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3 - 6.『Calamity』

3-6.『厄災』


非常に投稿が遅れました!

明日からは毎日投稿再開致します!

 勝利は確実に近づいてきていた。焦りでうまく魔法を使えない羊主の攻撃を一手ずつ抑えていく。


「……っ!」


 紋章式魔法は魔方陣を正確に描かない限り、正しい魔法は発動されない。次第に焦りが大きくなっているのか、羊主は魔法の発動に失敗していた。


「大したことないね。」

「……【反消失(アンチロスト)】は札に効果を付与できるの?」

「ああ……それは【付与(エンチャント)】っていう能力(スキル)の1つだ。」

「貴方は3年間で成長してるのね……」

「それはお世辞と受け取って良いのか?」

「……」


 少し話をして時間を稼いだのだろうか、僕の足元に巨大な魔方陣が出現していた。自分で【消失(ロスト)】を使って、僕が使わないと思ったのだろうか?


「【消失(ロスト)】。……消えない?」

「紋章式の魔法連撃よ。今までの魔方陣はこれを構成する為の下地ね。」


 魔方陣に魔力が篭められる。膨大な魔力に危険を感じる。すぐさま魔方陣から離れようとする。だが離れない。


「【捕縛の陣】の効果もあるわよ。私もこんなに沢山の改変(マジックチェンジ)を同時にしたのは初めてね。」

「これを喰らえば致命傷……」

「そうよ。そして貴方に邪魔されず怪物退治に挑めるわ。」

「……僕はものすごい嫌われてるんだな。」

「自覚してるんだー、意外。」

「【逆行(レトログレード)】。」


 魔法を発動するべく篭められていた魔力は全て宙に流れていく。


「なに……それ?」

「どうして僕が打つ手が無いと思うんだ?」

「……私が甘かったのね。」

「僕は今、第二制限まで解除してるんだ。知らない能力(スキル)があって当然でしょ?」

「……降参よ。」

「で、次はどうする……え? 降参?」


 僕は呆気に取られてしまった。まさかあの羊主が降参するとは思わない。羊主は降参を示したいのか両手を上げて戦意がないことを証明しているようだ。


 大広場は先程までの喧騒も無くなり、痛いほどに静かである。僕は羊主が何を言うのか待っていた。しかし、羊主が喋る気配は無い。


「何を待っているんだ?」

「何も待っていないわ。私は何もしないだけ。でもそれは私の予想通り。」

「……?」

「つまり、私が勝ったの。貴方は(おだ)てられたのよ。私では怪物に勝てずに〈墓場の世界〉は滅びるの。だから貴方を煽てて、ここに呼んだの。」

「怪物とはそこまでの……?」


 羊主は僕の疑問に答えずに僕の隣に立った。そして冒険者の方を向く。


「この子は今見てもらった通り、私より強いわ。」


 羊主の存在すら脅かすような発言を軽々とする。冒険者達のざわめきは(たちま)ち伝播する。


「そこで私はこの子を討伐隊の副隊長に任命する!主に作戦や指揮を取ってもらうわ!」

「はぁ!?」


 何故か僕は討伐隊の副隊長になった。羊主兼隊長は、してやったりという顔をしている。うわー、この先祖嫌なんですけど。


「じゃあ副隊長就任記念でみんなに何か言ってちょうだい。」

「そんな急に!」

「早くしなさい!」


 僕の上下前後左右に一瞬で魔方陣が形成される。あれ……この人、力隠してない?


 突然浮上した疑惑を解決してくれる訳ではなさそうだ。それどころか徐々に魔力が篭められている。え、僕の命……


「はい、言います。言いますから……」


 僕は冒険者達の前に立つ。こんな子供にそんな大任背負わせなくても良いじゃないか。確かに羊主に挑んだけど、これはあんまりではないだろうか。


「……えーっと。ロムスです。副隊長になりました。よろしくお願いします。」

「うん。もう1回。」

「……?」


 なんでもう1回しないといけないんだ。僕は羊主を睨む。先程まで焦っていたのは露も知らないように正確に強力な魔法を発動する魔方陣が構成されていた。


抑圧(パワハラ)ですね。」

「知らないわよ。そんな言葉で士気を揚げれると思ってるの?」

「分かりました……。」


 嫌々ながら僕はもう一度、冒険者達の前に立った。


「僕はこの討伐隊の副隊長をします。……標的は怪物。来るべくして来たこの世界が見ず知らずの怪物によって滅ぼされるのはいい気がしない。僕達の手で怪物を征し、ついでに羊主(エンペラー)も倒す!!」

「おっ……おおっ!!??」


 最後の言葉に首を傾げる冒険者もいたが、僕の目的はそれだ。怪物なんてどうでも良い。羊主を倒すだけで良いのだ。それも叶ったような叶ってないような中途半端な事になってしまったけど。


「ありがとう。最低な演説ね。後は私に任せて。」


 瞬時に僕の背中に魔方陣が発動されていた。対抗魔法を発動する前に、魔法は発動し、僕の身体は吹き飛ばされた。そして、シーナとサグルの元へ。


「うわっ、ロムス!」

「急に前から飛んできた……」

「すみません。あの羊主(エンペラー)は魔法がろくに使えないようですね。」

「そこまでして煽らなくても良いだろ……。」


 羊主は今一度演説をする。


「ロムスも言った通りだ! 私達の敵は唯一! 怪物だ! 私はこれ〈厄災(カラミティ)と命名し、討伐対象として決定する。出発は明日の早朝!中央都市東門へ集まるように!」

「おう!」


 冒険者達の息の揃った掛け声が響き渡る。今ここに羊主と僕を中心とした討伐隊が編成された。そして、僕達は〈墓場の世界〉最凶最悪の敵〈厄災(カラミティ)〉と戦うことになるのだった。


プロット外の話で予想以上に足を引っ張られました……。






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