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ダンジョングループ4



「疲れた〜」


昼休みになって親睦深めようとかいってカノたちと4人で中庭で飯食ったんだけど、カノのやつはやるやらないしか言わねぇし、志保は鈴さんをダシにして俺を脅すし、シバサクは上手く空気と同化しようと気配消してるし、ドタバタの昼休みだった。

ようやく解放されてゆっくりと教室へとシバサクと2人で帰る。


「ちょっと来て」


「あれ?なに?またこの展開?」


なんか前にも似たようなことありませんでしたか木下さん。俺はまたしてもフラフラな所を木下さんに拉致られ、前と同じように空き教室に連行される。シバサクは・・・逃げたみたいだな。


「昼休み、また宮代さんとふたりきりで過ごしたの?」


腕を組んで不機嫌そうに睨みつけてくる木下さん。やっぱり何度見ても怒ってる木下さん可愛い。


「志保もいたけど、今日はカノとシバサクも一緒だったよ」


「そっ」


木下さんはそれだけ聞いて教室を出ていった。いや、いったいなんなのよ。意味が全然わかんない。まぁ今日は怒ってなかったみたいだからいっか。



フラフラと足は休むことを求めるように教室に入るなり、自席へと吸い込まれ着席する。


「楓斗ん、今日もお疲れみたいだね。」


火元を見るとさっきまでの険悪な雰囲気も胸のざわつきも収まっていつも通りな感じ。やっぱりコイツの横は唯一の癒やしだ。


「なに、疲れてんだよ。」


「あっ、九条くん」


顔を上げると翔吾は、教卓に持たれかかるように俺の前に立っていた。


「翔吾か。何のようだよ。俺は今癒やしタイム中だ。」


「勝負のことだよ。」 


「勝負って、なんか楓斗んと戦うの?」


「今回のダンジョン攻略の記録でどっちが速いか勝負するんだよ。んで負けた方がなんか1つ言うことを聞く」


「そんな勝負してたの、楓斗ん」


「ああ。」


「無理じゃない?九条くんって学年ランキング1位だよ。んで楓斗んは100位」


「ほら。俺のメンバー」


「ん?」


翔吾が渡してきた紙には3人の生徒の名前が書かれていた。

学年ランキング3位と4位と6位のやつと組んだか。順当だな。攻撃力が高いやつの方が学年ランキングは上がりやすい。この3位と4位は双竜って呼ばれるぐらい連携も取れてたはずだ。


「お前がサポートに回るんだな」


勝負をする上でセレナさんは俺たちにルールを設けた。それは攻撃かサポートのどっちかに特化するということ。故に自分一人で攻撃から索敵まで出来ない。これはあくまでもダンジョン攻略はグループ活動だから、全員の力で攻略すべきという珍しくまともな事をセレナさんが言ったので、俺も翔吾も合意した。みんなを巻き込んで、何もさせないままゴールしたって他のメンバーにはなんのメリットもないからな。せっかくのダンジョンだからお互い成長できるようにしないと


「ああ。お前のは火元さんと他の2人は誰なんだ?まさか木下とか言わないよな」


「火元とも木下さんとも組んでねぇよ。」


俺も自分のメンバーの紙を翔吾に見せる


「火元さんが居ながら、また違う女に手ぇ出してんのか?」


「そうなの。すぐに別の女に手ぇ出すから困っちゃうよ」


「ホントごめんね、こんなやつだけど根はいいやつだから」


こいつ等はいったい俺のどの立場に立って話してるんだ。


「ウチとの関係は遊びだったのね」


何故か火元が潤んだ瞳と両手を握って顎元に置くぶりっ子ポーズで俺を見てくる


「お前は俺の彼女か?」


「違うの?」


「違うわよ!」


木下さんどっから出てきたの?

俺の手を取ろうとした火元との間に突如として大きな声を出して、割って入ってくる。さっきまで教室にすら居なかったよね?


「チッ、ってかホントに楓斗と火元さん付き合ってないの?」


翔吾よ、木下さんの登場で露骨に嫌な顔すんなよ。翔吾と木下さんってまだ関係改善してないのね。まあ原因は俺にもあるからそっとしとくけどさ。


「「付き合ってないよ」」


全く、火元と隣の席になってからよく聞かれるよね。さっきも先生に言われたし。まぁ一緒に居て楽ではあるし、楽しいけどね。


「なんてヘタレなんだよ。で、お前のメンバーは・・」


「楓斗ん変わったメンバーでしょ。」


「なるほどな。お前は逆に攻撃に回るか」


翔吾は俺の戦略に気付いたみたいだな。まあ渡した紙には能力とかも書いてあったから当然かな。


「戦略が分かれたな。面白くなってきた。」


「よし、決めた。俺が勝ったら楓斗は火元さんに告白しろ。」


「はっ?そういう人の気持ちが関わってくるのを本人の前で言うか?」


「えっ?楓斗ん告白してくれんの?ウチ別にいいよ。」


「火元さんは良いみたいだぞ。」


「オッケーなんかい」


「うん。告白してもらって、オッケーって言って10分後に別れるけどね」


「なんか1回付き合えたと喜んだ分、フラレた落差半端ないな。」


「普通にフラレるのには慣れてるでしょ」


あ〜そうですよ。慣れてますよ。ずっとフラレてましたからね。チラッと木下さんを見ると微妙な顔をしている。火元よ、当人同士が揃っているタイミングで言うなよ。


「んじゃ俺が勝ったらどうすっかな」


「九条がアーシと1日デートでしょ」


「カノ、お前話の聞いてたのかよ。」


ニャハハと笑いながらピースしてるカノの横でシバサクが微妙な顔をしている。ん〜カノには悪いけど、シバサクの気持ちを考えるとカノの願いは却下だな。


「デートはダメ」


「なに?風間、やっぱりアーシとやりたいの?」


「違うって言ってんだろ」


横見ろよ、シバサクの表情。もう、なんか生気抜けまくって、ほぼ抜け殻みたいな顔になってるぞ。まあ好きな相手に目の前でこんな他の男になびかれると辛いよな。分かるぞ、同じく恋する男子として気持ちは非常によく分かる。


「なら、1日私の奴隷ね。」


「志保までいたのかよ。」


気付けば話の輪に志保も入ってきていた。というよりクラス中から注目されている。まぁイケメン翔吾に美少女木下さん、陽キャの火元、ギャルのカノが一緒になって話してれば注目もされるわな。

にしても志保の奴隷か。この悪魔に奴隷扱いされるか。なかなか面白いことになりそうだな。


「よし、なら俺が勝ったら翔吾は志保の1日奴隷な」


「まぁいいだろ。火元さんへの告白の言葉をせいぜい考えとくんだな。」


「お前こそ、志保の奴隷になることを了承したことを後悔させてやるよ。」


お前らは知らねぇもんな、この宮代志保の悪魔の性格をな。

この勝負、俺が負けて火元に告った所でいつものように遊びみたいな感じになるだけだろし、俺にとってはノーリスクに近い。そして、悪魔の奴隷となった翔吾を見られる。こんなノーリスクハイリターンの勝負、めっちゃ滾るね。絶対負けない。



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