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4 - 24.『Promotion War - XV』

4-24.『昇格戦 15』


本日二回目の投稿です。

「でも移動に魔法が使えないのは少しキツイなあ。」


 魔法を使わない走行でJ-1を探す。何をしようにもまずはJ-1を見つけることから始めないといけないわけだが、そのJ-1を見つめるのが1番大変であったりするのだ。手当たり次第に探すほかに手はない。公園から大通りに出る。


「流石にこんな人目に付きやすい所には居ないだろう。路地が1番居そうだ。」


 大通りから路地へと続く道が1本しかなかったため、そこへ向かって走る。かなり細めの道である。ここで戦闘が起これば、相手の攻撃を避ける手はない。魔法による身体強化だけでも許可されていれば、それによって壁を使いつつ、上下に移動することはできるのだが。


「そこで何をしているんだ?」

「……!」


 僕は気付かなかったが、居ないと思って通り過ぎた横道から人が来たようだ。僕は振り返ると同時に距離を開ける。攻撃は飛んでこなかった。


「どこのクラス?」

「J-1」

「本当に? どうして1人だけ?」

「それ言う? そっちこそ1人じゃん。」

「まあ……そうだけど。」

「こっちは魔法使えなくて置いてかれたんだよなあ。そっちは?」

「僕も魔法は使えないよ。」

「おっ、そっちもなかなかのやり手だねえ。噂のJ-10かな?」

「まあ魔法使えないのが2クラスしかないからね」

「冴えない反応だね~」

「ありがとう」

「まっ、とりあえずは2人行動という事で。」


 流されるままに2人行動をすることになってしまった。まあ、様子を見るという事でおいておこう。どうせ僕には魔法が使えないから。後から考えるほど痛いハンディキャップを背負っている。甘く見すぎていたかもしれない。


「まずはJ-5の殲滅かなぁ」

「J-1の敵と言ったらそうかもね。魔法が全員使えるわけだし。」

「そう、そこっ! 魔法使えるのが怖いとこなのよ。早めに倒さないといけないわけっ!」


 ここで僕は気付く。合図を出す手段が無いのだ。ヨルクス側は認識阻害をするため、合図を出すとJ-5が警戒して追いかけてこない可能性があるから僕がするように言ったんだった。八方ふさがり感が否めない。


「J-1はどこから開始したの?」

「いきなり質問すっか。あー、J-5探すためってことね」

「そういうこと。」

「こっちはこの路地。さっき、曲がってきたとこあったっしょ? あそこの奥から来たわけよ。」

「僕達は公園だから……。」

「つまりJ-5は路地裏か大通りって事ね、りょーかいっ」


 どうしてこの生徒はこんなにテンションが高いのか全く分からないが、何か嬉しい事でもあったのだろうか。僕が騙されていて、それを横で見ているのが面白いってことなのだろうか。疑心暗鬼になるのも良くない事だが、全く疑わないのも足元を掬われる原因になってしまう。それほどの関係性で居れば良いか。悩みどころだ。


「そこ曲がってみねえ?」

「確かにそこを曲がると路地裏になりそうだ。」

「だよね! 暗すぎっ!」


 今、僕達を誰か見ている人が居たら温度差で風邪を引いてしまっているのではないか。本当に真冬と真夏が同時に来ている。


「おっ、本当に路地裏じゃん! ここら辺とか良さそー!」

「……? 何がっ……!」


 近距離で魔力を込めた拳で殴りつけてくる。受け身を咄嗟にするが、勢いを殺しきれずかなり後ろに下がる。


「あたー止められちゃったか。やっぱ、警戒してたってわけね。」

「当然だろ。警戒しないはずがない。」

「だけど、これはどーかな? 【物理障壁】。」

「……っ! 逃げれねえよな。そっちの戦い方を真似させてもらったぜ。かなり悪質な勝ち方してみてえだしな。」

「悪質の意味を履き違えてるんじゃないか?」

「いや逃げられないようにして下に落とすなんて、魔道士を侮辱してるっしょ。」

「はははっ。面白いね。」

「はっ? 何が?」

「まず魔道学院生は学院生であって魔道士じゃない事。このフィールドの最大効率での倒し方である事。【物理障壁】は魔法を通すため魔法で抵抗できる事。見てるだけで参戦しなかった負け犬である事。ほら、面白い事しかないじゃないか。」

「てめぇ……!」

「魔法を使えない僕に対してそれをするって事は、僕の何倍も性格捻くれてるよね。抵抗できない人を……ね。良い趣味してるね。尊敬するよ。」

「【爆散】【爆散】【爆散】【爆散】!!!!!」

「視界が狭くなってるね。それに魔法連撃なんてすごいじゃないか。よくできたね。掠りもしてないけど。」


 僕は普通に【物理障壁】の端に沿って、この生徒の近くに来ただけである。避けられたことに動揺してるのか、次の魔法は放たなかった。


「はい、終わり。そこに穴があるから気を付けてね。」


 背中を押す。途中で言葉の意味に気付いたのか、慌てて留まろうとするがもう遅い。自分で作った穴に自分で落ちていった。


「悲しいね。人を騙そうとして、煽られて、怒り散らす。J-1に相応しくない生徒だと思うよ。J-2かJ-3で満足してくれ。」


 生徒が落ちていった穴を見ると、いつの間にか修復されていた。空間魔法は相変わらず恐ろしいものだ。


『〈J-1〉より1名が敗北しました。〈J-1〉は残り2名です。』


 僕は路地裏の奥を目指すことにした。


次回更新予定 - 6/9(火)17:00


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7/1より新作連載開始。

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