第3話 BAR
「ははは! これで魔法は使えないぜ魔法師さんよ!」
強面の男が得意げに拳銃を構える。
「さよならだな」
その言葉とともに、引き金を引く。
しかし、御薬袋は馬鹿正直に正面に立っている訳でもなく、男の拳銃を叩き落とす。
「あがっ! な、魔法は使えないはず!」
男は、御薬袋が魔法による身体強化をしていると思っていたようだ。
「それでも勝てなかったな!」
男のを打ちのめし、地面に叩き付ける。
「俺が尋問する必要もないか」
端末を取り出し、電話を掛ける。
「終わったぞ」
「あら、また一人で行ったの? 分かってはいたけど、一応言っておくわね、応援を要請しなさい」
「その応援を今要請している」
「はぁ、あなたに頼んでおいて言うのもなんだけど、やる前に応援要請した方がスムーズじゃない?」
「邪魔になるからな」
暗に役立たずと言っている。
「はいはい、それじゃあ向かわせるから待ってるのよ?」
「捕まっている女子供も逃がしといた」
「ちょっと! 応援呼んでなにしてんのよ! というかやっぱり待つ気ないのね!」
電話口がうるさくなってきたので切る。
「運が良ければ逃げれるかもな」
御薬袋は、そういうと立ち去った。
一応拘束はしているので大丈夫だろう。
☆
人気のないcloseの表記が掛かっているバーに入る。
「いらっしゃい」
スタイルのいい。赤髪の女性が席に座っている。
「お前の店じゃないだろ」
「いいじゃない、今は私が貸し切り中よ、何か飲む?」
「任せる」
「喉も乾いているだろうし、ウィスキーのロックね」
喉が渇いたらウィスキーのロックというのは、理解できないが別に問題ないので頂く。
「それで、今回は何か収穫はあった?」
「いや、探してみたが何もなかった」
「そう、こっちも何も見つけられなかったわ、完全に切られてるわね」
「まぁ禁書をここまで隠し通しているんだ、そうそう見つかるまい」
「そうね、私達は犯罪組織を潰せるからいいけどあなたは損じゃない?」
「まあな、でも何もないよりはマシだ」
「話変わるけど、警察にこない? あなたなら特別に、データベース見れるようにしてもいいのよ?」
「お前一体何者なんだ?」
警察のデータベースに、人事も誤魔化せる人物とは一体どんな地位の人間なのか。
「あらやだ、只の特殊犯罪対策部の部長よ♡」
結構偉い地位のようだ。
「情報はないのか?」
「早い男は嫌われるわよ?」
おちょくるような声を出しながら俺の肩に指を這わせる。
「ないんだな?」
席を立ち、去ろうとする。
「今日一緒にいた女の子」
「女の子?」
一緒に過ごした女の子に記憶はないが。
「野々宮愛宕、彼女には気をつけなさい」
思い出した、そう言えば図書館で片づけをしている時に弟子にして下さいと、やけい古風な考えの学生がいた。
「なにかあるのか?」
「彼女の家は、魔法師の名家なんだけど、最近怪しい動きをしているわ」
「怪しい?」
「まだ、詳しいことはわかっていないわ」
「そうか」
今度こそ店を立ち去る。
呼び止められることもなかったので、そのまま帰路に着く。
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