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1 凄腕医師、宮廷を追放

ここは宮廷医療所の一室、俺は誰もいない診療室で椅子の背もたれに寄りかかっていた。


「あぁ……面倒くさ」


俺は膨大な資料の作成に追われ、すぐに逃げ出したい気分に駆られる。


「これも全部バッカスの野郎のせいだ」


俺はそう呟くと数時間前の出来事を思い出す。




◇◇◇ ~二時間前~



「アーノルド、お前の医療ミスにより宮廷医療班の信用は失いました。その責任であなたを宮廷から追放します」


俺は医療班のトップがいる医療長室に呼び出され、医療長から身に覚えのない言いがかりを言われていた。


「……えっと俺、身に覚えがないんですけど」


俺が思った事を言うと、


「苦しい言い訳はやめるのだアーノルド! お前が治療した患者が倒れ、命の危機に面したと言う証言もあるのだぞ」


医療長の傍には宮廷のお嬢様の婚約者であるバッカス・カンクという名前の長い耳を持つ金髪の短髪で蒼色の鋭い目を持つ男もいた。


(……こいつ、いけ好かないやつなんだよな。出来れば一緒の空気も吸いたくないんだけど……)


バッカスは超が付くほど性格が悪く、俺に何かと難癖をつけてくるやつで俺はこいつが超嫌いだ。

……おそらく、今回もこいつが手を回しているのだろう。


「はぁ……それで俺はどうなるんですか?」


言い訳をこれ以上するも面倒なので、俺は医療長に俺の処遇について質問する。


「アーノルドにはネルド村という少し田舎にある村の医療所に異動してもらい、宮廷からは今日一杯で出て行ってもらう」

「今日一杯って……そんな、急にいわれても」


俺が異議を唱えると、すぐに傍にいたバッカスが返答を返す。


「口答えをするな! お前は黙って従っていればいいのだ!」


(……いや、お前に聞いてないんだけど)


「……あ~、はいはい。わかりましたよ」


俺はバッカスを相手にするのも時間の無駄で嫌なので、医療長に対しての質問を撤回する。


「では、すぐにアーノルドが担っていた業務を資料にまとめて提出するように! ではアーノルド、退出して構わない」


医療長がそう告げると、


「……わかりました」


と俺はお辞儀をして顔を上げる。

すると、不敵な笑みを浮かべて俺に視線を向けてくるバッカス。


(こっちを見るな。俺だってお前がいる宮廷からいなくなれてせいせいするってもんだ)


それから俺は自分の診療室に戻り、資料作成を始めたのだ。




◇◇◇ ~現在~




俺は何とか資料作成を終えて少ない荷物を背負った後、数年生活を共にした医療室から出る。


「……いくか」


医療室から出た俺は小さく呟くと、宮廷の出口に向かって歩いていく。

すると、後ろから声を掛けられる。


「アーノルド! 本当に行くのですか!?」


俺は後ろを振り返ると、そこには宮廷のお嬢様のシャルロッテが駆け寄ってきていた。

彼女はシャルロッテ・エリナベルという名前で、長い耳を持ち黄金に輝く長い髪にルビーのような赤い瞳で綺麗なドレスを身にまとっている。


彼女はあのいけ好かないバッカスの婚約者だがバッカスとは正反対で聖女といえる程の人格者だ。

人間族である俺を宮廷医療班に受け入れてくれたのも彼女の尽力によるものが大きかった。


「シャルロッテ様でしたか……はい、今日限りで宮廷から去ります。……いままでお世話になりました」

「そんな……アーノルド、ちょっとま――」


すると、通路に突如姿を現したバッカスは俺とシャルロッテの間に入ってくる。


「――シャルロッテ、こんな奴と話していては品格が落ちます。すぐに離れてくださいませ」


……また現れたな糞野郎。すぐに視界から消えてくれないかな。


「……ですが、バッカスさん。いきなり宮廷から追い出すなんてひどいです」

「こいつはそれほどの事を仕出かしたのです。何度も説明したでしょう?」

「……それは……そうですが」


俯くシャルロッテからバッカスは俺に視線を向けてくる。

……だから、俺に視線を向けるな。


「……まだいたのかアーノルド? 早く去ってくれないかな」


俺は返答もするのも億劫になり、出口の方に体を戻し歩き出す。


「アーノルド! 待って――」

「――それでは、シャルロッテ様。お幸せに」


俺はそう言い残し、宮廷を後にした。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるのっ……!」


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