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4 - 16.『Promotion War - VIII』

4-16.『昇格戦 8』

 僕達はそれぞれ石の塔の上に立っていた。半径は1メトル。2人でも落ちそうで危険である。勿論、ここから落ちたら棄権になるのだろう。互いの距離はあまり遠くないが、ただの跳躍で届く距離ではない。


「予想外と言えば予想外だけど……これは僕に不利だな。」


 使っているのは剣だ。確かに〈魔剣術〉には様々な魔法攻撃があるにはあるが、距離が遠い状態では遠距離の武器を持っている人の方が有利だ。そして僕達のクラスは遠距離対応の武器を使える者は居ない。


「魔法攻撃は禁止なのが痛いな……。」


 相手クラスの〈J-10〉は僕達のクラスの間の石の塔に立っている。つまり交互に配置された状況なのだ。まだ試合が開始していないが、試合が始まればその瞬間泥仕合になってしまうだろう。今回は〈J-17〉戦のような連絡を取る方法はない。試合をしながら話すしかないという事だ。


「只今より昇格戦〈J-10〉対〈J-11〉を開始する!試合開始!」


 開幕と同時に放たれた銃弾を剣で流す。僕は試合開始と同時に〈魔力の剣〉を作り出した。魔力の剣は属性を持たない魔力だけで構成された剣だ。ここから属性付与させながら戦う効率的な魔法剣である。


「【破砕】!」

「うわぁっ!!!」


 僕に銃弾を放った生徒は足元の石の塔を破壊され下に落ちる。跳躍の魔法を使う暇はなかったようだ。焦ったのか落ちながら銃弾を何発も放つ。


「危ないっ!!」


 J-10の生徒から2人、僕達のクラスからは愉快な4人組の1人が浴びてしまった。


「今はこちらが有利だ!石の塔をどうにかして破壊しろ!」


 大声で全員に伝える。これはJ-10も分かってしまうが、僕は魔法を唱え始めた生徒の塔から破壊していく。


「あいつの石の塔を全員で壊せ!!!!」


 J-10のリーダーであろうか。僕が相手の魔法を妨害していたことが気付かれる。


「【硬化】【硬化】【硬化】!!!」


 僕は一度魔法連撃で石の塔を固くする。【破砕】は上位魔法であるため、使える人は少ない。大多数が下位互換となる【衝撃】を使っている。だからこそ【硬化】でも耐えるのには十分なのだ。


「【破砕】!」

「壊れたっ!【跳躍】!」


 J-10の1人が【破砕】を使えたようだ。僕の石の塔が破壊される。しかし壊されることは分かっていたため、すぐに【跳躍】を発動した。高く飛んで時間を稼ぐ。遠距離武器を持ってる人からは格好の的となっている。


「【水槍(すいそう)】!!」


 5本の水の槍がJ-10の遠距離武器を持つ生徒を狙い撃ちする。3人は落下したが、2人は僕と同じように【跳躍】を発動した。


「ヨルクス!氷系統の魔法で武器を凍らせて!」

「分かった!【氷結】 ……【氷結】!」


 ヨルクスが2人の武器を凍らせて使えない状態にした。


「【強風】!!」


 上から下へと強い風を吹かせる。飛んでいる生徒は風に煽られ、勢いを上げて急降下する。僕も急降下するが、風を少し調整して敵生徒の頭上へ落ちるようにした。


「【強風】!」


 もう一度発動。僕の下に居た生徒は横からの風に殴られ、落下する。僕はその生徒が居た石の塔へ立つ。


「残り生徒はこっちが僕とヨルクスとスナートと愉快な1人で4人か。」

「向こうはまだ6人残ってる。相手もこっちもリーダー格は残ってるね。」


 最初の時点で僕達は4人が出場していないため総数で少ないのだ。そう考えると僕達の方が相手を多く落としている。


「相手の武器は何が残ってる?」

「ボーガンが1人。ナックルが1人、オーブが1人だね。他は武器がない。」

「オーブを優先で倒そう。」

「分かった。」


 僕とヨルクスは隣同士の石の塔に立っていた。小さな声で話し合う。スナートはこちら側にいるが、愉快な1人は相手に囲まれていて助けるのが難しい。攻撃されて今にも落ちそうだ。


「スナート、魔法で相手を陽動して。」

「ああ、了解!!」


 スナートが魔法を唱える。石の雨が降り始めた。細かい調整ができないようで、こちら側にも降ってきている。


「【破砕】」


 オーブを持つ生徒の石の塔を破壊する。しかし壊れない。オーブで石の塔の耐久性を高くする魔法を増強しているようだ。オーブは魔法の効果を高められる魔道具である。


「スナート止めて!」

「えっ!」

『反則行為です。強制棄権とします。』

「うわっ!」


 スナートが消える。スナートの魔法が直接相手生徒に当たったのだ。今回は直接攻撃は禁止であるが、それを失念していたらしい。こちらは残り2人になっている。向こうはスナートのお陰で4人まで減ったようだ。


「うーん、人数は減ったけど相手側は遠距離の武器がまだ倒せてないね。」

「そうだね。ロムスはオーブ優先で行くでしょ?」

「あれが一番怖い武器だからね。ヨルクスは別の武器の生徒でも良いよ?」

「じゃあボーガンの人を倒そうかな。」

「分かった。じゃあこの矢を避けると同時に始めようか。」

「ゆっくり話もできないね。」

『【跳躍】!!』


 僕とヨルクスの石の塔が破壊される。同時に【跳躍】で相手生徒側へ跳んだ。


「【火鳥】!」


 魔力の剣を火属性に変化させると同時に斬撃。斬撃が火の鳥となって相手に襲い掛かる。


「【砲刀】!」


 あくまでも【火鳥】は目くらましである。直接攻撃する訳にはいかない。魔剣術も魔法形式の1つであるため、直接攻撃はできないのだ。【火鳥】を見ている間に砲弾のような【砲刀】が石の塔を砕き、生徒を落とす。これで残り3人。


 横目でヨルクスを確認すると、ボーガンを【氷結】で凍らせた後、【氷塊】を石の塔の横から当てることで粉々に砕いていた。大雑把ではあるが、こうすれば【硬化】ですら防げない。


「これで2対2だ。早く決着をつけよう。」


 僕とヨルクスは石の塔の破壊されても残った尖塔上に立っていた。ここからが本番だ。オーブ使いはどのような魔法を見せてくれるのか。それにリーダー格の生徒は何をするのか。楽しみになってきた。

次回更新 - 6月6日(土)12:00予定


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