何か出る小径
霊感って一括りに、視えるだの金縛りだの色々あったり民話だったり伝承だったり…
実体験や身近な話も多少あったりしますが、あくまでも創作として駄文を書いてみました。
こういう体験って、全くわからない人には伝わらないですよね?
「嘘つき」だの、「怖がらせようと作り話して」だののたまう人はいいですよね…
私は、怖いです。
大した「怖い噺」は書けませんし、ただの素人ですので、批判などはやめて下さいね?自重で崩れるプリン並みのメンタルなので…。
「ここだよね?」
「本当に?ここ?」
何の変哲も無い住宅地の裏道、民家と民家の間、自転車が通れる程度の道に、少年と少女は怖いモノ見たさをおさえきれず、学校区を越えた地区まで自転車を走らせたのだった。
秋の夕暮れ、西日が世界を朱に染めていき、ゆっくりと朱は藍へと変わる。
「もう、いいのかな?」
「夕日が沈む前って言ってたよね?」
自転車を置き、ゆっくりと歩き出す二人。
裏道は五十メートル程先で行き止まりと県道への二手に分かれているが、二人の目的はその五十メートル程の裏道にあった。
二人は所謂「霊感体質」といわれる少数派であり、周囲の子供からは浮いた存在であった。
ある噂を耳にしたクラスメイト達が「お前ら行ってこいよー」等と半ば脅迫的に数の暴力で囃し立てた結果が、二人の今日である。
持たされた古い携帯のムービー機能を起動させて歩く二人。
「なんともないね?」
空は朱を落とし、藍へと変わり、二人は三十歩程歩くが、変化も何も無かった。
「あっちまで行ってみよ?」
肩透かしを食らったような、何も無かった事を安堵するような顔で少年は歩き、目的の半分を通過した時、二人の足が止まった。
「真…くん…」
足を止めた少女は蒼白い顔で震えながら、振り絞ったか細い声で少年を呼ぶ。
少年は得体の知れない恐怖に怯えながらも、少女の手を掴んだ。
繋いだ手は震え、立ち尽くす二人。
“上に何か居る”そう感じるも、上を向くことができない。
重く冷たい空気が辺りを包んだ。
少年は生えたての永久歯が震えで鳴るのを必死で堪え、震える手を握りしめ、ゆっくりと後ずさる…
ゆっくり、ゆっくりと震えながら下がると不意に空気が変わった。
冷たかった空気は生暖かく、民家の灯りや生活音が耳に届いた。
「行っちゃだめ、みたい…」
精一杯、絞り出して言うと、体の震えは収まっていた。
自転車まで戻った二人は、暗くなった空を見てどちらともなく「帰ろ」と呟いた。
古い携帯には、真っ暗な画面のみが映され、何の音も入っていなかった…
モデルが居ます。逢魔が刻に「幽霊出るよ」って噂の普通の裏道で、途中まで歩いて怖くて引き返した二人組。
「これ以上行ったらなんか凄く嫌」みたいな感覚で引き返したという逸話。
夜中も怖いですが、昼の終わり、夜の始まりって時間もイロイロありますよねぃ…