第1話 図書館司書
とある少女が男の人に迫っていた。
「私の師匠になってください!」
「断ります」
「お願いします!」
少女の懇願を聞き届ける気のない男性は、少女に一切目もくれず、本だけを見ている。
「ここは部活をする場所じゃありませんよ?」
「私! 帰宅部です!」
必死の少女の名前は野々宮愛宕女子高校生。
「では、帰りなさい」
眼鏡の男性は、御薬袋葉、高校の図書館司書。
「先生に魔法を教えてほしいんです!」
「私は魔法教科を担当していないので」
御薬袋は、立ち上がり返却された本の場所へ歩いていく。
「私! みんなと同じように魔法が使えなくて!」
ここは第二魔法学院、比較的優秀な生徒しか入れない所謂エリート校だ。
その中でも出来不出来はある、この子は周りの才能に押しつぶされそうな気持なのかもしれない。
「魔法不全を起こして」
「保健の先生などに相談はしたのでしょう? 私に相談するようなことではありませんよ」
「先生は魔闘戦闘をしていましたよね?」
「はぁ、気絶していたのではないんですか?」
彼女はいじめというには、いささか過激ないじめを受けていたあの子だ。
「先生が魔力を纏うところを見ていました」
それを見た後に気絶したのだろう。
「ここは図書館で、私は図書館司書です! 魔法を教える先生ではないですよ」
「ダメだったんです、他の先生方にも指導を受けました! でも無理でした」
「重度の魔法イップスですか」
入学した後に、何らかの原因で一般的な魔法が使えなくなったのだろう。
「はい、それで魔闘ならもしかしたらできるかなって」
魔闘とは、自分の身体に魔力を満遍なく巡らせ、身体能力を向上させる技術の事だ。
巡らせることは簡単だが、それを維持して行動をすることが難しく、常に魔法を発動している状態になる。
「できても、私は教えませんよ? なにより仕事中なので無理です」
「終わった後でいいので!」
「ダメです! 仕事が進みませんから帰って下さい!」
「うう、明日も来ます!」
そう言って野々宮愛宕は去ってい行った。
「はぁ、明日もくるのか、迷惑以外の何ものでもないんだけどな」
少女がいなくなると御薬袋の口調が変わった。
他人仕様と普段仕様で、分けているのだ。
仕事が終わり、帰路につこうと歩いていると、顔をマスクで隠した人物とすれ違う。
「第7区か」
受け取った紙に書かれていた指令を実行すべく、図書館司書の顔から、獲物を狩る狩人の顔になる。
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