした?忘れ物か?」


声をかけたられ方へと向くと木下さんが立っていた。


「いや、その、あの・・」


なんか歯切れが悪いな。忘れ物とかじゃないのか。って来た時もバック1つだったから忘れる物なんかねぇか。ん?ならなんで来たんだ?待てよ、木下さんが来たのにその横には火元はいない。あの野郎まさかバックレやがったのか


「火元はどうした?」


「美香は部活に行ったわ」


あの野郎、やっぱりバックレやがった。俺だけに掃除押し付けやがったな。って木下さんにキレても仕方ないか。


「はぁー、それを伝えにきてくれたんだな。ありがとう。火元には明日文句言うしかねぇな。」


「美香、先生や先輩に言われて断りにくかったんだと思うの」


訴えるような目で木下さんが俺を見る。こんな目で見られたら全てを許しちゃう。ってかこれ以上は聞けない。


「アタシが手伝うわよ」


「へ?」


「アタシが美香の代わりに手伝うって言ったの」


なんで?木下さんに手伝ってもらう理由が思いつかない。宿題とかなら、確かに火元が居なくなって困るから木下さんが手伝ってくれるはわかる。けど、そもそもこれは俺と火元がまいた種から起きた罰則だ。


「別にいいよ。木下さん、放課後は家のこととか忙しいって言ってなかった。」


「いいから、さっさとやるわよ。」


「いいよ、もう魔法で終わらせるから」


箒を持ってくれた木下さんには感謝だけど、忙しいのに巻き込まないよ。言っても帰ってくれないだろうから魔法使うか。風の十二真の魔法ならこの規模でも一発で終わらせられるだろう。


「魔法で終わらせたら、意味ないでしょ」


いや、あんたがやっても罰則てきな観点では意味ないでしょ。火元ノーダメージじゃん。


「なら、ちゃんと魔法使わずやっとくから、忙しいのに無理しなくていいよ」


「さっさと終わらせちゃいましょ」


木下さんは箒を使って落ち葉を掃き出す。木下さんって、たまに何言っても聞いてくれなくなるよな。

ん?そういや火元も志保も祭さんも俺の言う事聞かない。なんか俺の周りって俺の話聞いてくれないやつばっかじゃね?類は友を呼ぶってやつなのかな。もっと俺の話を聞いてくれる人よ、カモン

はぁけど仕方ねぇ。帰ってくれそうにないし、やるか。


「ねぇ、さっき美香と話してた約束ってなに?」


「約束?」


「話したくないなら別にいいわよ」


こっちを向いたと思ったら、木下さんはそっぽを向いてまた掃き出した。別に答えてもいいけど、なんかそっぽ向いてるからいいか。さっさと掃いて終わらせねぇと。


「美香となんの約束したのか教えなさいよ」


知りたいならちゃんと聞きなさいよ。木下さんは今度は頬を膨らませながら俺に近づいてくる。くぅ。やっぱり可愛い。


「あー、あれだよ。今回のダンジョン攻略したらまた1つ言うことを聞いてくれてっさ」


「なにそれ」


「火元が言い出したんだよ。」


「アタシは何お願いしようかな」


「木下さんもやるの?」


「ダメなの?」


「別にいいけど。」


フッと前の木下さんのお願いを思い出す。あれは神に感謝したいい願いだったな。木下さんを見ると頬が少し赤い気がする。多分同じように、前回のこと思い出してるんだろうな。それに気づいたのか別の方向を向いて掃き出した。

一緒に掃除とか、お願い聞いてとか、前の俺なら夢のようなイベントだったんだろうな。自分のことなのにどこか他人のことのように少し前の自分を思い出す。

絶対魔法使って早く終わらせようなんて思わなかったろうな。少しでも長く一緒にいたいって思ったハズ。けど今はむしろ逆。迷惑かけてるから早く帰してあげたいって気持ちが前に出てくる。

【幻影魔法】

【土魔法 土呑み】

ごめんね、木下さん少し魔法使います。この魔法でこれ以上落ち葉が落ちてないような幻影を見せて、土呑みで落ち葉を少しずつ地面へと沈めていく。

これなら今より後退することなく、そしてバレることなく掃除が完了する。



「やっと終わった」


「2人だとあっという間だったわね」


10分ほどで終えられただろうか。

きれいになったので、幻影魔法と土魔法を解除する。


「そうだな。忙しいのにホントありがとな」


「アンタのためじゃなくて、美香の為にやったのよ。勘違いしないでよね。」


「ハハっ、まぁでも助かったよ。」


いつものように、怒る木下さん。なんで感謝したのに逆ギレされたんだ?けど、そんな木下さんも可愛いから正義。


「一緒に帰らない?」


「えっ?」


「嫌なの?」


「嫌じゃないけど・・」


どうしたんだ?これはいったいなにが起きている?一緒に帰ろうっと誘っては断られること数十、いや数百。結果、ストーカーのように付きまとって帰ることをしていた俺に、女神からのまさかのお誘い。なんだ俺は明日のダンジョンで死ぬのか。いや死ぬのは冬頃だからまだ死なないハズだけど。

いや、そんなことよりこれは裏があるのか魔法を使えば確認出来るが、木下さんにそんな魔法を向けることなど信者としては出来ない。

はっ、まさか木下さん。家の用事が間に合わなくてやけになっているのでは。最近なんか情緒不安定な時あったからな。確かに、家の用事と俺と一緒に帰るなんて、考える間もなく家の用事だと木下さんなら答える。つまりこれは俺に空間魔法で送れってことだな。嫌なの?はアタシの為に、空間魔法を使えないのって意味だったんだ。


「よし、わかった。空間魔法で転移するのは、どこがいい?行ったことあるとこしか飛べないけど。」


「なんで、空間魔法使うのよ」


なんか怒られたんだけど、目が怖い。なんで空間魔法じゃダメってこと?


「けど、浮遊とかだと時間かかるし、転移が1番速いよ」


「そんなに早く帰りたいの?」


「だって木下さん、家の用事があるから早く帰らないといけないんじゃないの?」


「家の用事は大丈夫だから。楓斗が気にしなくていいから!」


地団駄を踏みながら思ったより力強い言葉と瞳で木下さんが俺を見る。

木下さんは優しいから、火元の為にここまでやるなんてな。こんな友達想いな子を置いて部活行くなんて火元は明日説教かな。よしっ、ここは俺が引くか。俺もこのあと明日に向けてやることあるし。


「いいんだよ、無理しなくて。手伝ってくれてありがとう。先生には俺から報告しとくから先に帰っててよ。じゃあまた明日な。」


俺はバックを片手に、魔法で自分と木下さんの箒を用具室へと片付け、職員室の方へと歩いていく。



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