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第02話 『魔族のお姫さま』

5/8 設定変更に伴う内容の調整を行いました。

 結論から言うと、記憶喪失です。なんにも分かりませーん。で全部片付いた。


 ヨフニルと名乗った二本角の侍医じいさんは、いきなり「何があったのか覚えておりますか?」と、私からすればゴングと同時に飛び出してきた相手の右ストレートをまともに食らったような質問をしてきて、正直に答えざるを得なかったのだ。

 その後、問診の形で自分の名前を含めて、全く覚えていない事を白状させられたというのが事の顛末。


 まぁ、覚えてないのはこの身体の方の話なんだけどね!

 嘘は言ってないよ!


 同席してた侍女さんも女騎士さんも、これには目を丸くしてた。


「今は記憶がないという事を意識せず、ゆっくり時間をかけて診ていきましょう。心に負担をかけることはあまりよろしくありませんからな」


「あの……何があったのかなどは……」


「気になさらずとも結構でございます」


「アッハイ」


 情報収集しようにも、ぴしゃりと封殺されてしまった。


 結局分かったのは、今世の自分の名前がアルメリア・カイシー・ヘルケラオスということと、11歳ということ。

 それからこの国はエルヘイム王国という名前だと言うことぐらい。


 最初、もっと年齢が上かと思ったけど、そこは日本人基準だからね。11歳にしては発育がいい気もするけど、気にしない気にしない。

 最近の日本人は発育もいいって?

 そーゆー話はしてないよ!


 いやそうではなく。記憶の戻る年齢が言ってたこととまーた違ってませんかね? ホントあのオッサン女神は信用できないわー。

 むしろ全く話を聞けなかったことが、正解だったんじゃないかって思うぐらい信用できないわー。聞いてたら絶対振り回されてた自信あるよ。


 それから鏡も見せて貰った。

 可愛いらしい女の子を想像していたのだけど、その顔を見て愕然とした。


 これ、(水御門千姫)の顔だ――


 触ったときに輪郭が違うと感じたのは、正しく言うと子供の頃の顔だったから。

 睨み付けるとマジで怖いと言われた猫目も、ちょっと丸っこくて気になっていた鼻筋も自分だと分かる形で、前髪がやや癖毛になっているところも一緒だ。

 違いは瞳の色が鮮やかな翡翠色になっていることと、髪が長く伸びて色が水色になってること、肌が透き通るような美白ということぐらい。

 2Pカラーかな。


 カヅキが目覚めてから出会った三名がこの顔に違和感を覚えてないなら、このアルメリアちゃんという子はもともとこういう顔だったという事になる。

 つまり成長したら私と同じ顔になるんじゃないかってことだ。

 あっ、でもこの年からお肌や髪の手入れとかちゃんとやってみたいだから、もしかすると私より……。


 カヅキと同じ顔だと申し訳ない気がするけど、幼少からのエイジングケアで上を行かれるかと思うと悔しいのはなんでだ。

 うん、気にしない。

 考えたら負けだ。


 あと角についても聞いた。

 なんでも魔族は人間と比べて内在魔力ないざいまりょくが高い為、体内に過剰となる魔力の排出器官として存在するのだそうだ。

 基本的に内在魔力は肉体の体積に比例するらしく、体が大きいほど大きかったり数が多かったりする。つまり角が少なかったり、小さい方が内在魔力と馴染なじんでいるということであり、“才能”があるということ。

 そう、あくまで“才能”であって、それを開花させるには本人の努力次第だ。


 なお女騎士さんの一本角は長めで、侍女さんの三本角は短め。こういうのをそれぞれ『一長角いっちょうかく』、『三短角さんたんかく』というらしい。侍医のヨフニルさんの二本角はそれぞれ長さが異なっていて、これは『一長一短角いっちょういちたんかく』となるとか。

 私は年齢的にまだ確定じゃないけど『一短角』だろうとのことで、そもそも珍しい一本角でも更に珍しいとか。王族だから力が強いんだろうなー。


 ちなみに私の角がちょっと柔らかいのは、成長期からだそうで。

 形が歪むのであまり弄っちゃダメと言われた。

 はい。


 ともかく日本ではただのOLだったカヅキが11歳の王女様?

 まことにぃ〜?

 鼻で笑うしかないよこんなの。

 まあ、ただのって言うと友人達からいろいろ言われるんだけど、こんな世界からすれば些細なことだよね。

 普通に経験できないことを経験してるってだけだ。


 能動的にやって変だって言われてるのは、高校時代に付き合い立ての彼氏から女っぽい事したら? とか言われてイラッとしたのでそのままボクシング部に入ったとかそのぐらいだ。

 元々足癖が悪かったのもあって、キックボクシングに転向するかを悩む程度には面白くて三年間続けたけど。

 あとは全部巻き込まれた経験しか無い。


 ん?

 これも巻き込まれた系だよね。

 何がどうなってこうなったのか分かんないけど、私悪くないよね。

 よし、私がいい悪霊である事が証明された。

 Q.E.D.


 しかし、まぞく。

 魔族かー。

 この言い方だと人間もいるって事だよね。

 全く忌避感は感じてないのだけど、この世界的に見て魔族ってどういう扱いなのかが気になるね。

 世界の敵みたいな扱いだと、勇者に蹂躙される予感しかしない。これで世界を救えってどうすんのよ。


 ん? 魔族の王国の王女って事は父様は魔王じゃね?

 そこの姫って事は私、魔王の娘って立場じゃね?

 まことにー!?


 世界を救うんじゃなくて世界を滅ぼしたり征服したりする方じゃなかろうか。あ、でも勇者と手を取って世界を救う魔王なんてお話もあったりしたかな。それならあながち無理ではないのかも。


 で、最後に見ました、魔法!

 いや剣と魔法の世界みたいなざっくり説明だったからどうなのって思ったけど、すぐに自分のみで味わえるとは思わなかった。

 最後に手を取られたので脈を測るのかなって思ったら、侍医さんの手から白い光が私の掌に染み込んできたのよね。

 びっくりして何をしたのかと尋ねると、魔法を使ったという話だった。


「魔術で外傷が無いかを確認させて頂きました。どうやら大丈夫なようですな」


 これだけで外傷を確認って、便利すぎるんじゃないかな。具体的にどのように確認したのかは分からないけど、服を着てベッドに横になったまま手を繋いだだけだからね。


 それから魔法の処置を受けた後から、なんか魔法の空気というか、雰囲気のような、匂いみたいな、そういう言葉に出来ない感覚を感じるようになっている。これは体の持ち主であるアルメリアちゃんが知ってたからなのかな?

 ちょっと不思議な気分だけど、もしかしたら私も魔法が使えるようになるのかもね。

 あ、そう思ったらワクワクしてきた。



 前後の話の都合から短くなってますというか、この後が長くなりかけたので先にこちらだけを。


 はい、早速ノープランです。

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