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第4話 野々宮 愛宕

「先生、師匠になって下さい」


女子高生が耳元で囁く。


「休み時間終わっていますよ?」


「体調不良で休んでます!」


堂々のサボり宣言だ。


「なら、保健室にいきなさい」


「保健室ではもう休みました! あとは図書室で本を読むだけです!」


「体調不良の人は、本は読みませんよ?」


「将来は図書委員なんです!」


「図書委員でも授業中は図書館に居てはいけません」


「ぶぅー! ああ言えばこう言う! うるさい男はモテないんだぞ!」


「わかったなら教室に戻りなさい」


「あ! 私あの本読みたかったんだ!」


あからさまな言い訳に苦笑する。


野々宮愛宕は、本を手に取り席について読み始めた。


「全く」


御薬袋は熱心な先生ではない、しかし一応教育者という立場なので最低限の注意はしておいた。

役目は果たしたといわんばかりに、御薬袋は自分も読書にふける。


「先生! そう言えばこの間はどこに行ってたんですか?」


「この間?」


「うん、二日前!」


「ああ、これでも私は魔法の研究者でしてね、学会などに参加しているんですよ」


「え! 図書館の先生が研究者?」


「今の世の中幅が広がっているんですよ」


学会はほとんどいかないが、嘘でもない。

二日前はちょうど、新たな人身売買組織を潰していたところだ。


「へぇ~、やっぱり先生凄い人なんだ」


「褒めても弟子にはしませんよ」


「え~! 何したら弟子にしてくれるんですか?」


「生憎弟子は取らない主義なので」


そんな主義はない。


「何でもしますから~」


「はいはい、チャイムなりますよ」


「やったー! 下校だー!」


野々宮愛宕は、チャイムと同時に出て行った。


「ホームルーム……」


言っても無駄だと分かったので途中で言葉を切る。


図書館の整理をしていたら、人が入ってきた。


「御薬袋先生」


「小野寺先生、どうしました?」


「今日も野々宮さんがお世話になったようで、ありがとうございます」


小野寺先生は、野々宮愛宕のクラス担任だ。


「いえいえ、よかったんですか? 迎えにこなくて?」


「ええ、今日はそのことについてお話をしにきました」


「お話し?」


「ええ、実は、校長先生と相談しまして、野々宮愛宕を特別支援生徒に指定することになりました」


特別支援生徒とは、皆と同じ環境で学校に通うことが困難な生徒に対して行う処置のことだ。

高校は義務ではないとはいえ、そのま退学という措置は取らないのだ。


「ほうそれで?」


「御薬袋先生にお願いすることになったのでよろしくお願いします」


小野寺先生が頭を下げる。


「わ、私ですか?」


「担任の私が不甲斐ないばかりに、本当にすみません」


女性に泣かれては断りずらい。


「ええ、私でよければ力になりますよ」


「ありがとうございます!」


野々宮愛宕を図書館でみることになった。



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