ダンジョングループ3
「なぁ、風間。俺ら、火元さんと木下さんと組んでいいか?」
今度は峯岸と轟が俺を訪ねてくる。
「なんで俺に聞くんだよ。本人に聞けよ、隣にいるんだし」
「だってやっぱり許可いるだろ。」
「なんで?」
俺はいつから火元と木下さんの門番?守護者?みたいなポジションになったんだ。そんな自覚もタイミングもなかったとおもうけど。
「なんでって好きなんだろ?」
なるほどね。はいはい。確かに私は木下さんが大好きでアタックしまくってました。それは皆さん周知の事実だもんね。
「まぁそうだけど、別にお前らのことは止めないよ。嫌いにはなるけどな」
「嫌いにはなるんだな。」
「まぁな」
そりゃ好きな人が他の人に誘われていい気がするやつはいないだろう。ん?さっきそう言えば同じこと火元に聞かれたな。やっぱ女子に聞かれるのと男子に聞かれるのとではイラつき方がちがうな。
「けど許可は取ったからな」
わざわざ律儀な奴らだな。ん?待てよ。俺は木下さんが好きだけど、アイツら同じように火元も好きだと思ってんのか。ん〜まぁ火元のこと嫌いじゃないしあながち間違ってはないかもな。
「木下さん、火元さん、良かったら俺等と組みませんか?」
まぁ答えを出すのはアイツらだ。
この2人が加わればグループのバランスとしては悪くない。そしてあの2人は西本たちと違ってお笑い担当としてではなく、普通に強い。
ランキングだけで言えばクラス最強になるだろうな。
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名前 峯岸孔明
長所 魔法のコントロール抜群
短所 特になし
戦闘能力 A
支援能力 C
得意魔法 光魔法
学年ランキング 5位/100位
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名前 轟周濠
長所 身体強化しての大地の守備は無敵の要塞
短所 特になし
戦闘能力 B
支援能力 B
得意魔法 地魔法
学年ランキング 8位/100位
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「ねぇ楓斗ん、2人に誘われたんだけど、どう思う?」
「だからなんで俺に聞くんだよ。」
さっきからなんで俺にばっかみんな聞いてくるんだよ。本人たち目の前にいるだぞ。自分自身で考えろ。
「好きだからだよ。」
「はっ?」
「ちょちょっと美香、あんた本気なの?」
「なんてね。嘘だよ。」
紛らわしい嘘つくんじゃねぇよ。一瞬ドキッと・・今も絶賛ドキドキしちまったじゃねぇかよ。今の告白だったら・・火元と付き合う。案外想像できるね。なんか楽しくやってけそう。っていう妄想が広がってしまう。
「さっき教えてくれたじゃん。アタシたちに足りない物をこの2人は持ってるかな?」
持ってるって言ったら素直にこの2人はと組むのかな。持ってないって言ったら他のやつと組むことになるのかな。ん〜分からん。けど言えることはなわか今俺が言って目の前で組まれると、なんかいい気はしない。
「俺は部外者だから、2人と話してみた上で決めるといんじゃね。邪魔な俺は退散するよ。」
俺は離席して、クラスの後ろの隅っこの席に移動してから火元たちを見る。楽しそうに話してる。まあ峯岸も轟もいい奴だからな。あの2人なら木下さんと火元の弱点を補えるだろう。
「なに見てるの?」
「志保か。別に」
「ふーん。逃げてきたんだ」
「ぐっ」
そうですよ。空気に耐えられず、2人の決断を聞く勇気もでず、逃げてきたんですよ。あ〜逃げましたよ。だからここで静かに気配を消してるんですよ。
「木下さんたちが心配?」
「まあそんなところだな。」
「付き合っちゃうかもね。あの4人」
「はっ?」
「だって一夜を共にするんだよ。盛り上がるでしょ。男たちは木下さんと火元さんに気があるみたいだし、初めての共同魔獣討伐、初めての共同料理、初めての寝。高ぶる気持ちのまま告白。これはダンジョン攻略後狙ってるかもね。」
人の気持ちを知っててこんなことを言ってくる辺りがホント悪魔だわ。
「いいじゃない。楓ちゃんには私がいるんだから。」
「腕にくっつくなよ。」
ガッツリ俺の腕をホールドしやがって、当たるとこ当たってんだよ。
「ニャハハ。赤くなってやんの」
照れるに決まってんだろ。この悪魔はホント人をおちょくりやがる。
「アーシも混ざる。3人でやっちゃう?やっちゃう?」
「やらねーよ!」
「じゃあ4ぴーでお昼食べよ」
「普通に4人で飯食おうって言えねぇのか」
ホントなんなんだよ、こいつ等。火元には能力で選べって言ったけど、キャラと性格もちゃんと気にすれば良かったかもしれない。精神的に疲れる。けど、モヤモヤとして気持ちが少しは紛れて良かった。飽きないやつらだよ。ホント、なんでそこから傍観してるんだよ、シバサク。心なしか冷たい目。おい、同じ仲間だろ。
■
「ねぇ楓斗ん、ウチら峯ギッシーたちとグループ組むことにしたよ。」
峯岸のことそんな呼び名で呼んでんのかよ。
「そうか。」
やっぱりなんかモヤモヤするな。これが嫉妬なのか?
「なんか冷たくない」
「別に、頑張れよ。」
思ったより俺の器小さかったのかもね。なんか目合わせらんねぇは。
「楓斗んが悪いんでしょ」
「はっ?なにが?」
少し嫉妬してる自覚はあるけど、俺のなにが悪かったんだよ。
「先に他の子選んじゃうんだもん」
「お前らがそれより先に俺と組みたくないって言ってだろ」
「そこは姫の気持ちを汲んであげなよ。」
「そんなの知らねーよ。お前はなんでもかんでも木下さん基準で物事を決めすぎなんだよ。」
「ちょっと、逆ギレすんの止めてくれない。」
「逆ギレしてるのはお前の方だろ。」
なんでコイツほっといて欲しい時に限って突っかかってくるんだよ。いつもは察するだろ。だんだんとイライラが募っていく。
「ほらっ、そこのカップル。先生の前で痴話喧嘩しない」
「「先生、俺にも(私にも)選ぶ権利はあると思います」」
「息ぴったりじゃない。」
俺と火元の席は一番前で教卓の目の前先生は頬杖ついてイライラしながら俺らを見ている。俺は火元を見ると、火元を俺を見てニヤリと笑う。これはつまりイタズラしようの合図だな。このタイミングで先生をいじるワードはただ1つ。
「「先生、合コンに敗戦続きだからって俺ら(私ら)の関係に嫉妬しないでください。」」
「お前ら放課後居残りな。」
「「え〜〜」」
「返事は?」
「「はい」」
先生は先月彼氏と別れてその後合コンで連敗が続いているということはクラス中が知っている。それをいじってみたのだが、どうやら地雷だったようで、その爆発力は想像以上だった。指や腕、首をボキボキ鳴らしながら禍々しい殺気を放っている。
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