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4 - 22.『Promotion War - XIII』

4-22.『昇格戦 13』


本日三回目の投稿です。


また、本作第一話を

大幅修正、大幅加筆しております。

是非、時間がある方は読んでみてください。

「【千者万別】」


 僕は魔力の剣を出現させる。現在、僕を相手取る生徒たちは1人1人が違う属性の剣に狙われている。〈魔剣術〉の中でも高難易度な魔法だ。無数の剣が全て違う属性を持って敵を狙うのだ。最強技と言っても過言ではない。


「ま、参った……。」


 流石に初手から同時に魔法を2つ発動した状態でこれだけの大技を使えるとは思わなかったのだろう。正確にはこれは同時に魔法を発動したわけではなく魔法連撃であるため、僕の負担は少ない。維持に必要な魔力を供給するだけだ。


「それが何?」

「は……?」

「いや、参ったって何? 君達の罪は何も消えてないよ? 言っておくけど声なんて審判に聞こえないからね。そのための【物理障壁】でもあるんだから。」

「……狂ってる。」

「いやそっくりそのまま返すから。まず1回。」


 それぞれの剣が相手生徒全員の腕を指す。苦痛の声が【物理障壁】の中で響き渡る。


「痛めつけるって自分が体験してから言わないとね。さてもう1回。」


 剣が逆の腕を指す。苦悶の表情を浮かべながら叫ぶが、【物理障壁】は声を通さない。我ながら惨い事をしているが、この生徒達は僕がこうしないと同じ事を僕のクラスメイトにしようとしていたのだ。いや、何人かはされたんじゃないだろうか。絶対に僕はこいつらを許さない。


「血を溢れ出させてその腕邪魔でしょ? はい3回目。」


 全員の両腕を切り落とす。阿鼻叫喚の地獄だ。失禁している人まで居る。そろそろ自分たちのした事、しようとした事を理解したかな。次の段階に進もう。


「【針千本】」

「……!!!」


 全ての剣が何億何兆の針となる。その針が身体中隙間なく刺す。無限の苦痛に生徒達は叫ぶが、喉が潰れ、肺に針が貫通し、心臓や脳を串刺しにする。そして絶命する。生徒達は叫ぶのを辞め、皆が沈黙した。全員がその場に倒れている。


「【爆散】【爆散】【爆散】っと」


 地面に巨大な穴を作る。全員を穴に落として脱落させた。これでかなり人数が減ったんじゃないだろうか。全体連絡を待つ。


『〈J-1〉より3名、〈J-3〉より5名、〈J-4〉より1名、〈J-5〉より3名、〈J-7〉より10名、〈J-8〉より7名、〈J-9〉より2名が敗北しました。〈J-1〉は残り3名、〈J-5〉は残り2名です。〈J-3〉、〈J-4〉、〈J-7〉、〈J-8〉、〈J-9〉は敗北です。同時の敗北であるためこれまでのクラス順を反映して、試合後〈J-9〉は〈J-8〉、〈J-8〉は〈J-7〉、〈J-7〉は〈J-6〉、〈J-4〉は〈J-5〉、〈J-3〉は〈J-4〉へとクラス変更されます。』

『また、現時点で〈J-1〉が残り3名、〈J-5〉が残り2名、〈J-10〉が残り4名となりました。クラス数が半数を切ったため、フィールドが再編されます。また改めてクラス初期配置地点へ転移されます。しばらくの戦闘行為を禁じます。』


 ようやく残りが3クラスだ。〈J-1〉も3人が固まっていたおかげでかなり人数を減らせた。大きな成果だろう。僕はヨルクスとスナート、愉快な1人の所へ歩く。しばらく戦闘が無いのであれば、わざわざ【転移の陣】の札を消耗する意味はない。


「大丈夫?」


 僕は3人を囲う【物理障壁】と【魔法障壁】を解除した。


「ロムス……何をしたの?」

「ああ、ちょっと懲らしめた。」

「凄い魔法使ってたよな! 何だあの青いやつ! もしかしてあのじいちゃん先生が使ってたやつか!?」

「ヴィラル先生ね。そうだよ。【蒼世界】っていう超位魔法なんだけど、その効果範囲内の人にあらゆる精神系統の魔法を浴びせることができるから、痛みつけるの意味を教えてきたんだ。」

「相手の生徒達は大丈夫なの?」

「多分あまりに酷かったら記憶調整されると思う。それこそヴィラル先生とかは精神系統の専門家だから。」

「それは良かった。」


 そうあの敵側の生徒達が見ていた魔法は全て幻なのだ。僕は【千者万別】なんて高難易度な魔剣術はまだ使えない。それに【針千本】なんて倫理観喪失待ったなしの魔法も使うはずがない。


「でもこれで残り半分だね……。」


 ヨルクスの安堵の声に僕は首を振る。


「半分じゃない、もう3分の1も居ないんだ。そして現状僕達が圧倒的優勢だ。」


 こちらにはヨルクスが居る。スナートが居る。万能型のヨルクスと耐久型のスナート。ここからの乱戦を生き残るのが得意なチームだ。それにこの子は……。


「君も大丈夫?」

「……」


 小さく首を縦に振る。愉快な4人組の1人だ。僕は元々あまり主張の激しくない5人を愉快な5人組と称していたが、主張が激しくないだけで特徴がないわけではないのだ。ただし、他のクラスメイトの主張が激しすぎて目に入る機会が極端に無くなるのだ。悪いのはクラスメイトだ、うんそうだと考えたい。


「本気出して良いんだよ?」

「……っ!」


 どう見ても1人おかしいのだ。先程までスナートよりも酷い傷を負っていたはずが、傷が全て癒えている。ヨルクスも薄々勘付いては居たようだ。


「ロムス、これは僕の予想だけど言っても良い?」

「うん、多分僕も同じ予想だから。」

()()は人じゃない。魔物だ。正確に言えば知性のある魔物……〈魔王〉だ。」


 僕のクラスは本当におかしな人しか居ないようだ。この状況で乱戦を生き残れると言ったのは彼女の存在も大きいと感じていたからである。

次回更新予定 - 6/9(火)00:00


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7/1より新作連載開始。

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