表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/109

2 - 35.『First Quest - III』

2-35.『はじめての依頼 3』


今話はロムス視点に戻ります!!

お気をつけ下さい。

 僕はリーゼンとの勝負を約束した後、宿舎へと戻って来ていた。食堂で少し軽食を取っていたが、カエデさんが駆け寄ってきたので、一旦手を止める。


「あんた!一緒にいた子が森で魔物の大群に襲われてるって聞いたかい!?」

「……初めて聞きました。それはどれぐらい前の話ですか?」

「ついさっきの話みたいだ。人狼局に魔法で使役された小鳥が来たって言ってたねえ」

「ありがとうございます。すぐに行ってきます」

「ああ、気を付けていってきな!」


 僕は宿舎を出ると【兎足(とそく)】を発動させる。跳躍魔法の1つだ。【跳躍】よりも調整しやすく、より高く飛ぶことが出来る。


 魔法で中央都市を囲う城壁よりも高く跳ぶと、周囲を見渡して、郊外の森を探す。すぐに見つかった。冒険者(アドベラー)が集まっている。


「【兎足(とそく)】」


 もう一度高く飛び上がり、距離を稼ぐ。そして、良い程度の距離で【微風】を発動。落下の衝撃を和らげた。僕は冒険者(アドベラー)に目立たないように、見えない位置で着地した。


 どうやら冒険者(アドベラー)は集まったは良いが、場所が分からないようだ。僕は1人に話を聞く。


「すみません、今はどんな状況なんですか?」

「おお、坊主も参加するのか? 今の状況は良くねえなぁ……全く情報が入って来ないんだ」


 他の人に聞いても同じ答えが返ってきた。どうやら誰も救援依頼以上の情報が入ってきていないようだ。これではいつまで経っても、現状を改善できない。僕は郊外の森の上から見えないか試してみる事にした。


「【兎足】」


 三度目の跳躍。流石に今度の跳躍は、冒険者(アドベラー)達に見られない訳がない。跳躍する僕の姿を見て、騒ぐ冒険者(アドベラー)が見えた。


「2人はどこだ?」


 元々2人が受けていた依頼についても聞いたが、どうやら森の奥まで入るような依頼ではないのだ。そこまで遠い場所にはいないはずなのだ。


「……見つけた!」


 巨大なゲオグが暴れているのが見える。その手前にいるのは……サグルのみ。


「シーナはどこだ!?」


 シーナの姿は見当たらない。そして、サグルが徐々に沢山のゲオグに囲まれつつある。僕はサグルに当たらないようにゲオグ達に攻撃する。


「【氷礫】!!」


 まばらな氷の礫がゲオグ達に刺さる。対して強くはないようだ。氷の礫が刺さったゲオグは血を流して倒れていく。


 僕は【微風】を発動して、ゲオグのいなくなった場所に着地する。そして、サグルに近寄る為に、サグルの周囲のゲオグを一掃する。


「【乱風】」


 荒ぶる風はサグル以外を吹き飛ばしていく。僕はサグルの元に駆け寄った。


「サグルさん!大丈夫ですか!?」

「あぁ……ロムス。すまない、僕は……」

「何があったんですか!? シーナは?」


 サグルは静かにゲオグ達が多くいる場所を指した。あそこの中央にシーナはいる、と。その瞬間、僕の中で何かが切れた。


「【多重詠唱(マルチチェイン)】、【茨の森】、【雷撃】」


 幾つもの茨が数百匹のゲオグの動きを止める。そして、そこに雷撃が直撃する。中央部分のゲオグには当たらないようにして、周囲のゲオグが全て消し炭となった。


「【氷柱落】」


 段々と周りのゲオグから潰していく。僕の心の中に渦巻いているのは、怒りか悲しみか、はたまた無駄な責任感か何かなのか。僕自身が分からなくなっていた。


「【滅失】」


 黒魔法滅系統の上位魔法【滅失】。大量の魔力と引き換えに、残りのゲオグが全て亡びた。


「……シーナ」


 残っていたのは石の壁。シーナは息絶えだえになりながらも石壁を張って、攻撃を防ぎ続けていたのだ。


「【全快】!」


 白魔法治癒系統の上位魔法を使う。傷はほぼ消え去った。しばらくして、シーナは寝息をたて始めた。恐らく痛みが無くなった安堵で眠ってしまったのだろう。


 僕はシーナを寝かせてあげる。【浮遊】で浮かせて硬い地面で眠らないようにする。その後、サグルの元へ向かった。


「サグルさん、大丈夫ですか?」

「ロムス、シーナの事ありがとう。僕の方も手伝ってくれる?」

「勿論です。援護します」


 サグルはまだ巨大なゲオグと戦っている。郊外の森の外で冒険者(アドベラー)から聞いた所によると、ゲオグが共食いをしたらしい。


 それで進化を起こして、ネオ・ゲオグになった可能性があるそうだ。最悪の事態ともなると、更に進化を重ねてゲオグ・ジェネラルになる可能性がある、と。


「最悪の事態ということか」


 僕がサグルの援護をしようとするのと同時に、ジェネラルの棍棒が真上から振り下ろされる。即座に横に飛ぶ。少し顔に掠め、血が飛び出す。


 この大きさは【茨の森】でも抑えられない。次の手を打つ。


「【加速】」


 僕は加速魔法でジェネラルに近寄る。


「【多重詠唱(マルチチェイン)】、【衝撃】!」


 すぐさま龍の紋章を起動。三重の【衝撃】を浴びせる。ジェネラルが何歩か後ろに下がる。もう少しの効果を期待したが、その程度か。


「逃げるっていう手もあるけど、被害を考えるとここで抑える方が良いな……。」

「はぁぁっ!」


 サグルがジェネラルに袈裟斬りをするが、肌が硬いのかジェネラルが痛む様子は無い。


「肌が硬すぎる……」

「サグルさん、退いてください!」


 一度下がった僕が再びジェネラルに近付くと、サグルは逆に下がる。


「【炎戒】!!」


 火系統の上位魔法。肌が硬くとも、燃えてしまえば関係ない。


「グヴゥォォオオ!!」

「……効いてない?」


 ジェネラルは一瞬動きを止めたが、何事も無かったかのように動き始めた。火耐性があるのか? 知らない事ばかりで戦略の立てようが無いな。


「サグルさん、何か策はありますか?」


 ジェネラルはまだ【炎戒】に気を取られている。その間に僕はサグルの近くへ行き、短いながらも作戦会議を開くことにした。


「……一応、ある事にはあるんだ。だけど、時間が掛かってしまうし、ロムスの手伝いが必要かもしれない。」

「僕でよければ幾らでも手伝います。それでいきましょう」


 頼みの綱はサグルの秘策。僕はその準備の為に必要な事を聞き出す。









ポイント評価・ブックマーク登録お願いします!!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ