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4 - 15.『Promotion War - VII』

4-15.『昇格戦 7』


全く間に合ってないです

申し訳ございません!!!


本日三回目の投稿です。

「今日の昇格戦は〈J-10〉との対戦だ。」


 昇格戦が始まり、既に3週目に入っていた。いよいよJ-11を倒し、残り半分という所まで来ている。昇格戦は基本的に同じクラス単位内、つまりJクラス内でのみ行われる。例えば、JクラスからIクラスへと上がるには〈栄転戦〉と呼ばれるまた異なる戦いがある。これは不定期に開催される。


「ここまでは基本的な対戦形式だったけど、ここからは特殊な対戦形式になってくる。まずは〈J-10〉との戦いに専念しよう。」


 僕達は頷く。昇格戦は上位クラスの戦いになればなるほど壮絶なものとなる。どちらかのクラスかが非常に不利な戦いになる事もある。これは運だが、結局運で勝ち上がれば次の昇格戦で負けるのは目に見えているのだ。


「今回の対戦は武器使用必須戦だ。あらゆる武器と称される物を使える者だけが出場資格を得る。また魔法による直接攻撃は禁止。素手はありだよ。今回は魔法による身体強化や体力などを測るように組まれている。」

「この中で武器を使える人は居る?」


 ヨルクスの質問に手を挙げたのは1人だ。僕である。一応、モリスさんとの特訓した3年間で〈魔剣術〉は習得している。


「リルゲア先生、魔法で一時的に生成した武器は使用可能ですか?」

「それは可能だよ。魔法の間接的な利用は許可されている。」

「じゃあ大丈夫です。」

「ロムス……何でもできるね。」

「3年間で色々と特訓したからね。流石に3年間あると沢山の事が出来るようになるよ。」


 もう3年あれば僕は何をしていただろうか。もしかすると空間魔法の独学を始めていたかもしれない。魔剣術は独学が可能だったから覚えるのは早かったが、空間魔法は基礎よ基礎からだから無理だろうけど。


「じゃあロムスはそれで。他は何か武器を使える人居る?」


 全員が首を振る。どうやら素手出場らしい。


「素手もありだから素手出場になるけど、強化する魔法とかを使えない人は出ない方が良いかも。怪我したりすると今後の昇格戦に支障が出るから。」

「もうちょっと期間があれば習得できるかもしれないけど、流石に期間が短いから仕方ないね。」


 クラスの中で強化の魔法を使えないのはリーラと愉快な5人組のうち3人だった。


「4人は申し訳ないけど観覧席から応援しててほしい」

「いいよ~」

「6人出場か。意外といて良かった。」

「半分ぐらいになると思ったのにね。」


 武器使用必須戦。勝利条件は敵の全滅だろうけど、詳細が全く明かされていない。それをリルゲア先生に尋ねると。


「今回は詳しい話は禁止されてるんだ。特殊ルールの1つが詳細情報の禁止だね。」

「ありがとうございます。特殊ルールは1つじゃないんですね。」

「ははは……鋭いなぁ。でも私が言えるのはここまでだよ。」

「十分です。警戒した方が良いと分かりましたから。」


 つまり想定外のフィールドである可能性が高い。それにその想定外と言うのも普通だということではないだろう。それだと詳細情報を禁止する意味が無い。


「戦いにくいフィールドである可能性が高いね。底なし沼、氷上、水中、細道、山頂、積雪……。もしくは連絡の取りにくい迷路や複数フィールドの融合、ビル街、煙の中……。色々な事に想定した方が良さそうだ。」

「だけどそれだけ分かっただけでもかなり戦いやすいね。」

「普通のフィールドだと単純に戦うだけだからね。特殊ルールに該当しないし。どちらかが場外出るのが遅いかだったら、相手を動けなくさせれば良いんだ。捕縛系の魔法の準備はがしてて。」

「……水中だったら?」

「水中だと呼吸は確保されていると思う。呼吸できるようにする魔法は高難易度だから。それとは別に視界を良好にする魔法は必要かも。澄んでいるとは限らないし。」

「仲間を見分ける方法を作っておく?」

「それは良いかも。」


 だけど仲間を見分ける方法なんてあるだろうか。ヨルクスや僕が考え込んでいると、愉快な5人組の1人がやってきた。


「作る?」

「……? 作るって?」

「そういう魔道具。」

「は? え……?」


 何を言っているのだろうか。魔道具制作? 精密で高度な魔法技術を要するのだが。魔道学院では4期生から習い始めるはずだ。


「出来るの?」

「うん。腕に付けれる互いの魔力を感知できる腕輪が良いかな。」


 そう言ってその生徒は小さな巾着袋を取り出す。中に手を突っ込むと、出てきたのは腕輪が6個。


「〈収納袋〉!?」

「父さんのお下がりだから。父さんは製作ギルドに所属してるから。」

「凄いね……。」


 誰しもが予想外の特徴に驚いていた。愉快な5人組の残りの4人も驚いている。なんでそこが気付いてないの。まさか不仲なのか?


「ちょっと待ってね。」


 腕輪を机に置くと、魔法を唱え始めた。これは魔法形式の1つ〈付与術〉だ。僕もまだ完全には覚えていない。瞬く間に腕輪に魔法が施されているのが分かった。少しして終わったと呟く。


「はい、みんなそれぞれ付けてみて。」


 渡された腕輪を右腕に付ける。付けると腕の形に合うように収縮した。この速度でこんな細かな点まで魔法効果を付与できるのはかなり熟練者である証だ。父親は何者なんだ。


「近くによると腕輪をつけてる相手だと魔力が感知されて音が出るんだ。それ以外は敵だと思って良いよ。あくまでも適当に作ってるから、信頼を置きすぎるのも辞めてね。」

「本当に凄い才能だ。ありがとう。」

「いえ、礼には及ばないよ。観覧席から応援してる。」

「頼む。」


 愉快な5人組から愉快な4人組になった瞬間だった。彼の名前はリーザン。クリーム色の髪に青い瞳が映える優しそうな生徒だ。


 僕らはその後、詳細な作戦を立てると修練室へ向かった。

次回更新 - 6月6日(土)00:00予定


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7月1日より新作を連載開始します。

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