3 - 20.『Captis』
3-20.『攻略』
遂に自分の最多話を更新しました!
これからも頑張ります~!
僕と羊主は先に最奥部の前へと来ていた。
「……懲りないのだな。」
当然、そこには門番がいる。僕と羊主の役目は門番の撃破。門番が再生できないように〈龍の紋章〉で止める必要があるが、個体としての力が高い門番には普通に【停止】を発動させても効果がない。
ある程度門番の力を弱めて、そこで【停止】させる。その時点で【快速の陣】を発動させた部隊の皆が最奥部に侵入する。
探索部隊は一度地上に戻り、他の冒険者達と合流している。迷宮内の小さな怪物を相手できるのは僕と羊主、剣客だけであるが、剣客が手伝うわけがないため、僕と羊主がそれぞれ少人数ずつ連れて来た。それだけでもかなり時間が掛かってしまったが、人数はできるだけ増やしておきたい。
「この前はどうもありがとうございました。」
「……? 何のお礼だ?」
「3年間修行して自分が強くなったと思っていましたが、それが思い違いだと気付くことが出来ました。」
「そうか……それで何が変わった?」
「え?」
「神に抗う者はどれほど強くなろうとも、いずれ粛清される。神の使いたる我らによって!!」
強い風が吹き荒れる。事前に発動していたようだ。行動は気付かれていたらしい。
「ふっ……!【一閃】!」
剣を鞘から抜き、攻撃を切り裂く。残火が散った。この剣は能力でできた剣であるため、神の使役獣の攻撃にも通用する。
「【撃鉄】!!」
身体を回転させてながら袈裟斬りにする。すんでのところで門番が止めるが、勢いがついた剣は止められない。腕を切り裂く。
「あの男の剣か……!」
「剣客の攻撃が見られるなんて幸運だと思うよ。普通なら〈魔剣術〉すら見せてもらえず殺されるから。」
門番は一瞬動揺した。その隙にもう一度【撃鉄】を放つ。
「くそぉ!!」
既に切り裂かれた腕で身体を守ろうとするが、そこに腕はない。能力で攻撃されたため、回復速度が急低下している。塞がれなかった攻撃は、そのまま身体へ吸い込まれる。
「くはっ……」
完全に分裂はしなかったが、胴体が半分ほど切れている。血が出ないのが違和感を感じるが、胴体と足の境目がない異形であるため期待するだけ無駄なのだろう。
残っていた左腕で殴ろうとしてきたため、その場から飛び退く。攻撃が空振りすると同時に、羊主が〈龍の紋章〉で【多重詠唱】を発動させ、魔法攻撃をする。
「ただの魔法が何故通用する!」
「なんででしょうね。」
前回の戦闘で能力が効果があると分かっている。〈龍の紋章〉は基本的に攻撃としての使い道がないため、能力の効果を加えるには【多重詠唱】などが利用しやすいと考えたのだ。
この【多重詠唱】は同じ魔法をそれぞれの能力者の利用可能回数だけ自由に発動する事が出来る能力。つまりこの能力が発動状態で魔法を使うと、全てが能力としての効果を持つことになり、神の使役獣にも通用するのである。
「【安寧ノ歌】」
巨大な花の怪物が動いてこちらに近付いてくる。しかし、火を纏うこの剣に効果があると思ったのだろうか。僕は【一閃】で再び切り裂く。
奇声を発し、花の怪物は死に抗おうと、葉を散らす。その葉は鋭利な刃となり、こちらへ降り注ぐ。
「羊主! 対応可能ですか!?」
「無理よ!」
「分かりました! 【始動:炎舞】!」
剣客が作った剣は特殊な能力を持つ。それが【始動】という能力。それぞれの剣にそれぞれの能力効果が存在し、幸い誰でも使う事が出来る。効果の強さは業物の段階によって変化する。
「刃が炎になったのか……」
剣を一振りすると、巨大な火の刃の斬撃が花の怪物を飲み込む。あまりの温度に抵抗する事も出来ずに燃え尽きてしまった。
「凄まじい……」
「【安寧ノ歌】が2回で? その剣は何なんだ!」
「これは風の迷宮主さんに聞いたら分かるかもね。まさか火の迷宮主の剣なんて思わないだろうけど。」
「火の迷宮主……?」
門番は愕然として動きを止める。まだ火の迷宮主の剣の能力は続いている。だが、厄災戦も想定すれば、ここら辺で決着を付けてしまう方が良いだろう。
「もう止めるの?」
「あと一撃だけ加えます。念には念をですね。」
「分かったわ。貴方が一撃を加えたら、すぐに止めるわね。」
「お願いします。」
まだ門番は動揺していた。もしくは厄災に確認しているのかもしれない。だがこの隙を逃す訳にはいかない。
「【明光白夜】!」
光系統の魔法に近い〈魔剣術〉の魔法。超高温の光を放ち、見た者の眼を灼き、その後切り裂く。能力の炎を纏い、超高温となった剣は神の使役獣であっても止められないだろう。
案の定、剣は門番の首を裂き、身体を溶かした。呆気ない最後に剣を眺めてしまう。剣客の異常さが改めて分かる戦いだった。剣の能力を解除する。
「止めるまでもなかったみたいね。」
「剣客に勝てる気がしないですね。」
「あんな奴と戦うだけ無駄よ。」
「そうですね。皆さんを呼びましょうか。」
僕と羊主は皆を呼び、門番が復活する前に最奥部の扉を開く。
「ここからは決戦です。敵は厄災!勝つぞ!」
「おう!」
討伐部隊の声が最奥部に響き渡った。
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