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4 - 20.『Promotion War - XI』

4-20.『昇格戦 11』


最近投稿が遅れている原因として

私の体調不良があります。

私情で申し訳ございませんが

これからも投稿予定を過ぎることがあります

ご了承ください。

 しばらく僕のチームは路地裏を歩いていた。


「長い路地裏だな。迷路みたいだ。これが帝国なんだな……。」

「すげえな、帝国って。」

「伊達にも世界最大国家なんて言ってないからね……。留学生も沢山居るし。」

「魔道学院も~?」

「うん、魔道学院からも留学してる生徒は多いよ。例えば学院の生徒会長なんかも留学してたはずだ。」

「生徒会長って〈J-19〉との昇格戦の時の?」

「あの副審は生徒会長だよ。小さかったでしょ?」

「正直、年上とは思わなかったかも。」


 最近はリーザンとの会話も増えてきた。どうやらリーザンが住んでいるのは僕の滞在している宿屋とも近いようで、何回か遊びに来てくれたことがある。アリスはその時はどこか不満げであったが、その分も兼ねて誰も訪問してない時はずっと話している。


「……! 止まって。足音が聞こえる。」


 僕達は一旦止まった。この先に曲がり角があるが、どうやら足音は聞き間違いではないようだ。


「全員後ろに下がる準備と自分を守る用意をして。僕はヨルクス達に合図を送るから。行くよ? ……【紫電】!」


 上空に電気の炸裂する音が響く。足音が急に大きくなる。どうやら向こう側も気付いたようだ。


「【魔法障壁】!」


 向こう側が角を曲がると同時に僕達はそれぞれ魔法を防ぐための手段を講じた。僕は全員を守るように【魔法障壁】を発動する。


「【雷撃】!!」

「【土壁】」


 攻撃を仕掛けられるが冷静に相性を考えて防ぐ。相手は3人だ。1人だけが攻撃をするようだ。他の2人に動きは無い。


「周囲2人を警戒してて。それから隙があれば攻撃をする!【爆散】!」

「くそっ!」


 指示を出すと同時に攻撃。警戒させる暇を無くす。しかしそれは杞憂であった。【爆散】で生じた穴に落ちる。3人は場外となり棄権。


『〈J-8〉より3名が敗北しました。〈J-8〉は残り7名です。』


 フィールド上に声が響く。逐一報告が来るのか。それならかなり計算しやすい。そしてヨルクスも倒したことが分かったはずだ。


「すぐに移動しよう。このままだと敵が集まってくるかもしれない。」


 僕が生じさせた穴はすぐに元の舗装道へと戻った。だが、穴をあければ落とせるのは大きな発見である。これはうまく活用していくほかない。


「そこに居るぞ!」

「もう来たのか……。もう一度目印を上げると、ここに居ることが確定して人が集まりすぎる。次の相手は僕達だけで完全に抑え込む。そしてすぐにここから移動しよう。戦況が不利になるようだったら、すぐに退散する!」


 先程と同じ曲がり角から生徒がたくさん出てくる。生徒数は10人。つまり1クラスだ。


「防御態勢を整えて!退却の準備もして!」


 各自が防御するための魔法を発動しつつ、後方に下がる。これも作戦を立てる時に決めたことだが、急いで逃げる事よりも敵に隙を見せないように敵から目線を外さないことを重視している。相手を少しでも尻込みさせれば時間稼ぎと相手の隙を見つける機会に繋がる。


「僕は出来るだけ人数を減らすから、同時魔法発動数が複数使える人は無理しない範囲で攻撃をお願い!」

「【氷刃】」


 愉快な1人が攻撃する。まさか君が、とは……。まだ名前も顔も覚えていないけど、同じクラスなのは分かる。ありがとう。


「【土石流】」


 スナートも攻撃する。全体的にスナートは黄魔法土系統が得意な傾向がある。僕も攻撃に参加する。


「【物理障壁】」


 相手の逃走を防ぐために【物理障壁】を張っておく。リルゲア先生が朝使っていたからなんとなく特徴が掴めた。【魔法障壁】と同じく活用性のある魔法だから覚えておきたかった魔法の1つであるだった。相手生徒側はかなり動揺していた。


「うわあああああ!!!」


 逃げられないところに前方からの【氷刃】と上方からの【土石流】。相手生徒はかなり人数を減らしていた。そこに【物理障壁】が消える。試しに発動しただけのため、練習量が足りず維持が出来なかったようだ。相手を逃がしてしまう。


「深追いはしないで。でも進む方向はそちらだから挟み撃ち狙いで進もう。」


 そこに全体連絡が入る。


『〈J-9〉より6名が敗北しました。〈J-9〉は残り4名です。』


 やはり実力的にはJ-9か。これを聞くと、番号が近いクラス同士が近くに配置されたようだ。だが、こう考えるとそろそろヨルクスの方も遭遇しているのではないか。丁度炸裂音が鳴る。空を見ると氷の欠片が散っている。ヨルクスだ。


「……! すぐに向かおう!」


 走って合図があった場所を目指す。かなり距離がありそうだった。恐らく到着前に決着がつくだろう。半分まで行ったときだろうか。全体連絡が流れる。


『〈J-3〉より2名、〈J-10〉より3名が敗北しました。〈J-3〉は残り8名、〈J-10〉は残り7名です。』


 ヨルクス達が遭遇したのはJ-3か。人数が多かったのか、ヨルクス達の方が被害が大きい。残ったのはヨルクスとシーナだけだろうか。


「予定よりも早く人数が減ったね……。1回、合流したほうが良さそう。このままヨルクスの方へ行こう。」


 引き続き合図があった場所へ移動する。しかし同じ初期地点から真逆の方には進んだが、ここまでかなり遠い場所になるとは思いもよらなかった。帝国の摩天楼はつくづく恐ろしい場所だ。


『〈J-2〉より10名が敗北しました。〈J-2〉は敗北です。試合後〈J-10〉へとクラス変更されます。』


 連絡が入る。ここまでの被害を出すという事はJ-1だろうか。全面対決があったにせよ、J-1に全く被害が無いのはどこか怖い。対面した時は要注意だ。


「ロムス。〈J-2〉が居ないときついんじゃねえの?」

「まあ大変ではあるけど、〈J-2〉が重要じゃなくて使()()()()が重要なんだ。」

「……? ロムスの言う事はよく分かんないな。」

「多分試合が進むと嫌でも分かるようになると思う。戦闘も少なくなるよ。」

「どういうことだー?」


 スナートは首を傾げている。説明が足りないのが原因だが、それを丁寧に説明するだけの時間が無いのだ。急な昇格戦変更決定で災いした事の1つだろう。


「まあヨルクスと合流したら作戦を決めなおすから、その時に改めて説明するね。」

「ああ、頼む!」


 かなり合図があった所へ近付いた時。足音が聞こえた。一応防御態勢を整える。遠くから見える人数はどう見ても2人ではない。つまり敵なのだ。ただおかしいのは明らかに人数が少ないのだ。


「おっと君達はどこのクラスかな?」

「人に聞くときは自分からじゃないか?」

「まあ……確かにそうかもしれないね。僕は〈J-1〉だ。」

「〈J-1〉? 1人ずつ行動しているのか?」

「そうだよ。圧倒的有利なこの試合にハンデをつけてあげているんだ。」


 それが事実ならJ-1の1人の生徒がJ-2を完全に打ち負かしたことになる。かなりの実力者だ。そしてその1人はこの生徒かもしれない。緊張が漂い始める。

次回更新予定 - 6/8(月)12:00


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7/1より新作連載開始。

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